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5月, 2021の投稿を表示しています

モチーフは表現の動機に過ぎない 〜貝殻を用いた三原色の水彩画〜

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   皆さんはモチーフを描くにあたって、どのようなことを考えて 表現するでしょうか。こんなことを言われると、そもそも普段絵なんて描かないという人がほとんどかもしれませんが、それは美術教師をしている私も同様です。私も必要に迫られない限り絵を描く習慣は基本的にありません。私が絵を描くのは、毎日続けている感情絵日記というものと、教材に関する試作品、仕事の中で絵の依頼があったときに描くぐらいです。感情絵日記は数分で描ける手頃なもので、これは絵を描くというよりも1日を振り返りメタ認知するために描いているものですし、教材に関する試作品もそれほどたくさん描く必要はありません。  それでもモチーフをどのように扱って表現するかについて考えを持つことはとても大切なことだと考えています。なぜなら、これは 絵を描くこと以上に重要なことにつながるため です。基本的に美術教育では、美術を教育するというよりも、「美術を通して」教育するというのが重要視されるべきであることは学習指導要領にも載せられていて、特定の表現を正解として扱ったり、単なる技術指導をしたりするような美術教育はされるべきではありません。 美術教育では、モチーフというものとどのように関わっていくと、私たちの人生が豊かなものになるのか、そのきっかけを制作や鑑賞を通して掴む ことが大切になります。  もちろん単純に絵を描くことを楽しみたいという場合にも、モチーフに対して広い視野で考えられるようになることは有効です。美術教育では、まずは絵を描くことの楽しさを生徒が実感できるようにして、そこから毎時間の振り返りや鑑賞の時間を利用するなどして、 経験したことをより深いレベルで考え、広い意味で表現をする上で大切なことについて考える ことになります。これがないと、「ただ絵を描いて楽しかった」で終わってしまい、貴重な学びの機会を失いかねません。美術教育では授業や単元の終わりに「そういう考えも大切だな」と生徒が気がつけるようにすることにあります。   今回は「モチーフは表現の動機に過ぎない」をテーマに記事を書きました。これを説明するにあたり、私が中学2年生の教材として指導している「貝殻を用いた三原色の水彩画(教材名は光とオーラを帯びた貝)」の実践を基にお話しします。  貝殻を水彩で描くとなると、きっとほとんどの人がこのような制作をイメージすることにな

常識を疑いオフィスチェアを創造

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  今回はかなり軽めの内容ですが、実は美術に大きく関係している内容をお届けします。皆さんはが職場で使っている椅子はどのような物でしょうか。おそらく多くの人が職場で提供された普通のオフィスチェアを使っているのではないかと思います。  もちろん私もこれまで与えられた椅子をそのまま使っていて、座り心地の悪さを座布団で誤魔化してきました。しかし、そのような中で大きな犠牲が姿勢の面で発生していました。安物の椅子に座っていると、作業するときに少し姿勢を変えるだけで体のあちこちに負担がかかるので大変疲れると言うのは多くの人が実感するところではないでしょうか。特にパソコンを使っている場合は、姿勢が前屈みになりやすく、 夜遅くまで仕事をしなければいけないような場合には猫も二度見するぐらいに背中が曲がった状態で体を酷使し、肩や首、腰の疲労が日々蓄積していくというサイクル を私はこれまで続けてきました。  このような状態が自分の姿勢と座り方に問題があるというのは重々承知していたので、意志の力で姿勢が良い状態になるよう座り直してきましたが、オフィスチェアには姿勢が崩れる仕掛けでもしてあるんでしょうか。作業をしていたら30秒ともたないうちに姿勢は元のゾンビ状態。意志の力では到底打ち勝つことなどできませんでした。 問題を解決するオフィスチェア  今回はそんな椅子に座る姿勢に悩まされ続けてきた私がとうとう問題を解決することができた究極のオフィスチェアを紹介します。それがこれです。  「何これ?」と思った人が多いかも知れませんね。少々汚れてしまっているのはご容赦ください…。これはオムニウッティという高性能バケツとバランスディスクを組み合わせたもので、下にはローラーをつけているのでオフィスチェアらしく座ったまま移動するもできます。  ローラーをつける部分は木を組み合わせたもので、この上にバケツを安定して設置することができるようにしていますが、それ以外は 完全に既製品を組み合わせただけの簡単な造りなので、誰でも簡単にこの椅子を作れます 。  この椅子を使い始めて明らかに姿勢は良くなり、疲労度も下がりました。これにはバランスディスクが大きな役割を果たしていると考えています。バランスディスクはバランスボールのようなもので、中に空気が入っていて、この上に座ると体が揺れます。なので、姿勢を保つために無意識に体

