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7月, 2024の投稿を表示しています

学期末の大掃除で美化活動

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 学期末定番の大掃除が1学期の終業式の前日に行われました。教室は掃除の後にワックスをかけるので机椅子は全て廊下へ出して床や教室の隅々まで拭いたり磨いたりしますが、美術室は床が謎のコンクリート加工ということでワックスをかける必要がなく、机椅子の場所はそのままで行うので、割といつも通りの掃除をしました。しかも、普段から美術室は時間いっぱい掃除に取り組んでいるので、特別に綺麗にする必要もなく、いつも通りの掃除で十分という状態でした。普段から掃除に励んでくれている美術室のメンバーには感謝です。  大掃除は普段の掃除時間の倍の30分間ということで、普通に掃除をすれば15分余るわけですが、せっかくなので掃除以外の美化活動に取り組んでもらうようにしています。これまでにやってきたこととして、 ・すのこラックのペイント ・ダンボール棚のペイント ・美術室の汚れた壁をグレーにペイント(もちろん校長に許可を取った上で) ・ダンボールパネル(90cm×180cm)や画用紙(絵画制作の下敷き)にステンシルでペイント 以上のような美化活動に取り組んできました。どれも掃除時間が終了しても少し居残りしてやり続けるぐらい生徒は夢中で取り組みます。ちなみに、この大掃除の後半15分間で行う美化活動の時間のほとんどは、私は別の担当場所である自分のクラスの教室や廊下の掃除監督に行くので、活動の一部始終を把握しているわけではありませんが、出来上がったものを見れば大体どんな感じで作業が進んだのかは想像ができるので、生徒が短時間で色々と工夫を試みたことが分かります。  今回は先日行った大掃除の美化活動で取り組んだダンボールパネルと絵画制作する際の下敷きに利用する画用紙へのステンシルペイントを紹介します。もちろん掃除時間の美化活動としてだけでなく、教材としてもステンシルの版画は面白いので、何か参考になることがあれば嬉しいです。 ステンシルの版とスプレーがあれば手軽に楽しめる  模様や図柄をステンシルの切り絵で作成すれば、スプレーで簡単に版画ができます。もちろんステンシルを作成するのは手間ではありますが、この作業自体が充実感であったり達成感であったり、ものを作るのが好きな人にとっては多少なりともウェルビーイングに貢献することなので、暇を見つけてはステンシルを作成しておくのが良いでしょう。私の場合は教材の一環として和柄

観点別評価AとCの混在への違和感について

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  1学期が終了し、今日から夏休みに入りました。夏休みに入っても部活動やその他の仕事がたくさんあるためそれほどゆっくりできるわけではありませんが、これまでに比べると多少は趣味に充てる時間が増えるので、やはりいくつになっても夏休みは嬉しいものです。  一般的に1学期最終日に生徒に渡す通知表。これが渡される際のドキドキ感は今の生徒も昔の生徒もあまり変わらないような気がします。成績に自信があるなしに関わらず、渡される前はとにかくソワソワしていて、通知表というものが及ぼす影響には非常に強い力があると言えます。それは教員として仕事をしている自分の勤務評価が渡される際の感覚も同様ですね。  ただ、この通知表というものが生徒の学習状況に対する適切なフィードバック(観点別評価のABC)になっていないと、1から5までの評定という分かりやすい成績をただ確認したり、友達と比較したりするだけのものになってしまいかねません。「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3つの観点のABC(個人的にはSを作って欲しいと考えていますが)が生徒の学習の実態を表すものとしてフィードバックされ、その後の学習につなげてこそ通知表の役割を果たすことにもなります。   今回、通知表の観点別評価について記事を書こうと思ったのが、観点別評価にAとCが混在しているケースをよく目にすることがあり、これについて私は違和感があるためです 。本来、3つの観点は相互に関係し合うものであり、A(非常に優れている)とC(成果が不十分で努力を必要とする)が混在するような評価というのは、そもそも評価方法自体に何かしらの問題がある可能性が考えられます。  教師としてABCで評価する機会がある人は1%程度の人間にしか当てはまりませんが、全ての大人が通知表を受け取ったことがありますし、親として通知表が渡される機会のある人ももちろん多いので、色んな人にこの問題について考える機会にして欲しいと考え、記事を書きました。 CCAとAACは特に強烈な違和感   「知識・技能」がC、「思考・判断・表現」がC、「主体的に学習に取り組む態度」がA。そんな評価を度々見ることがあります。このような評価は教師の指導を速やかに改善する必要があることを文科省から出されています。( 関連資料 )  ではなぜこの評価に問題があると言えるのでしょう

