研究大会の質疑応答にSlidoとChatGPT-4o、Googleドキュメントの活用
今年の7月31日に岡山県中学校教育研究会美術部会の研究大会が建部文化センターで開催されます。この会に向けて、私は倉敷支部の研究主任として発表準備を行なってきました。そして私自身も発表者の一人として当日はICT活用で広がる学びの可能性について研究発表することになっています。もうすでに当日のプレゼン資料も含めた発表資料は完成し、支部の中でのリハーサルも済ませているので、後は本番を待つのみとなっています。
研究大会では実践発表、質疑応答の流れが組まれており、これはごく一般的な流れですが、今回の発表では事前に質問をSlidoというアプリで入れられるようにしており、これによって発表しながらでもSlidoに入力された質問に目を向けることもできるため、スムーズに質疑応答に入ることができるようになっています。
ただ、質疑応答の時間には限りがあるため、質問に全て答えることができない可能性も十分にあります。せっかくの機会なので、可能な限り答えるつもりですが、限界があるのも事実。しかし、質問があるのに答えられないのは勿体無いということで、今回ChatGPT-4oを活用して発表者のAIを用意し、後で回答をGoogleドキュメントで共有するという手段を取ることにしました。
今回はChatGPT-4oを活用して発表者のAIを用意し、Googleドキュメントで回答を共有する方法について説明します。この夏休みに研修会や研究大会を予定されている場合は同じようにChatGPTを活用できる可能性もあるので、良かったら参考にしてみてください。
ChatGPT-4oに論文と発表スライドを読み込ませる
既にChatGPTを利用したことがあるという人も多くなってきていると思いますが、一応ChatGPTの最新版モデル4oとは何かについて説明しておきます。
無料版で使える従来のChatGPT-3.5はテキストを入力してAIがテキストで返答するというものでしたが、ChatGPT-4oは画像、動画、音声なども含めた複数の形式のデータを同時に処理できるマルチモーダル機能を備えており、スライドやPDFといった文書も読み込ますことができます。つまり、これによって、発表に関係する資料をChatGPTに読み込ませて自分の考えを学習させることができるようになりました。
今回の発表に向けて、倉敷支部の発表者はプレゼン資料だけでなく、発表内容に関する論文も書きました。これらをChatGPT-4oに添付して、質問事項に対して私が答えることを想定して文章を作成するようにプロンプトを入れておきます。
すると、頼んでもいないのにいきなり想定される質問に対する回答例を挨拶がわりに生成してくれました。
まあ、私もこのように答えることでしょう。点数的には7〜80点の回答をしてくれています。ただ、Q3の生徒の反応に関しては50点以下の回答でした。私は今回の発表で振り返りとレポートが一体化したGoogleスライドの活用意義について主体的な学習とPBL、学びのウェルビーイングに触れるつもりなので、この内容では浅すぎます。こういう場合には説明を補足するかレポートについてもっと触れるようにプロンプトを入れて文章を再生成したり、自分で説明を追加したりしてより良い内容にします。
ChatGPT-4oはChatGPT-3.5と比べると格段に賢くなっていますが、それでも完璧に満足できる内容で答えてくれるわけではないので、必ず生成した文章に目を通し、必要があれば仕上げの調整をすることが重要になります。AIを活用するだけというのは回答に対してあまりに無責任であり、研究発表会という場に相応しい方法とは言えません。ただ、それでも普通に文章を打ち込むよりも圧倒的に早いスピードで返答することが可能になることでしょう。
Googleドキュメントに回答を共有
今回、倉敷支部が用意する大会原稿にはQRコードがついており、デジタル版の大会原稿が利用できたり、発表関連資料をデジタルファイルで閲覧したりダウンロードできるようにしています。その中に質疑応答に使うSlidoのQRコードや、質疑応答の内容をまとめるGoogleドキュメントのファイルにつながるQRコードを付けています。ChatGPTで生成した応答の文章はこちらに貼り付け、仕上げの編集をして参加者に共有します。
