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10月, 2020の投稿を表示しています

美術室の刺激的な空間づくり 第2回 掲示物の工夫

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  前回から始まった「美術室の刺激的な空間づくり」。第2回は「掲示物の工夫」そして次回は「装飾の工夫」についてお話しします。私は美術科の教員として美術室の空間づくりについてはかなりのこだわりとプライドを持っています。 美術室は学校で一番美しく格好良く、機能的で学びのある環境であるべきだと考えています。 私の 理想の美術室は「利用者が自動的に美術を学び始める場所」 です。それはディズニーランドのような場所であり、たとえディズニーに興味がなくとも、楽しんだり思い出に残る体験をしたり、またディズニーに戻って来たいと思ったりと、そのような体験ができる場所は自動的に学習をすることができます。学習に一番大切な興味が刺激されるためです。私は美術室、そして学校をそんな場所にしたいと考えています。というよりも、アートで学校を染め上げて乗っ取るぐらいの気持ちでやっています。支配欲強め(笑)いつも心はGO  CRAZY。  これまでに 中学校を卒業した生徒が学校を訪れた際に、美術室を見にきてくれる ことがしばしばありました。その時に卒業生たちは展示された作品を見て、自分の作品のレプリカや友達の作品のレプリカを見つけては懐かしんだり、当時の頑張りを振り返ったりします。または改めて美術室の装飾や掲示物を眺めて楽しんでくれたりもします。そうやってゆったりとした時間を過ごす卒業生たちに長時間付き合うこともしばしばありました。普段ならやりたい仕事がストップさせられたら秒でイライラし始める私も、こういうときは、お客さんが楽しんで美術の価値を堪能してくれているため、私にとって自己肯定感MAXの状態になります。ゆえに普通のメンタルでいられます(笑)。というよりも、私の存在意義はそもそも 人々に美術の価値を深く認識してもらい、美的判断能力をいかして活動してもらうこと なので、そういう時間こそ自分にとって大事です。  前回は展示の工夫についてお話ししました。 同じ中学生が制作した作品を見られる環境は子どもたちの制作意欲を刺激します。そういう環境は自分たちもやる気次第で凄いものができるという希望をもつことができます 。そして掲示物や装飾によって、さらに美術が身近なものであり、考え方次第でとても簡単にその魅力を作品だけでなく、人生でいかすことができることを実感してもらえるようにしたいと考えています。というわけで

美術室の刺激的な空間づくり 第1回 展示の工夫

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  趣味全開だった前回までの旅シリーズから本業の美術教育についての記事に戻ってきました。本業と言いましたが、どちらかと言うと美術教育は趣味です。というか仕事と趣味がもはや区別がなくなってしまった感が否めない今日この頃です。学級経営や部活動に関することもほぼ趣味のような感覚になっていると言えます。ただ、生徒指導関係で保護者と夜遅くまで連絡を取り合う時や、中学生とは思えない幼い行動でトラブルに発展し、指導しなければいけない時などは「仕事してるなぁ」と思います(笑)  私が美術教育や学級経営、部活動など要は教育活動に関することを遊びや趣味だと考えるのは、これまで特に躊躇なく自分の資金をそれらに使って、道具や環境整備など、「寄付」と呼べることをしてきたことや、暇だと思った時には、教材研究や教室環境の改善、テニスコートの整備や道具の作成などで暇をつぶす習慣があるからです。 仕事は給料が発生しますが、一般的に遊びや趣味はお金を払って楽しむものです。面白いことになりそうだからやる。ただそれだけの理由で色々と使えそうなものを購入しています。 本当は学校の経費で出せるものもあるのですが、自分自身、趣味でやっているため申請をしにくいのと、100均やホームセンターで個人的な買い物をしているときに突然インスピレーションが湧いて教育に使えるものをついでに買ってしまうというなんとも困った特性をもっていることが関係して、かれこれこれまでに10年間で7桁を突破するぐらいの寄付をしていると思います。しかし、趣味に月1万円程度の費用と考えると、実は割とリーズナブルな趣味のようにも思えます。結局は考え方次第なのです。  教育活動が趣味とは言っても、なんだかんだ一番自分が専門としているのは美術です。私は教育学部、教育学研究科の出身であるため、純粋な専門分野は美術の教育学になりますが、美術の分野で専門を強いてあげるなら美学になります。大学院で私が師事した先生は絵画が専門でしたが、絵の指導よりも、美学に関する指導の方が割合としては高かったです。それは私が当時実技がど素人であるのと、言語哲学に興味をもっていたことから、あえて美学中心の指導をされたのではないかと思います。私は美学を通して、人々とアートはどのように接していけるのかについて大いに考えることができました。そして一つの仮説に至りました。それは 「適切な環

