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2月, 2022の投稿を表示しています

自分を失わないマグネット 〜制作を通して自分と向き合う〜

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  今回は樹脂粘土を用いて制作するマグネットの教材について紹介します。教材名は「自分を失わないマグネット」で中学3年生を対象に行いました。  この教材は今年の2学期におこないました。 「自分を失わない」というテーマを入れたのは生涯に渡って自分が大切にしていきたいものをイメージする機会を作りたかった ためです。そして、こういう 自分の好きなものを自由に選べるテーマにすると、各々が制作の中でイメージを膨らませることも容易なため、生徒の主体性を生かすことができる と考えました。マグネットを粘土に埋んだ彫刻にしたのは、ただの彫刻作品にするより、目につくところに作品を貼り付けて、自分が大切にしたいものを振り返る「お守り」のような価値を加えるためです。もちろん普通に置いて飾るのも良いでしょうが、「自分を失わない」というコンセプトと「くっつく」という部分をリンクさせたいと考えました。 樹脂粘土の魅力と注意点  今回使った粘土は樹脂粘土です。この粘土は紙粘土のように手にこびりつくことがなく、紙粘土を使った授業では定番の光景である「片付け時の手洗いによる混乱」は見られません。手にも優しいので、冬の時期に取り組んでも手荒れはそれほど気になりません。  絵具を直接練り込むことによって綺麗に着彩できますし、混ぜている途中でマーブル模様になるので、その状態を生かして造形できることも魅力です。紙粘土よりもコシが強く、固まってからも紙粘土ほど割れる心配がないため、紙のように薄い形も思い通りに表現できます。彫刻にも適していて、非常に細部までこだわった表現を施して仕上げることも可能です。  ここまで樹脂粘土ベタ褒め状態ですが、もちろん難点もあり、固まるまでは紙粘土とは比べものにならないぐらい変形しやすく、複雑な造形をする際は針金や爪楊枝、割り箸などの芯材が原則必要になります。また、収縮率が高く、乾燥すると1割ぐらい縮むため、数時間かけて形を整えていくことになります。なので、この作品自体は小さいものですが、少なくとも3時間程度は必要です。実際に私はこの教材を5時間程度で行い、1作目が早くできた人は2作目にも取り組んでもらい、多くの生徒が複数の作品を完成させていました。 単元の最初は動機付けから  今回の制作に入るにあたって、いきなりアイディアスケッチには行かずに、まずはウォーミングアップとしてGoog

Googleスライドを利用したレポートの可能性

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   学年末の時期になり、学校ではそろそろ学年末考査が行われる時期ですね。私は中学2・3年生の美術科を担当していますが、今年は2学期は定期考査を Google Formsとペーパーのハイブリッド形式 で行いましたが、1・3学期はレポートを課題にしています。私個人の考えとしては全てレポートにしたかったのですが、昨年までは全てテストだったので、段階的にレポートが認められたという形です。  1学期は初めてのレポートによる学期末課題だったということで、A3プリント(最低で片面、できる人は両面)に学習内容に関するものをまとめ、考察を入れるというものを実施( 美術レポート )しましたが、この1年間、GIGAスクール構想の下、美術の時間以外にも学活や総合的な学習の時間でChromebookを活用し、キャリア学習や校外学習のレポートをGoogleスライドで行ってきた結果、生徒の劇的な成長を見ることができたので、美術科でもGoogleスライドによる学年末レポートを実施することにしました。ただ、Googleスライドを家庭で編集することが難しい生徒もいるため、全員にレポート用紙も配布し、選択制にしました。  すでに1学期に行ったレポート(紙)では、生徒によって取り組みの差はありましたが、多くの生徒が質の高いレポートを作成し、見応えのあるものが集まったので、レポート作成の価値を確認することができました。そして、そこにGoogleスライドの利点を加えることができればさらに充実した質的にも量的にもレベルの高いものになるにではないかという期待ができる状況になってきたので、今回紙によるレポートとGoogleスライドによるレポートのオプションが効く形で導入しました。 Googleスライドを活用したレポートに取り組む生徒の姿から  私は今年学校のGIGAスクール推進リーダーとして、Google Chromeでできることは積極的に実践してきました。その中でも、 Googleスライドを活用した振り返りシート は美術というヴィジュアルが鍵になる教科では特に有効であることが確認できましたし、 校外学習やキャリア学習のレポートでは生徒が画像や言葉、アニメーションを駆使してレポート作成する姿をたくさん見ることができました 。主体的な学習態度の在り方についてGoogleスライドを活用した実践の中で考える機会をたくさ