Googleドキュメントで回答する際に、文章を追加するだけでなく、ハイライトを入れて特に伝えておきたい部分を強調するのも有効な手段です。この文章量を打ち込もうと思うと数十分必要ですが、ChatGPTであれば数分で完了します。
今回、発表時間と質疑応答の時間を短時間でスマートに収めようとしているには訳があり、倉敷支部はワークショップをメインにしています。このワークショップは2つの発表に関連したもので、体験的に学び、実感を深めるということ、そしてシンプルに参加者に造形行為を楽しんでもらうという狙いがあります。それゆえに、発表と質疑応答の時間を極力無駄なく収めたいという思いがあり、Slidoで意見を集め、それをChatGPTに流し込むという対面形式でありながらオンラインも活用するという方法を取ることにしました。
ずっと感じてきた質疑応答の時間の息苦しさを解消
ここからは個人的な考えになるかもしれませんが、これまでの一般的な質疑応答に関して色々と思うことがあるので少しお話しさせていただきます。それはオンライン会議が多くなって顕著に見られるようになったスムーズな質疑応答についてです。
対面での質疑応答では挙手してから発言するのが普通です。しかし、質問を実際に挙手して言うには結構勇気が必要であることに加え、周りの様子を伺いながら挙手することが多いと思います。この息苦しい「間」が事前にSlidoに質問を入力されていることで解消されます。これに加えて、口頭で意見を言う場合、定番の「〇〇市立〇〇中学校で美術を担当している〇〇です。本日は貴重な学びの機会を得られるほにゃららこにゃらら・・・」という丁寧に話す時間が生まれがちですが、これは省略できる部分であると考えています。テキストであれば一瞬で伝わる内容も、口頭になるだけで何倍も時間がかかってしまいます。そして、質疑応答の一方通行的な話し言葉では誤解が生まれやすく、折角返答したのに質問者が十分に満足できなかったり、話している内容が上手く伝わらなかったり、問題が多くあったと感じています。
質疑応答の内容をテキストで残すことで、より理解しやすい状態になりますし、それでも十分に伝わっていなければ、その後に直接対話をするという手もあります。オンラインツールを活用することでこれまでのアナログのみの質疑応答より建設的なものになると考えています。
とは言っても、なるべく口頭で質問に答える
私はAIを活用しながらも、やはり感情性ある人間が口頭で想いを語ることが大切であり、こういう研究大会では不可欠であると考えています。もし「質問への回答は全て発表者のAIが生成しているので、そちらをご確認ください」なんてことになってしまったら悲しさを感じる人もいるのではないでしょうか。
研究大会は説明的な部分が多いのは紛れもないことですが、それでも発表者の想いがあってこそ参加者に伝わるものもあるわけです。なので、私はこういった発表の場で発表原稿と言うものを作ったことがありませんし、そんなものを作ってロボットのようにスラスラと読みたいとも思えません。文章を読み上げるだけなら今の時代パソコンでもできますし、発音技術の進歩は目覚ましいものがあります。
質問に対して熱い想いをもって返答する。これが対面形式の醍醐味だと思います。無難で綺麗な回答をすることより、その場にいる人たちの印象に刻まれるような表現をすることが大切であると考えています。対面での発表ならではのライブ感が非常に大切であると私は考えています。
ただ、事前にChatGPTに質問をしておくと、質疑応答の良い練習にはなります。ライブ感のある発表をするためには、それを遂行するための知識と経験が必要になります。色んな質問を想定して答える準備をしておくと質疑応答のイメージができて安心感をもつことができるので、質疑応答に慣れていない人の場合は、練習目的でChatGPTをフル活用するのも良いかもしれません。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は研究大会の質疑応答にChatGPT-4oとGoogleドキュメントを活用する方法と意義について説明させていただきました。ChatGPTでスムーズに回答できると言っても、そもそも自分のAIをつくるにはそれなりのボリュームの資料を用意する必要があるので、今回の文章は決して仕事が楽になると言うものではないかもしれませんが、より質疑応答が充実したものになるようにする一つの方法にはなると思います。今回の内容が読まれた方にとって何か参考になる部分があれば嬉しいです。
それではまた!
コメント
コメントを投稿