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3月, 2022の投稿を表示しています

美術を身近に感じる教材 〜私の町のパブリックアート〜

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  今回は私が実践している教材である「私の町のパブリックアート(中学2年、軽量樹脂粘土)」について紹介します。これは粘土造形の教材で、生徒一人ひとりの自由な創造力を発揮しやすい内容であると考えています。  パブリックアートは近くの公園や町の重要な場所でよく見ることができるため、子どもたちにとってかなり身近なアートの一つと言えます。教科書や美術資料にはたくさんの面白いパブリックアートが掲載されているので、それらを見せるだけでもかなり興味を持ってくれます。2・3年の美術の教科書に設けられているパブリックアートのページには「暮らしに息づくパブリックアート」という見出しがあり、そもそもこのパブリックアートとは人々にとって親近感のあるもので、生活に情操的な潤いを与えてくれるものであることを考えさせられます。もし、逆に暮らしに息づくものでなければ、それはただの不要な造形物であり、ゴミのようなものとして扱われることになるかもしれません。 パブリックアートは場所との相互関係で人々にアートの魅力を大いに味わわせてくれる ものです。  私たちには一人ひとり理想や夢があります。そして、それを実現していくためには生活環境である地域や世界が理想的な状態であることが大切です。 パブリックアートには、人々の心に働きかけて価値観に揺さぶりをかけたり、町の雰囲気を変えるきっかけになったり、大規模なものであれば町の景観を直接的に大きく変える ことにもなります。イサム・ノグチ氏が設計したモエレ沼公園のように、元々はゴミ埋立の沼地であった場所が広大な美しい公園になれば、憩いを求めて人々が集まりますし、この公園の存在がその周辺の経済効果にも多少なりとも影響するため、地域の発展にもつながります。まさに劇的改造ビフォーアフター。持続可能な開発という観点で、パブリックアートには非常に大きな可能性があると言える側面があるのではないでしょうか。人々の心を潤すと同時に、町の発展にも貢献する。このことは町が世界遺産となっているフィレンツェなどにも言えますが、 美しい場所には自然と人が集まり、その場所に感動が溢れ、その感動がさらなる観光客の増加にもつながります し、その地域の住人にとっては美しい街並みが当然のものになってしまうかもしれませんが、生活環境という面では決してネガティブなものではないと思います。私自身、元々は関西

Googleサイトを教科や部活動に活用することの可能性 教師も生徒もWIN-WIN

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 今回はGoogleサイトを教科や部活動に活用することのメリットについて考えてみました。まだ運用を開始したばかりなので、これらを活用することのメリットやデメリットを掴みきれていない段階ですが、可能性として見えてきたことをまとめさせていただきます。  Googleサイトを活用しようと考えたきっかけは、元々私はWixというホームページサイトで教科や部活動に関する情報発信をしていましたが、Googleサイトは家でも職場でも手軽に編集できて、サイトの容量も気にせずに使え、Googleの他のツール(ドライブやスプレッドシート)などとの連携も優れています。細かい機能に関してはWixの方が優れていますが、あまり細かいことを気にしないのであれば、Googleサイトでも機能的にも見栄え的にも十分なHPが作成できるため、これを活用しようと考えました。 Googleサイトならではの魅力  GoogleサイトでHPを作ることによって、教科や部活動に関する情報を発信することができるため、授業内容に関する資料や動画、部活動の連絡などに活用すると非常に便利です。これらに関しては、Google Classroomでもできますが、SNS的な機能であるGoogle Classroomは情報が雑多になりやすく、必要な情報がどこにあるか掴みにくくなっていきます。それに比べて、 HPは情報が見やすく、必要な情報にすぐアクセスできる というメリットがあります。  Googleサイトは他のサイトへのリンクをテキストや画像に埋め込むことももちろん可能なので、 授業資料をリンク先にしておくことで、過去の学習内容だけでなく、今後の学習内容についても情報を得ることができ、自ら学ぼうとする生徒の学習に大きな助けになる ことが期待できます。また、昨今長期欠席者が非常に多くなっています(全国約300万人の中学生のうち、約20万人が長期欠席者)が、そういった生徒の中には学校に行きたくても様々な事情から行けないというケースも少なくありません。教科のHPを作成することで、情報を必要としている人に届けることができるというのは大変価値のあることだと考えています。先日、授業の振り返り(Googleスライドを活用しています)の際に、「来年の美術の内容ってどんな感じですか?」という質問をしてきた生徒がいました。そのような場合に、言葉で説明し

