投稿

9月, 2021の投稿を表示しています

散歩で発見した秋の光景

イメージ
  今回は秋のムードが深まる中を散歩していて発見した興味深いものについてお話しします。  秋分を超えてこれから秋も深まっていくと、紅葉が徐々に始まり、観光スポットは賑わいますね。きっと今年もコロナに負けじと名所には人がたくさん集まると思います。 私もそういう紅葉や銀杏の名所に行って秋を満喫するのは好きですが、身近なところで見ることができる秋にも大変魅力を感じています。金木犀の香りや、秋の爽やかな風など、不意に感じる秋らしさに癒されたことがある人は少なくないと思います。秋は夏の過酷な生活で疲弊した私たちの心身を無意識のうちに癒してくれるものです。  無意識でも秋に自然と癒される私たちですが、秋らしさを積極的に発見するために散歩に出かけると、さらに秋を楽しむことができると私は思います。 今の時期にしかみられない貴重な光景を見たり、意外な発見をしたりできると、生活に潤いを与えてくれますし、何かのアイディアのヒントになる可能性もあるかもしれません 。  常に外の世界は変化しています。気がつけば季節が変わり、季節限定の姿を見逃してしまうのは何か勿体無いような気がします。今回は、季節限定の姿を積極的に掴みにいくつもりで散歩をして、素敵だと思えたものを写真に撮りました。その中から私が特に興味が湧いた 3 つを紹介します。一応美術の教員として、少し変わった視点で秋らしさについて考えてみました。 輝く猫じゃらし  猫じゃらしは特徴的な姿で猫だけでなく人間にとってもじゃれる対象として古来から愛されてきた植物だと思います。多くの人が猫じゃらしを手に取り、握って遊んだことがあるのではないでしょうか。  猫じゃらしは背丈が低いため普段は上から見下ろして見るのが一般的だと思いますが、 夕暮れ時になって日光の角度が浅くなると、少し屈んで猫じゃらしを見ることで、毛の部分が光り輝いて見えます 。まるで猫じゃらしがスパークしているようにも見えるこの光景。毛以外の部分は逆光で暗くなるため、強烈なコントラストが生み出されています。猫じゃらしのもつ美しさの可能性に初めて気がつくことができました。猫たちの視線であれば、猫じゃらしのこのような美しい姿を見ることは普通のことなのかもしれませんが。  視点を変えて見ると思わぬ発見と出会えることがよくあるので、周囲の視線が厳しくない環境であれば、視点遊びを

GoogleスライドとGoogle図形描画の活用でデザインを共有する

イメージ
   今回は前回のGoogle図形描画に関する内容の発展系で、Googleスライドとの合わせ技で可能になるデザインの学習について紹介します。これはまだ授業で実践していませんが、色面構成系のデザイン学習をするときには取り入れてみようと考えています。  Google図形描画は無料のツールということもあって強力な機能はありませんが、基本的な図形の活用や色の選択ができるため、シンプルな図や絵を作成するには十分です。このツールを活用して、私はこれまで中学1年生が平面デザインの基礎を学ぶ際に取り組んできた「自然物による色面構成」に生かせると考えました。  自然物を用いた色面構成ではデフォルメを学習し、構成美を生かして画面構成することになります。ただ、 デフォルメという単純化・簡略化・強調する表現は普段絵を描かない生徒や苦手意識がある生徒にとっては実はハードルが高く、典型的で没個性的な形にデフォルメしてしまい、そこから発展することができないケース をしばしば見てきました。また、 モチーフの形に囚われすぎて細かい部分を細密に表現してしまい、デフォルメできないというケースも多くありました。細かい描写で難易度の高い色面構成になり、着彩するときに難易度が上がり過ぎて画面がぐちゃぐちゃになり、結果として達成感を十分に味わえない ということも多々見受けられました。 必然的にデフォルメで表現 〜単純形で遊ぶように〜  しかし、そういった 表現することが苦手な生徒や細かく表現してしまう生徒でも、幼少期は積み木やレゴブロックといったシンプルな形の組み合わせで造形遊びしながらユニークな形を作るのが好きだったというケースも少なくなく 、表現に困っている生徒には「積み木やレゴで遊ぶように」と伝えることで手が動き始めて満足のいく制作ができる生徒もいました。それでも、「描く」ということ自体がハードルが高く、ましてや色を塗るのも苦手&苦痛という生徒もいて、そのような生徒でも気軽に取り組めて、得意な生徒も可能性をとことん広げられるような方法をこれまで模索してきました。その結果Google図形描画が有効なツールであると考えるようになりました。   Google図形描画は表現できる形がシンプルなものに限られ、モチーフを必然的にデフォルメすることになります 。しかし、形や色を気軽に組み合わせたり変更することが

