Googleサイトを教科や部活動に活用することの可能性 教師も生徒もWIN-WIN
今回はGoogleサイトを教科や部活動に活用することのメリットについて考えてみました。まだ運用を開始したばかりなので、これらを活用することのメリットやデメリットを掴みきれていない段階ですが、可能性として見えてきたことをまとめさせていただきます。
Googleサイトを活用しようと考えたきっかけは、元々私はWixというホームページサイトで教科や部活動に関する情報発信をしていましたが、Googleサイトは家でも職場でも手軽に編集できて、サイトの容量も気にせずに使え、Googleの他のツール(ドライブやスプレッドシート)などとの連携も優れています。細かい機能に関してはWixの方が優れていますが、あまり細かいことを気にしないのであれば、Googleサイトでも機能的にも見栄え的にも十分なHPが作成できるため、これを活用しようと考えました。
Googleサイトならではの魅力
GoogleサイトでHPを作ることによって、教科や部活動に関する情報を発信することができるため、授業内容に関する資料や動画、部活動の連絡などに活用すると非常に便利です。これらに関しては、Google Classroomでもできますが、SNS的な機能であるGoogle Classroomは情報が雑多になりやすく、必要な情報がどこにあるか掴みにくくなっていきます。それに比べて、HPは情報が見やすく、必要な情報にすぐアクセスできるというメリットがあります。
Googleサイトは他のサイトへのリンクをテキストや画像に埋め込むことももちろん可能なので、授業資料をリンク先にしておくことで、過去の学習内容だけでなく、今後の学習内容についても情報を得ることができ、自ら学ぼうとする生徒の学習に大きな助けになることが期待できます。また、昨今長期欠席者が非常に多くなっています(全国約300万人の中学生のうち、約20万人が長期欠席者)が、そういった生徒の中には学校に行きたくても様々な事情から行けないというケースも少なくありません。教科のHPを作成することで、情報を必要としている人に届けることができるというのは大変価値のあることだと考えています。先日、授業の振り返り(Googleスライドを活用しています)の際に、「来年の美術の内容ってどんな感じですか?」という質問をしてきた生徒がいました。そのような場合に、言葉で説明してもあまりイメージが湧かないと考え、HPの該当部分をリンクで貼り付けて振り返りシートを返却しました。こうすることでワンタッチで内容を見ることができますし、授業資料を見ることも可能であるため、先を見通すことも可能になります。百聞は一見に如かず。
部活動の運営では予定を部員に知らせることが顧問の仕事として重要になります。この2年間、感染症対策で部活動の予定を頻繁に変更しなければならず、その点で奔走を強いられた先生も多いと思いますが、これに関してもHPが大いに役立ってくれます。GoogleClassroomで部活動専用のクラスを作成したり、Googleカレンダーを活用してスケジュールを部員と共有するだけでも連絡という点では十分ですが、保護者にも情報提供することを考えると、一般公開されるHPで活動予定にアクセスできるようにしておくと便利です。
ちなみに、GoogleサイトはGoogleのアカウントと紐づいているため、ChromeからHPにアクセスすれば右下の編集マーク(えんぴつ)からすぐに編集をすることができます。これは部の顧問としてはとても便利な機能で、HPの不具合に気がついた時にはすぐにそれを修正することができます。実際に、HPにアップされている内容について、保護者から電話で不具合を指摘されたことがありますが、電話対応しながらHP更新することができました。実に手軽です。
今後の発展性
先日、市内の中学校美術教師の役員でミーティングする機会があり、今後市内の中学校美術をGoogleサイトで繋げていく方針を打ち立てました。各学校の美術科でHPを作成し、それを一つのサイトからリンクで繋げ、他校の実践がお互いに見られるようになれば、市内の美術教育がより発展することも期待できます。また、今年、感染症の拡大によって小中学校で作成された美術作品の展覧会が開催間近で中止となり、展覧会を楽しみにしていた人たちにとって非常に残念な結果となりましたが、HPを活用してデジタル展覧会も万一の時にはできるかもしれません。実際に、デジタルで展覧会を行ったという事例も今年度はたくさん目にしました。感染症への対応に追われた2年間ですが、それによって新しいアイディアもたくさん生まれ、より良いものが生み出せるようになっているので、これを有効に活用していきたいところです。
教育に関するデジタルが充実していくと、学習者は学校や場所に縛られずに学ぶことができるようになりますし、実際に通信制高校の人気の高まりや、N高等学校が開校から数年間で日本最大の生徒数(約2万人)の高校になったことも考えると、今後ますますこの動きは加速すると考えられます。これに関しては「不登校が増える」「学校で社会性が身につかなくなる」といった不安な要素として捉えられる方もいるかもしれませんが、時代が変われば身につけるべき力も変わります。そして、学校で身につけている社会性の中には疑問を感じる旧時代的な社会性(学級王国の価値観は未だ根強い…)もたくさんあります。多様性が認められるようになった時代、学び方も多様であって然るべきではないでしょうか。大切なのは、一人ひとりが最適な学びの機会を利用できるように環境を作っていくことだと思います。
学校での学びの在り方が問われる現代。最近注目を集めているPBL(Project Based Learning)という問題解決型学習は主体的で対話的な深い学びを実現する上で非常に効果的な学習方法だと考えられています。授業の中で基本的な知識や技能を生徒が習得できるようにすることは不可欠ですが、そのための方法は生徒主体でも可能であり、生徒が「やりたい」と考えたことをベースに活動し、それが結果的に知識や技能の習得につながるように授業の在り方も考えていく必要性があります。授業の在り方を考える上で活動をファシリテートしたり、適切な環境をコーディネートしたりする視点がこれからの教師には求められると考えています。その際に、教師がGoogleサイトで自校の教科に関するHPだけでなく、他校の魅力的な実践も手軽に生かすことができ、生徒もアクセスできるようになれば、初等中等教育の段階でも高等教育機関のような学習や研究も可能になっていくかもしれません。
生徒が自ら学びを計画し、それを実践することで多様な学習結果や作品が生まれます。それを他の生徒と共有してさらに学んでいくことができれば、学習者の勉強に対する考え方も「受験のための点数を稼ぐ勉強」から「学びたいから学ぶ、作りたいから作る」という自己目的的な遊びのような活動になっていくと期待しています。そんな主体的な学習態度を身につけた生徒がGoogleサイトを活用して発信者の側にまわったらどうなるか。想像は膨らむばかりです。
私の自治体ではまだ生徒がGoogleサイトを編集できる設定にはなっていませんが、今後のことを考えると、Googleサイトも生徒の活動に大いに役立ってくれるものだと期待しています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はGoogleサイトを教科や部活動に活用することの可能性について考えを書かせていただきました。Googleサイトの編集は大変簡単なので、インターネットリテラシーを守った上で適切に運用していけると、教師にとっても生徒にとってもWIN-WINになると思います。今回の内容で興味を持つことができたという人がいらっしゃったのであれば嬉しいですし、これから来年度に向けた準備に余裕がある方は是非教科や部活動でGoogleサイトを活用することを検討してみて欲しいと思います。
それではまた!
コメント
コメントを投稿