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安価なおもちゃでも侮れないアート体験の可能性

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 今回は安価なものでも、子どもに大ウケしたおもちゃを紹介します。それはこの恐竜の頭に光るミラーボールがくっついた「ミュージックザウルス」というおもちゃです。このおもちゃは恐竜が大好きな長女が貰った品で、調べたところ200円程度の安価なおもちゃです。  スイッチを入れるとゴジラのような音楽が流れてミラーボールがカラフルに光ります。いかにも安物感満載のこのおもちゃが家に来てから数ヶ月、子どもはそこそここのおもちゃを気に入っていましたが、それほど特別な存在としては捉えていませんでした。しかし、先日あることをきっかけにこのおもちゃに大ハマりし、私自身もそれを見てかなりの衝撃を受け、その美的体験の潜在能力について知ることになりました。  今回はそんな安価なおもちゃで大変な美的体験ができるお話を紹介したいと思います。 壁にライトを向けて発見した美しさ  いつもはこのおもちゃでただ音を鳴らし、ライトの光を眺めて楽しんでいた4歳の娘が、この日はたまたま壁(スライドのドア)に向かってライトを当てたことで、このおもちゃの真価に気が付くこととなりました。壁には花火のような美しい光が照らし出され、色が次々に変化する光景を見て、娘は「キレイ!花火みたい!」と言って感動していました。  これを私は側で見ていて、明るい部屋でこれだけ綺麗に光が照らされているのであれば、部屋を暗くしたらさらに綺麗に見えるのではないかと思い、部屋の電気を消しました。すると予想通り光がよりはっきり見えるようになり、娘は大興奮。家の中の至る所をライトで照らして回りました。 自分で照らす楽しさ  このおもちゃのポテンシャルに気がついた娘は、それからしばらく色んな場所を照らしては物体に当たって歪む光や真っ暗な部屋でライトを振り回してできる光の動きを楽しみました。その興奮度は祭りで上がる花火を見ていた時を遥かに凌ぐものでした。  光が自分の動きに反応したり、物体に当てて光の変化を楽しんだり、こういった能動的な美的体験の楽しさと、夢中にさせる可能性について改めて考えさせられる良い機会となりました。  花火大会の盛大な打ち上げ花火やチームラボのようなメディアアートは見る人に大きな感動を与えますし、私自身お盆に地元の京都府福知山市で開催された花火大会を見た時には花火の良さを味わって率直に感動しました。ただ、その時の感動とはまた別の価...

福武教育文化振興財団成果報告会でポスター展示

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 9月5日、私が運営する「岡山アート&クラフトプロジェクト」が助成を受けている、福武教育文化振興財団の成果報告会が開催されました。 私たちのプロジェクトは、昨年度の活動成果をポスター展示で報告しました。今回は、その展示の様子と、報告会で特に印象に残った西川正氏の講演について紹介します。  これまでにも岡山アート&クラフトプロジェクトに関する内容をブログで扱ってきましたが、それをポスター展示によって分かりやすくまとめる機会となったので、見てもらえると嬉しいです。 限られたスペースに要素を凝縮した展示 今回の報告会で用意されたスペースは80cm×180cmのホワイトボードと45cm×180cmの長机でした。この限られたスペースで「アート&クラフト」を楽しめる場を地域に開くことの重要性をプレゼンテーションできるよう、展示方法を最大限工夫しました。   ワークショップの売りは様々な画材や道具に触れて、美術室ですぐに造形を楽しむことができるところにあります。その雰囲気が伝わるよう、様々な画材や道具を並べ、実際に触れていただけるようにしました。また、レイアウトにも遊び心を入れて、アートとクラフトの面白さが一目でわかるようにしました。  テーブル中央に並べたクラフトゾーンにあるバターナイフとチーズのオブジェにカメラマンの方が興味を持たれていました。  ワークショップでもよく注目を集めてきましたが、鉛筆の種類がたくさんあることや、水彩絵具にも透明と不透明があること、ダークトーンが揃ったパステルのセットなどは報告会に参加された多くの方からも注目をいただくことができました。実際にものを見ることで興味が湧いたり、使ってみたいという思いが芽生えるものです。今回、このような展示方法を選択して良かったと思います。ちなみに、12Bの鉛筆は多くの人にとって衝撃的なアイテムのようです(笑)デッサンを専門にする人以外、基本的には縁がない鉛筆で、画材屋か通販でないと買えません。 こういう世界が鉛筆にもあるということを知っていただけるだけでも価値のあることだと私は考えています。 ポスターの内容  今回の展示の目的は成果報告であり、材料や道具の展示はあくまでワークショップの雰囲気を味わっていただくための仕掛けでした。成果報告やプロジェクトを始めるきっかけ、コンセプトなどは紙にまとめてホワイトボードに掲示し...