感情絵日記に1年間取り組んでみて 〜無限の表現とスモールステップ〜

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  今回は私が1年間継続して行ってきた感情絵日記についてお話しします。これは1日の感情を振り返ってイメージできたことを基に色と形と構成を画用紙に描きとどめ、感情をまとめる言葉を一言メモ、1週間単位で絵を更新していくというものです。  これを始めようと思ったきっかけはたまたまtwitter上で海外の美術教師のブログを見たときにVisual Journalingについて書かれているものがあり、イメージを絵で蓄積していくことに創造性を広げる可能性を感じたためです。最近マインドマップなど、 絵やイメージを使いながらメモをしていくことが考えを深めたり、創造力を引き出したりする上で有効 であることが注目を集めていますが、このVisual Journalingは絵をメインにしてそれにリンクする言葉や文章を書き添えるものなので、コンセプト的には似たようなものなのではないかと感じたので、私もやってみようと考えました。  ただ、このVisual Journalingをそのまま取り入れても良かったのですが、自分なりにアレンジしてみようと考えました。私は簡単な日記をこれまで約3年継続してつけているので、これと関連させたものにし、1日を振り返ってイメージできた感情を基に絵を描き、日々絵を重ねて、1週間単位で絵を更新するという方法を実践しました。  これまでにも書いてきましたが、私は普段あまり絵を描きません。美術教師ではありますが、専門は教育学と美学なので、必要に迫られない限り(教材開発など必要に迫られることはよくあるので一般的な人と比べると描く機会はもちろん多いと思います)絵は基本的に描かないスタイルでこれまでやってきました。休日に絵を趣味で描くというのは1年に数回あるかないかぐらいという、美術教師として失格ではないかと思うぐらいに普段絵は描きません。そんな私でも1年間絵日記を継続し、2年目に突入しているので、 圧倒的な取り組み易さ と言えます。今回の記事を読んで、「私もやってみよう」と思える人がいらっしゃれば嬉しいですし、美術教育の観点からも、子どもたちに手軽に絵に取り組んでもらえるようにするきっかけづくりになると思うので、可能な限りこの感情絵日記の魅力についてお話ししていきたいと思います。 毎日自分の感情と向き合う機会を作ることの意味  これは日記でも同じことが言えますが、 自分の感情と

生徒会活動でGIGAスクール構想を推進することの可能性  〜PBLにつながるICT活用〜

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  GIGAスクール構想元年と呼ばれる2021年度もあと2ヶ月弱となりました。来年度からはGIGAスクール構想を更に進めて、生徒の主体的な学習態度の促進を実現していけるように、今のうちからできる限りの準備をしておきたいと考えている人も多いのではないかと思います。  GIGAスクール構想を進めていると、ICTの活用が教科の学習だけでなく、様々な場面で役立つものであることが見えてきます。これまでは主に教科の学習面での活用について記事を書いてきましたが、今回は生徒会活動(委員会活動)でのGIGAスクール構想の推進について私が実践していることを元にしてお話しさせていただきます。今は年度末に差し掛かる時期で、おそらくこれから生徒会活動の最後のミーティングで活動の振り返りが行われていく学校も多いと思いますが、来年度に向けて試しにICTを活用してみるのも良いのではないでしょうか。 消極的な活動から積極的な活動の場へ  生徒会活動の日には生徒にミーティングのレジュメや連絡内容に関するプリントが配られることが多いと思います。そして、委員長もしくは委員会顧問の先生がミーティングの進行を司会して黒板に目標や取り組み内容などを書き、それをプリントに書き写させるというのが一般的なのではないでしょうか。しかし、メンバーによっては活発に意見が出て、有意義なミーティングになることもあるでしょうが、私の経験上そういう状況は稀で、たくさん生徒は集まっていても結局一部の生徒の意見だけが反映されて、他の大多数の生徒にとっては消極的な委員会活動になっていることが多いのではないでしょうか。委員としてただ決まったことを実行するだけ。このような活動では充実感を得ることは難しくなります。実際に「明日は生徒会の日です」と連絡すると、「めんどー」「うっわ、最低…」という声を聞くことも珍しくありませんでした。自分たちに裁量のない活動に対してネガティブになるのは仕方のないことです。  しかし、 自分の意見が反映されて、自分たちで活動内容を決め、それを実行することによって学校が変化していく状況になると、生徒会活動の日が生徒にとって楽しみなものにもなり得ることがGIGAスクール構想元年の今年、ICTの活用の中で見えてきました 。生徒会活動というものがあるからには、少しでも生徒にネガティブに捉えられる要素を改善し、充実した時間に