Google図形描画を活用した幾何学模様

イメージ
  今回はGoogle図形描画を活用した授業について紹介します。このアプリケーションはGoogleのアカウントを持っていれば自由に使えるもので、Googleアカウントが生徒や教師に用意された学校であれば、今後活用の機会が期待できます。特に美術科ではこれを活用することで、これまでとは違った学習のアプローチが可能になります。まだ、私自身完全に使いこなせているわけではありませんが、このアプリケーションを活用して授業実践した「幾何学模様」と、このような色面構成系の学習で活用することの可能性について説明していきます。 教材「素敵な幾何学模様をつくろう」  実は、この幾何学模様を作成する授業はソフトテニスの総合体育大会の引率で私が授業をできず、その他多くの教員も大会引率で不在であったことから、授業がたくさん自習になってしまう状況に対応するために考えたものです。授業は代わりの先生に入っていただき、生徒はClassroomにアップされた動画で学習内容と作業方法を確認して課題に取り組みました。そして私は試合の会場から自分のスマートフォンで取り組み状況を確認しました。  このような取り組みは当然初めてだったので、果たして生徒が課題に取り組むことができるかどうか不安もありましたが、特に大きな問題もなく取り組み、感想文では「制作に集中していて、あっという間に1時間が過ぎた」「最初はどうしようか迷ったけど、どんどんアイディアが浮かんだ」「面白かった またやりたい」といったポジティブな意見がたくさん出ていて、私は試合会場で一人胸を撫で下ろしました。もちろん作業に不慣れで思うように制作できなかった生徒もいましたが、初めてのことなのでそういうことは時間と場数が解決してくれると思います。これからこのアプリケーションに慣れていけるよう授業に取り込み、有効に活用できる場面を考えていきたいところです。  Google図形描画はお絵描きアプリとは違い、基本的には幾何学形などを配置して図柄を作成します。なので、一般的な絵画作品やそのアイディアスケッチを作成するには不向きです。しかし、画像を貼り付けたり、図形を加工したりすることはできるので、活用方法の工夫次第で美術の学習を強力にサポートしてくれます。  今回「素敵な幾何学模様をつくろう」というテーマで、幾何学形を組み合わせて模様をつくりましたが、この制作ではリ

教育美術 第4回「アートの樹」

イメージ
  今回は教育美術シリーズ第4回ということで、「アートの樹」という作品を紹介します。この作品は末永幸歩著の「13歳からのアート思考」に影響を受けて制作しようと考えたものです。この本を読んだのは昨年でしたが、日常の多忙な業務の中、なかなか制作することができなかったところ、今年の夏休みは感染症対策ということで、部活動の時間が少なくなったり、大会が中止になったことで、かなり時間に余裕ができたため制作することができました。私自身、部活動をすることはどちらかというと好きですが、それによって美術と関わる時間は確実に減ってしまうので、自由に使える時間の大切さを改めて考えさせられた夏休みでした。  「13歳からのアート思考」では、アートを一つの植物として捉えるということが書かれていました。作品は花のようなものであり、色んな花があってそれぞれに良さがあってその違いを鑑賞して楽しむ。これでも決して悪いわけではありませんが、著者はそのように表面的に美術と関わってきたところに課題があると考えています。著者曰く、実は作品として私たちの目に映っている部分はアートという植物のほんの一部であり、地中には「興味のタネ」、そこから伸びる「探求の根」があり、興味が膨らむことによって探究する根が様々な方向に伸び、地中からアートになる養分を吸い取っているのがアートという植物であり、この 「探究の根」を伸ばすことが美術教育において重要視されるべきであり、そのようなアートを探究する知的な行為が「アート思考」である と述べています。  これに対して私は深く共感し、私がこれまで美術の授業で大切にしてきたプロセス重視、美学的なアプローチにもつながるものだと感じました。ただ、こういう考えをこれまでブログなどで発信はしてきましたが、自分の関わる生徒に対して明確に分かるものを示すことができていなかったので、「アートという植物」のアイディアを自分なりに昇華して作品を作り、アートとはどのようなものか生徒が感じられるきっかけとなるものを美術室に設置できたらと考えました。  私が制作した「アートの樹」は基本的な考え方は「アートという植物」に倣っているのですが、幹と枝の部分、そして大気と大地の要素を加えました。幹の部分は表現のジャンル、枝の部分は用(生活に用いるデザインや工芸)に関するものと美(絵画や彫刻など純粋に美の要素に特化した