植物を活用した手軽にできる版画

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 今回は手軽に楽しめる版画を紹介します。版画と聞くと、版木を削る凸版のイメージが強い人が多いかもしれませんが、銅板を活用した凹版や、穴にインクを通す孔版、リトグラフやマーブリングなどの平版など、それぞれ特徴的な技法があります。私自身、これまでにブログで孔版のステンシル版画について書いたものもありました。  今回紹介する版画は、主観的な話ではありますが、私自身がこれまで経験してきた版画の中でも特に手軽な方法であると思っています。それは植物を活用した版画です。これは版画のスモールステップであるだけでなく、画面構成を試行錯誤して楽しむ上でおすすめの方法です。 準備も制作方法も簡単  この版画をする際に必要なのは画用紙(習字用の和紙でもOK)、水彩絵具、バレンなど平らなもの(なくても大丈夫)、筆、そして野草です。  一般的な版画はモチーフを描いて、彫ったり切ったりするなどして版を作成しますが、この版画は野草に水で溶いた絵の具を塗り、画用紙を被せてバレンで擦りながら圧を加え、野草をプリントするだけです。和紙であればバレンを使わずとも、手で圧を加えるだけでも十分に和紙が絵の具を吸ってプリントできます。画用紙の場合、プレス機を使うのも良いでしょう。  薄手の和紙の上から擦ると紙が破けるので、画用紙などを上から被せ、擦っても和紙が破けないよう にします。  この技法はコラグラフという、コラージュしたものを版にしてプレス機やバレンでプリントする版画と通じるもので、凹凸を生かした版画になります。コラグラフの場合、画用紙などに凹凸のあるものをボンドなどの接着剤で固定しますが、この版画では固定も不要で、ただ色を塗った植物の上から画用紙を置いて着色させるだけです。とても簡単なので、大人が一緒にやるのであれば幼児でもできると思います。  野草の凹凸を生かすだけでできる手軽な版画ではありますが、少し手間になるところもあります。それは、画用紙を被せる前に、葉の形を整えておく必要があるということです。あと、エノコログサ(通称ねこじゃらし)のような毛が多くて水彩絵具を弾いてしまうものもあります。このような植物の場合、版画用の粘度の高いインクを活用すると、模様が写し取りやすくなりますので、版画用インクもあればさらに制作が充実すると思います。 身の回りのモチーフを活用して構成や配色を楽しめる  この版画の...

