Googleスライドを利用したレポートの可能性
学年末の時期になり、学校ではそろそろ学年末考査が行われる時期ですね。私は中学2・3年生の美術科を担当していますが、今年は2学期は定期考査をGoogle Formsとペーパーのハイブリッド形式で行いましたが、1・3学期はレポートを課題にしています。私個人の考えとしては全てレポートにしたかったのですが、昨年までは全てテストだったので、段階的にレポートが認められたという形です。
1学期は初めてのレポートによる学期末課題だったということで、A3プリント(最低で片面、できる人は両面)に学習内容に関するものをまとめ、考察を入れるというものを実施(美術レポート)しましたが、この1年間、GIGAスクール構想の下、美術の時間以外にも学活や総合的な学習の時間でChromebookを活用し、キャリア学習や校外学習のレポートをGoogleスライドで行ってきた結果、生徒の劇的な成長を見ることができたので、美術科でもGoogleスライドによる学年末レポートを実施することにしました。ただ、Googleスライドを家庭で編集することが難しい生徒もいるため、全員にレポート用紙も配布し、選択制にしました。
すでに1学期に行ったレポート(紙)では、生徒によって取り組みの差はありましたが、多くの生徒が質の高いレポートを作成し、見応えのあるものが集まったので、レポート作成の価値を確認することができました。そして、そこにGoogleスライドの利点を加えることができればさらに充実した質的にも量的にもレベルの高いものになるにではないかという期待ができる状況になってきたので、今回紙によるレポートとGoogleスライドによるレポートのオプションが効く形で導入しました。
Googleスライドを活用したレポートに取り組む生徒の姿から
私は今年学校のGIGAスクール推進リーダーとして、Google Chromeでできることは積極的に実践してきました。その中でも、Googleスライドを活用した振り返りシートは美術というヴィジュアルが鍵になる教科では特に有効であることが確認できましたし、校外学習やキャリア学習のレポートでは生徒が画像や言葉、アニメーションを駆使してレポート作成する姿をたくさん見ることができました。主体的な学習態度の在り方についてGoogleスライドを活用した実践の中で考える機会をたくさんもつことができたと実感しています。
そのような状況から、美術のレポートもGoogleスライドを活用することで、これまでのレポートに対する常識を大きく超えるようなものができるのではないかと考えるようになりました。
GoogleドキュメントよりもGoogleスライドを使う理由
これまでレポートと言えばMicrosoft WordやPagesが一般的だったと思います。私も当然ですが、これまでこれらのアプリケーションを活用してレポートや資料を作成してきました。そのような流れで最初は固定観念的にGoogleドキュメントをレポートで活用することを考えていました。
しかし、単純に文章を書くだけであれば、Googleドキュメントは有効かもしれませんが、画像を貼り付けたり、文字にインパクトを出したりする場合、Googleドキュメントは少し使いづらい部分があります。それに対して、GoogleスライドではMicrosoft PowerPointやKeynoteほどではないにしても、十分に画像の活用や文字でインパクトを出すことができますし、アニメーションも加えることができます。事前に取り組んできた校外学習やキャリア学習のレポートをGoogleスライドで作成している生徒の姿を見ていると、画像や文字のレイアウト、アニメーションの部分で様々な工夫をしており、画像やキーワードになるものを説明するために文章をしっかり入力することができていました。
重要な画像やキーワードになる言葉というものは、それ見る人に興味を持たせます。その興味がしっかりした文章記述につながるのではないか、そのように生徒の取り組む様子を見て私は感じました。言葉だけでの説明では難しいことでも、実物や画像があれば雄弁に喋ることができるようになることがあるように、まず文章ではなく、ヴィジュアルから入る可能性が高くなるGoogleスライドは取り組む側のモチベーションを刺激するものであると考えられます。
Googleスライドで美術レポートを作成することの可能性
今回私の担当する美術科のレポートであれば、そもそも美術で学習した内容に関する作品はヴィジュアル的に魅力のあるものが多く、美術に苦手意識を持つ生徒でも教科書や資料集をパラパラと捲り、興味を持ったページを凝視する姿はよく見られます。そのような状態であるからこそ、Googleスライドで画像を使ったり、関係ある作品を検索したりするという作業には大切な意味があると考えています。
例えば、ピカソに関する画像を用いるために、Google検索すれば、ピカソの様々な作品を目にする機会が生まれます。教科書であれば満遍なく多様な作品が見られますが、ググった場合というのは教科書に比べてピンポイントで情報を得られるため、深く知ることが可能になります。自分の興味に合わせて知識を深めることが容易になる可能性が高くなるため、主体的な学習という観点からも重要であると言えます。
Googleスライドでは画像を枠外にストックすることが可能なので、使う可能性のある画像をとりあえず枠外に置いておくというのも有効です。検索していて良いと思ったものがあったとしても、ダラダラと延々と見てしまうと、使う画像や資料を決めることが難しくなります。しかし、率直に良いと思ったものをすぐにスライド上に保管することで、作業はスムーズに進行させられます。また、文章や言葉はテキストボックスに入力して、これも枠外に置いておくことができるため、気軽にアウトプットすることに役立ちます。こうして画像や言葉、文章の素材が揃えば、枠の上で整えることも難しくありません。
画像や言葉はアニメーションをつけることで演出効果を出すことができるので、これまで「レポート=文章+画像」という印象が強かったと思われますが、非常に見応えのあるレポート(というよりプレゼンテーションと言った方が適切かもしれません)になります。このような演出の工夫も美術の学習としては大事な側面なので、生徒には是非取り組ませたいところです。
点と点がリンクするGoogleスライドという「場」
もはやレポートというより、プレゼンテーションの域に達してしまうGoogleスライドの活用ですが、Googleスライドにはリンクの貼り付けも可能であるため、学習した内容を生かして制作した動画をリンクさせることも可能です。さすがに動画の編集までやってくる生徒は稀だと思いますが、可能性として示しておくことが大切です。いつどこでスティーブ・ジョブズやスティーブ・ウォズニアックのようなアップルを創業するようなとんでもない可能性を持った人が出現するか分かりません。可能性のある場を提供することが特にこれから教師の役割として大切になると思います。
私はこの1年間、振り返りシートもGoogleスライドを活用し、生徒は毎時間の学習の振り返りをメモして作品の状態を写真で残してきました。その学習記録もレポート作成には役立つことと考えています。
Google社はインターネットの特性を活かして、とても便利なサービスを実現してきました。この機能を活かして、これまで別々だったものがつながり、新たな可能性を生み出すことも容易になりました。その可能性を生かして学習に役立てられるように、生徒に場をコーディネートするのが教師の役割ですし、その場で活動する生徒を見取り、見守り、活動をファシリテートしていくのも教師の大切な役割にこれからますますなっていくると思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はGoogleスライドを利用したレポートの可能性について説明させていただきました。GIGAスクール構想がもたらした学習環境の恩恵は計り知れません。それゆえに、これからも教師として学んでいかなければいけないことは尽きませんが、新しい時代の学習を創造していいく一人として貢献していく「教育ゲーム」ぐらいの感覚で楽しみながら仕事をしていきたいと思います。
それではまた!
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