旅は人生を変える 第5回 ローマ 〜パート3 イタリア最大の都市を歩き尽くす〜

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 3週に渡ってお送りしてきたローマ特集。最終回はイタリア最大の都市ローマを歩き尽くして出会えた、人生を変えるような発見について書きます。  ローマはイタリア最大の都市ということもあり、フィレンツェを歩き尽くすよりも遥かに大変でした。最後には足が悲鳴を上げていましたが、なんとか中心部から少し郊外まで制覇することが出来ました。    ローマは主要スポットと言えるところが多過ぎて全て細部まで見学するとなると、全く時間がなくなるので、歩きながらどこで時間を使うべきかかなり考えました。大聖堂や大きな教会は基本的に全て内部まで見ましたが、ミュージアム系はバチカン博物館以外は寄らずに歩いてまわることを優先しました。ミュージアム系はある程度の大きさであれば、しっかり鑑賞しようと思うと4時間以上は必要です。残念ながら半日を潰す余裕がこの時はありませんでした。  海外の美術館は優れたものが多いので、ボルゲーゼ美術館などにも行きたかったのですが、それ以上に私はローマの街の姿に興味がありました。初めての海外旅行先であるフィレンツェで、街を歩き尽くす魅力の虜になってしまった私は、古代から価値を放ち続ける建物や遺跡、キリスト教美術の名作である大聖堂や教会、ローマの街を眺められる景色を見たい衝動に駆られていたのです。 アクティブに歩き続けた結果、たくさんの思いもよらなかった出会いと体験があった のです。それらは私の価値観に大きな変化をもたらしてくれました。  今回の話のキーポイントは五つです。一つ目は「街の重要スポットは全て目に収める」、二つ目は「隠れスポットも見つける」、三つ目は「景色の良いところへ行く」、四つ目は「トラブルが常識を変える」、五つ目は「どんな場所でも自分らしく行動する」です。すでに今回も大ボリュームの内容になること確定です。貴重な時間を使っても良いという人は最後までお付き合いください(笑)  まず、一つ目の「街の重要スポットは全て目に収める」に関してお話しします。ローマの重要スポットは、全てまわるにはあまりに多過ぎます。しかし、どれも一見の価値あり。市内を走るバスを利用すれば、主要スポットには素早くまわれますが、私の観点から言うと、そのようなまわり方をすると見逃してしまう場所も多くなります。 ローマの街はくまなく舐め回すかの如く歩くことで、活動時間のほとんどを価値ある体験にでき