岡山アート&クラフトプロジェクト 第1回ワークショップ開催

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 昨年から福武教育文化振興財団の助成を得て始まった倉北アート&クラフトプロジェクト。今年は私が岡山大安寺中等教育学校へ転勤となったため、倉敷北の名前を変更して岡山アート&クラフトプロジェクトという岡山県内での異動なら問題なく継続できる汎用性の高い名前で生まれ変わって活動をしています。  このプロジェクトはアートとクラフトの力で生活をもっと楽しく、美しくすることを目的にしており、学校の美術室を地域に開放して様々な画材と道具で造形を楽しむことができる機会をつくってきました。昨年は倉敷市立北中学校で3回生徒と地域に向けて開催し、平日の放課後にも何度か生徒向けに充実した画材と触れられる機会を設けてきました。美術室と画材屋さんのような環境が融合した場所を目指して環境改善に取り組んでいます。  昨日8月8日はこのプロジェクトの本年度第1回目のワークショップを開催しました。今回のブログはそのレポートになります。参加者の多くは勤務校の関係者ですが、今後さらに色々な場所から参加される方が増えてほしいと考えていますし、助成関係の取り組みに興味を持ってもらえる方が増えて、地域をを活性化させる活動が増えてほしいので、今回のレポートで興味を持ってもらえる方がいらっしゃれば嬉しいです。 過去最多の約60名の方が参加 体験できるものを場所で分けるレイアウトを事前に設定  今回のワークショップではこれまでの活動で蓄えてきた材料や道具に加えて、新たに用意した画材としてソフトパステル(昨年まではハードパステルとオイルパステルのみでした)やコルク粘土、コピックなどのアルコールマーカーやガラスペンなども加えて、さらに多様な体験ができるようにしました。  参加者は記名していただいた人数が55名で、実際はさらに多くの人が参加している状態だったので、約60名が参加されていたと思います。過去に一番多かったのが23名だったので、一気に人数が増えました。これは勤務校が変わったことも関係するかもしれませんが、夏休み期間中の開催であったことや、これまでに参加いただいていた方が継続して参加してくださったこともあると思います。  前任校では1年しかこのプロジェクトに取り組めませんでしたが、今後何年かは継続して現在の勤務校で取り組めるので、リピーターを増やしていきたいと思います。  今回のワークショップでは体験できるものを場所...

岡山アート&クラフトプロジェクト ワークショップ開催に向けて

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 今回はワークショップ開催のお知らせを兼ねてブログを書きます。  昨年度、倉北アート&クラフトプロジェクトという組織を立ち上げ、福武教育文化振興財団の助成を得て勤務校の美術室で ワークショップを 1年間に3回開催しました。このワークショップでは学校の美術室を地域に開放し様々な画材や材料、道具で造形を楽しむことができるというものです。 今年もこのワークショップを継続すべく助成申請し、ありがたいことに3年計画で助成を得られることになったのは良かったのですが、まさかの転勤となって、組織と環境を立て直しすることとなりました。名称は岡山アート&クラフトプロジェクトで再出発です。  7月になり、ようやく転勤後のドタバタも落ち着き、美術室の環境も自分にとって望ましいものになりつつあるので、第1回ワークショップを8月8日(土)に開催することにしました!  今回はこの活動の紹介と意義について主に説明します。 誰でも参加できる造形ワークショップ  昨年度とワークショップのテーマは同じで、「誰でも休日の美術室で造形を楽しめる」という場を地域に人々に提供し、中学生や保護者、小学生や高校生、その他様々な人が造形を楽しみ、生活を豊かにする視点を育むだけでなく、造形を通じて参加者がつながりをもったり、学校と地域の関係を強めて、より良い教育環境を構築したりすることを目的としています。ちなみに、団体名は19世紀のイギリスでウィリアム・モリスが中心となって展開された「アーツ&クラフツ運動」を由来としており、美術や工芸の力で地域の人々の生活と心をより豊かにすることを目指しています。  今回のワークショップにご興味のある方はこちらのリンクからWEBサイトに飛んで参加申し込みができますので、是非岡山大安寺中等教育学校の美術室に遊びに来てもらえたらと思います。 岡山アート&クラフトプロジェクトWEBサイト  https://okayama-art-and-craft-project.my.canva.site/ 助成を受けることで可能になること  助成を受けることで様々な画材を始めとして造形に使える材料がたくさん用意できるようになります。これはワークショップで利用することが主な目的ですが、ワークショップのボランティアスタッフとして美術部の部員などに事前に材料に触れて参加者に指導ができる状態にするため、生徒にと...