主体的な制作活動を促す美術室の環境づくり 〜道具と素材に出会える場〜

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 今回は私が普段授業で使っている美術室の環境について紹介します。以前にも美術室の展示環境について説明したことがありますが、今回は材料や道具の設置環境についてです。  美術の制作の時間は生徒の主体性を促すことが大切であると考えています。昨今「主体的で対話的な深い学び」やそれに親和性の高いPBL(Progect Based Learning)といった学習方法が注目を集めていますが、美術の学習活動は元々こういったものと相性が良く、昔から生徒の主体性を生かすことができていた先生もたくさんいたと思います。新学習指導要領によって変わる学びの在り方に対して、「新しい学び」という言葉を文科省は使っていますが、元々美術教育はその教科の特性から時代を先取りしていたと言えます。ただ、その一方で、画一的な造形教育がされてきた側面もあり、窮屈な制作条件や多様性への不寛容な指導から美術嫌いを多く生んできたという部分も否定できません。  美術の学習をする上で、基本的な色や画材、描画方法の知識や技術を習得することは大切なことなので、これらの習得のために訓練的な作業の時間が入ってしまうことはある程度は仕方のないことかもしれません。しかし、そればかりになってしまうと、生徒は美術の時間に窮屈さを感じてしまい、知識を覚えたり、正確な技術を習得したりするのに時間が必要な生徒は美術から心が離れていってしまう危険性があります。私自身、これまでに自由度の低い着彩の訓練や画材の授業をたくさんしてきたことがあり、それによって生徒の主体性を促すことができず、お互いに辛い思いをしてきました。今思うと、当時は遊びの要素が不足しており、「きっちり学習」させることに重きを置き過ぎた機械的な作業時間にしていたと感じています。授業を考える際には、いかに生徒が実践的に、そして遊び的に学べるようにするかを重視することが大切であり、基本的な知識とスキルの習得に欠ける時間はなるべく短時間にして、後は生徒の主体性に任せる授業を練ることが大切であると最近は考えるようになりました。  私が担当する中学校の美術では1年生の段階では基本的な美術の表現力を習得することがメインになっていますが、2・3年生では基本的な知識と技能を生かし、自分の理想と向き合ったり、より良いデザインを追求したりしながら表現を深める活動が主な狙いになります。これを実現するため

Googleスプレッドシートで時間割を協働作成 〜協働・共有の可能性〜

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  2021年度もラスト1ヶ月を切りました。あと少しで1年が終わって一息つける、そう考えている人も多いかもしれませんが、実際は春休みが怒涛のごとく過ぎ去り、新年度が慌ただしくスタートしていくものです。  この時期は事務的で面倒な仕事が多いですが、新年度になってみんなで協力して作業していると、新しいメンバーとのコミュニケーションの機会になりますし、それはそれで意味のある時間になるので、それほど私は問題だと思っていません。しかし、新年度早々の時期に私にとって数々の教師の仕事の中で最高ランクのストレス体験となるものがあります。それは「時間割作成」です。 超アナログで非効率的な時間割作成  私が過去に経験した時間割作成では大きなボードに授業とクラスと教員の駒を配置していく超アナログな作業です。しかもこの作業は授業が開始されていくため急ピッチで行う必要があり、連日深夜まで仕事をして体力と神経をすり減らしヘロヘロの状態になって職場を後にするという地獄のような仕事です。異なる学年担当の教師で協力して作成するので、孤独な作業ではありませんし、深夜まで作業する時間割作成チームを気遣って差し入れを頂くこともあり、とてもありがたい部分もあるのですが、トータルで考えると心の底からやりたくない仕事と言えます。ちなみに深夜に差し入れを頂き、休憩でジャンキーなものを食べるとその後に強烈な睡魔がやってきます。そのような 非効率的で不健康な状態が連日続くことはどう考えても健全ではありません 。  ヘトヘトになりながら何とか作成した時間割はたくさんのミスが発生します。事前に授業時間の大まかな希望も取ってはいますが、他の授業との調整もあるため希望通りにはいきませんし、時間割担当としてはガチガチの希望を出されると時間割を調整しにくくなるため、返って難しい状況になってしまいます。 頑張って作成した時間割は結局のところ再発行を繰り返し、決定版を出すまでに数週間かかってしまう こともあります。これでは時間割作成する側にとっても、完成を待つ側にとってもlose-loseの関係です。  数名が駒を使って時間割を作成するというアナログ方式は時間と労力の面で非常に悪いパフォーマンスです。これに対して、学校によっては時間割作成ソフトを導入しているケースがあり、細かい条件設定をすることで自動で時間割を作成することができます