研究大会の質疑応答にSlidoとChatGPT-4o、Googleドキュメントの活用

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 今年の7月31日に岡山県中学校教育研究会美術部会の研究大会が建部文化センターで開催されます。この会に向けて、私は倉敷支部の研究主任として発表準備を行なってきました。そして私自身も発表者の一人として当日はICT活用で広がる学びの可能性について研究発表することになっています。もうすでに当日のプレゼン資料も含めた発表資料は完成し、支部の中でのリハーサルも済ませているので、後は本番を待つのみとなっています。  研究大会では実践発表、質疑応答の流れが組まれており、これはごく一般的な流れですが、今回の発表では事前に質問をSlidoというアプリで入れられるようにしており、これによって発表しながらでもSlidoに入力された質問に目を向けることもできるため、スムーズに質疑応答に入ることができるようになっています。  ただ、質疑応答の時間には限りがあるため、質問に全て答えることができない可能性も十分にあります。せっかくの機会なので、可能な限り答えるつもりですが、限界があるのも事実。しかし、 質問があるのに答えられないのは勿体無いということで、今回ChatGPT-4oを活用して発表者のAIを用意し、後で回答をGoogleドキュメントで共有するという手段を取ることにしました 。  今回はChatGPT-4oを活用して発表者のAIを用意し、Googleドキュメントで回答を共有する方法について説明します。この夏休みに研修会や研究大会を予定されている場合は同じようにChatGPTを活用できる可能性もあるので、良かったら参考にしてみてください。 ChatGPT-4oに論文と発表スライドを読み込ませる  既にChatGPTを利用したことがあるという人も多くなってきていると思いますが、一応ChatGPTの最新版モデル4oとは何かについて説明しておきます。  無料版で使える従来のChatGPT-3.5はテキストを入力してAIがテキストで返答するというものでしたが、ChatGPT-4oは 画像、動画、音声なども含めた複数の形式のデータを同時に処理できるマルチモーダル機能を備えており、スライドやPDFといった文書も読み込ますことができます。つまり、これによって、 発表に関係する資料をChatGPTに読み込ませて自分の考えを学習させることができるようになりました 。  今回の発表に向けて、倉敷支部の発表者は

肌の色は色彩学習の良い教材

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 私は普段から、生徒たちに色を自分で調整し、自由自在に色彩表現をする手段として三原色(赤、青、黄)を中心とした混色を指導しています。これにより、彼らが色を柔軟に扱う力を養うことができると考えています。しかし、指導を続ける中で、生徒たちの中には強い固定観念が残っていることに様々な場面で気付きます。特に「肌色」の作り方について質問される時に色への固定観念を感じます。  きっと多くの人が肌の色を表現する際に同じような疑問や質問をしたことがあるのではないでしょうか。保育園や幼稚園、小中学校ではよく人を描く機会があり、その際に「肌色」を使うのが当然のこととして考えられてきたと思います。 しかし、肌の色は本来人それぞれですし、同じ人でも肌の場所によって色が大きく異なります 。  それゆえに、「肌色」という言葉が生徒の口から出た時というのは、生徒が色彩についてそれまでの固定観念を破壊して、新たに認識を深める非常に良い機会になります。今回は「肌色」という言葉が授業で出た時の生徒への仕掛けを紹介します。 肌色の固定観念と肌の色の多様性 「肌色」という言葉は、かつては絵具の色の種類として広く使われていましたが、最近では「ペールオレンジ」や「薄橙」という言葉が使われるようになっています。しかし、人々の間では「肌色」という言葉が根強く残っており、その影響からか中学生も何の疑いもなく「肌色」という言葉を使い、肌の色を表現する固定的な色が存在すると思い込んでいることが多いです。  しかし、肌の色は本来多様であり、陰影や光の関係、体温の上下によっても変化するものです。それゆえに「肌色」と色を固定することは本来不可能だと考えています。私は多様な肌の色を前提にした「肌色」という言葉の存在自体を否定するわけではありませんが、 肌の色が多様であること、そして色彩表現する際には細かな色の調整が必要であることを生徒には認識してほしいと思っています 。  以上の色はどれも肌の色であり、変化はグラデーションで考える必要があります。昔のように絵の具に「肌色」が存在すると、それ以外の色を肌の色として使いにくくなってしまう可能性があり、これは「肌色」による色彩学習への弊害となります。 肌の色彩表現  この絵は、三原色と白を使って肌の色を再現する教材として私が描いたものです。この絵の完成度は置いておいて、これを見れば基