散歩に植物の標本帳を携えて

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 今回のブログは私の趣味についてお話しします。  以前からやりたいと常々思っていた野花や野草の標本帳を始めました。以前は散歩をしていて気になった野草や野花の写真を撮影して後でGoogleレンズやChatGPTを活用して植物名を調べてGoodnoteにまとめるなどしていたのですが、何か面白さに欠けたので続きませんでした。  今回標本帳を始めたいと思ったのは、GWに近くの河原に家族で出かけて、娘と一緒に四葉のクローバーを探して発見し、持ち帰って保存方法を考えた結果ノートに押し花をすることにしたことがきっかけです。なので、標本帳というよりはある意味アルバムやスクラップブッキングに近い感覚で始めたことになります。  形はどうあれ、植物の採取と保存を始めたことで、これまでとは違った視点で散歩に出かけるようになったと感じています。今回は新たに気がつくことができたことをまとめてみました。 標本帳一冊持つだけで採取した植物をすぐに調べたくなる  これまでも散歩は好きで、ただの散歩に出かけることもありますが、ランニングのついでに散歩して帰ったり、娘と一緒に散歩に出かけたり、数キロの距離であれば散歩を兼ねて徒歩で移動したり、割と積極的に歩き回ってきました。  そんな私が実はやりたいと思いながらついつい後回しにし続けてきたことがあります。それは、興味深い野草や野花が目に入って後で調べようと思って写真を撮影したにも関わらず、結局調べないまま忘れ去ってしまうということです。これを延々と繰り返してきました。  ところが標本帳を持って外に出かけると全く違う状況になるということをすぐに感じることができました。 標本帳に気になった植物を挟んで持って帰り、テープで貼り付けたら次はその植物の名前を書き記すことになるので、すぐにその植物が何であるかを調べたいと思うようになりました 。  実際に本物があるだけでここまで違う感覚になるとは思っていませんでしたが、これがデジタルだけで学ぶ場合と、リアルで学ぶ場合の本質的な違いなのかもしれません。 散歩がより楽しくなる  標本帳を持って散歩に出ると、気になった植物を標本帳に挟めるので、植物を持って帰るのが容易になります。これによって、植物に積極的に手を伸ばすようになりました。外はお宝が一杯なので、とてもワクワクした気分で散歩することができます。  日頃通っている道...

美術室の仕掛け最終版(倉敷市立北中学校)

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 新年度を迎え、岡山県立岡山大安寺中等教育学校での勤務が始まりました。これまで倉敷市で12年間勤め、慣れた環境でやってきましたが、県立になるとありとあらゆるものが異なっており、パニックの連続のハードな日々を早速送っています。大変ではありますが、逆境はそれほど苦手ではないので、最大限この状況を楽しんでいきたいと思います(苦笑)  今回は6年間勤め、美術教育の情熱をぶつけてきた美術室について紹介します。以前にも美術室の環境や仕掛けについて紹介してきましたが、今回は倉敷市立北中学校のファイナルエディションになります。本当は今年度で転勤になることを全く想定していなかったため、転勤を知ることになった3学期の某日までひたすら教室のアップデートを重ねていました…。少しでも今回の記事を読まれた方にとって参考になれば幸いです。 美術の楽しさと学びを視覚と触覚で味わえる環境  私が美術室の環境にとことんこだわるのは、キリスト教の大聖堂の空間を生かした教育の可能性を私自身が海外旅行の中で体験し、強烈な印象を受けたことがきっかけにあります。大聖堂の壁面やステンドグラスにはキリスト教に関する物語や象徴が表現されており、文字を読めない人々も大聖堂の中に身を置いて話を聞けば、その教えを美的なインパクトと共に理解し、より信仰心を深めることができます。  美術は言語の壁を越えて人々に教育をすることができる。このことを悟った私は、見た瞬間に美術の威力を感じることができるような仕掛けを美術室に施してきました。   スモークガラスに掲示物を貼ったり、本棚を設けたり、構成美遊びのマグネットを設置。  伝統色やモダンテクニックを活用した作品例、構成遊びができるマグネット。  透視図や具象と抽象について知る掲示物。変わったオブジェも設置。  色相環を始めとした色彩の知識に関するもの。  テレビの表側と裏側に様々な立体造形と河原で拾った石。  教室のデッドスペースを生かして展示。ペットボトルとレコードで作品置きを兼ねたオブジェ。  棚の中には石膏像と積み木のオブジェ。  生徒が遊びで作った立体造形。棚は柚木沙弥郎をオマージュしたタペストリー。  色について実験を通して学習できる装置。  天井に和柄と北欧柄。窓には日差し避けを兼ねた和柄のスモークグラス風ラミネート。照明には障子紙を2枚重ねにして1枚は和柄の切り絵に...