旅は人生を変える 第4回 ローマ 〜パート2 本物と出会えるバチカン市国〜

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 前回から全3回に渡るローマについての記事を書いています。今回はローマの中にあるバチカン市国での体験から、「 本物と出会える魅力 」をテーマに話していきます。  バチカン市国と言えばローマ法王がいるキリスト教の中心的存在になっている場所です。浄土真宗の達脇家の者ではありますが、キリスト教の魅力を手っ取り早く味わうにはここしかないという思いからサン・ピエトロ大聖堂にまず足を運びました。  この大聖堂が凄いというのは当たり前のことなので、この場所で感じた本物ポイントに的を絞って話を深めていきたいと思います。  大聖堂について話をしておきながら、最初に取り上げるのはサン・ピエトロ広場です。広場と大聖堂がセットになっているのはそんなに珍しいことではありません。しかし、他の大聖堂の多くが街中に良くも悪くも馴染んでおり、大聖堂の特別感が犠牲になっているのは否めないのではないでしょうか。先に紹介したフィレンツェのサンタ・マリア・デル・フィオーレも美しい街の中と一緒に写真に写っている感じがしますね。それはそれで悪くはありませんが…。  それに対し、 サン・ピエトロ大聖堂とその広場の場合は見事な一体感があり、このバチカン市国がキリスト教の中心地として他に類を見ない特別な存在 であることを物語っています。バチカン市国に入ると大聖堂と広場に向かって真っ直ぐに道が伸びています。この道も大聖堂と広場の延長線にあるため、見方によっては 街も大聖堂の構造の一部のような調和 が感じられます。これだけ大聖堂に従属するような関係をもっていると、大聖堂や広場に足を運ぶ以前から、 メインストリートを歩いているとキリスト教の世界へ誘われるような感覚 がします。街全体をいかした信仰心を刺激する構成は現地で実際に目にして歩いてみないと分からないものだと思います。メインストリートを大聖堂に向けて一歩一歩近づき、広場に出た時の神聖な領域に足を踏み入れた感覚などは人生のなるべく早い段階で体感しておいて悪くないと思います。  建物と広場、街、これらの要素が究極の構成を生んでいるのは、バチカン市国の明確なコンセプトがあるからこそでしょう。文化多元主義が叫ばれる現代もそれはそれで色々な価値に触れられる面白さがありますが、 一つの価値観やコンセプトによって集められた力が巨大なものを作り上げる魅力 をバチカン市国では感じること

旅は人生を変える 第3回 ローマ 〜パート1 ローマ帝国の遺構とロマン〜

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  「旅は人生を変える」シリーズ第3回はイタリア のローマです。前回に続いてイタリア!私は圧倒的なイタリア贔屓(笑)兄がセリエAを観ていたことや、三浦知良が挑戦したこと、中田英寿や中村俊介が活躍したこと、フェラーリやF1が好きなこと、色々な要素が重なって私はイタリアが大好きになりました。映画の影響もありました。舞台はフィレンツェでしたが、「冷静と情熱の間」や、定番「ローマの休日」などを観て、美術を真剣に勉強する前からイタリアへの憧れが強烈にありました。 たまたまイタリアが身近に感じる存在であり、フィレンツェやローマから海外旅行に行ったのは美術的な動機よりも、他の部分が大きかった と言えます。しかし、 結果的にフィレンツェとローマに早い段階で行ったことが自分に大きな価値をもたらしてくれました 。そう考えると、 興味本位で行動し、時間を無駄にすることなく前進していくことが大切 であるとつくづく思います。極端な話、最初にイタリアに行こうが、フランスにいこうが、アフリカの途上国に行こうが、どの国に行っても得られるものはたくさんあり、 その経験を深めることでその後の人生に何かしらの役に立つ成長ができる ということです。美術に役立つのはもちろんのこと、何か他のことをする際にもいかせるでしょう。実際に、道徳や総合、学活といった美術以外の授業もたくさんする中学校の教員として、そのような経験が大変役に立っていると感じることは多々あります。なので、強烈に行きたいと思ったらまず予定を確認して、行けるのであれば即ポチる。海外旅行は一人で行くことを圧倒的にお勧めしているので、HISなどですぐにチケットを購入です。これで新たな人生観の獲得予約完了です。  私がローマに行ったのは27歳の時でフィレンツェの旅行から3年後でした。ブログで行きたくなったら即ポチるなんていうことを言っている私ですが、当時は行きたい行きたいと思いながらも、なかなか予定を開けることができず、ただひたすらに思いを膨らませた3年間でした(笑)。教員採用試験の勉強や教材開発、学校と塾の講師の掛け持ちなどで寝る暇もないぐらいに忙しい毎日を送っていました。社会人になって2年間は怒涛の日々でしたが、この年は美術の非常勤講師だけだったので、 時間に余裕があった のです。10月に教員採用試験の合格発表を受け、 心にもゆとりが生まれた 時、