個性的な表現を可能にするポイント

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   今回は特に美術科で重要視されている「個性的な表現」についてお話しします。そのために、まずは「個性」とはそもそもどのようなものであって、どのような意味で重要と言えるのかについて私の考えを述べさせていただき、その上で私が授業で実践している方法とそれを基にした教材について紹介したいと思います。  一人ひとり違って当たり前であり、個性が尊重されるのは人権の観点からしても当然のことのように思われていると思います。しかし、 そもそもこの個性と言うものについてどれだけ私たちが理解しているかというとかなり怪しい ものです。「自分の個性について語ってみてください」なんて言われたら、一番分かっているはずの自分自身のことでさえ、きっとスラスラと説明することができる人はそういないと思います。当然、私も突然「自分の個性を説明しなさい」なんてこと言われたらパニックになります。「そんなこと言うんなら自分の個性をまず説明してくれ!」と心の中で叫ぶでしょう。  つまり、美術の授業で教師が子どもたちにいきなり「個性を出して自由に表現しなさい」と言うことが実は物凄く無茶振りと言えるわけです。「個性ってなんやねん!」「自由ってなんやねん!」「わけわからんから、とりあえず好きなもんでも表現するか!アンパンマンでも描こう!」「いや、私は関ジャニが好きやから関ジャニのマークを描く!」となります。  生徒作品を集めた美術展などでたまに目にするのが、視覚効果は抜群なのに、表現されている内容は「ありきたり」のものというやつです。ひどい場合にはアニメのキャラクターが描かれているだけというのもあります。このような作品は、教材として利用した素材(例えばステンドグラスのような綺麗な見え方をするもの)のパワーそして、洗練されたキャラクターの造形美だけで視覚的にインパクトが出ていて、「良い作品」というように感じるだけです。 本当に魅力的な作品は見れば見るほど作者の想いが感じられるものであり、そこに「作者ならではの個性」を感じることができます 。  美術教育では「個性」を伸長できるように、表現や鑑賞の活動を充実させることが大切です。そして、教師自身が「個性」というものについて理解を深め、それを子どもたちから引き出す方法をたくさん持っていることが重要です。私はこのような取り組みは子どもたちの将来に向けてとても大切な意義があり、

Google Jamboardを用いたアクティブラーニング

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    今回はGoogle Jamboardを用いたアクティブラーニングについて活用方法を紹介させていただきます。Jamboardというツールは簡単に言ってしまうと、 ホワイトボードを何枚も追加することができる、まさに「破壊的な」ツールです 。極端な言い方になるかもしれませんが、もうこれがあると黒板やホワイトボードは使わなくても授業ができてしまうぐらいに活用性があります。このようなツールが広まると、黒板が学校から消えたり、スティーブ・ジョブズも愛したホワイトボードがこの世から消えるかもしれません。それぐらいに「破壊的な」利便性をもったツールと言えます。  これまで黒板に必要な情報を掲示したり、視覚的に工夫したり、小型のホワイトボードを4〜6人ぐらいの班に配布してグループ活動させたり、さまざまな工夫をアナログで行ってきましたが、どうしてもスペースの問題や、活動内容を共有することの不便さを感じていました。 せっかく各班で良い意見が上がっていても、ホワイトボードに書き込まれた意見が黒板に貼られていては、周りの子どもたちから見えるのはホワイトボードだけで、肝心の文字が読めず、ほとんど考えを共有できない状態 でした。授業者は子どもたちの多様な考えを独り占めできるような状態なので、一人で楽しくなることもできますが、授業の主役は学び手なので、これでは誰のための授業か分かりません。  また、黒板やホワイトボードに授業内容を補強するものを掲示しようとしても、スペース的な限界がありました。だからと言って、私が普段授業をしている美術室に中からホワイトボードを集結させるわけにもいきませんし、授業資料を教室中に貼り付けまわるわけにもいきません。しかも、教室に貼り付けたところで、子どもの座る場所によっては見えないこともあるので、ほぼ意味がありません。とりあえず子どもたちに「先生頑張っています感」を伝えることはできるかもしれませんが、熱い(暑苦しい)先生の姿を見てもらうのが教師という仕事ではありません。 「スペース」と「共有」の課題を解決  授業でやりたい理想があっても、アナログでは「共有」という点で妥協をせざるを得なかったのがこれまでの課題でした。 これはアクティブラーニングを進めていく上で非常に大きな障害となっていおり、アクティブラーニングというものは、自分で考えたことをアウトプットするだけ

Google classroomを活用した美術科における振り返り活動 vol.1

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 今回は美術の授業での振り返り活動でGoogle classroomを活用したものを紹介させていただきます。今年からいよいよGIGAスクール構想が本格的に進められていくことになりました。そして、私はこの4月から情報教育担当になり、ほぼ知識がない状態からスタート。まだ十分に環境面で整っているわけではありませんが、少しでも早く生徒や教員がICTを活用した授業をしていけるように日々奮闘中です。 GIGAスクール構想では子どもたちや教員がICT機器を「文房具」のように用いること を目標にしており、ただ調べ物をしたり、動画で学んだりするためだけに用いるのではなく、 ノートや筆記具、付箋、授業ファイル、さらには教科書、資料集として活用していくこと を目指しています。これらのことは実際に実現可能な状態であり、これまで黒板に書かれた内容をノートに書き写して、プリントなどの資料はファイルに入れて、大切なことには付箋を貼って、といったことが当たり前でしたが、それらが技術的には全てタブレット1枚で可能になります。  もちろん、これまで使っていたノートや鉛筆、ボールペンやマーカーなどがこの先すぐに不要になるようなことはないでしょうし、これらにはデジタルにはない良い面がたくさんあるため、紙を用いる文化が完全になくなることはまだしばらくの間はないと思いますが、 デジタルで十分に済ませられるようなことや、デジタルの方が利便性が高いことについては、おそらく数年の間に紙からデジタルに置き換わっていく と思われます。デジタル教科書が取り入れられ始めており、「資料」としての紙の大部分はデジタルシフトしていくことでしょう。そうなると、教科書や資料集で通学鞄をパンパンにする必要がなくなります。重たい鞄は筋力トレーニングになるため個人的には嫌いではありませんが、おそらく軽い鞄の方が嬉しいという人の方が圧倒的に多いと思うので、教科書がデジタルになるのはきっと多くの人にとって朗報となるのではないでしょうか。  デジタルシフトしていく中で、授業の在り方も大きく変わっていくのは確実です。もしかしたら近い将来、先生が黒板の前に立って授業をすることはなくなり、各々のレベルに合わせて動画で学び、AIによって最適化された学習を個人で受けるようになるようになるかもしれません。これも技術的にはすでに可能なところまで来ています。し