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2月, 2025の投稿を表示しています

教育美術 第5回「柚木沙弥郎ミニ校内展」

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 今回は約3年半ぶりに「教育美術」に関する実践を紹介します。以前の教育美術に関する記事へのリンクをまとめていますので、よかったらこれらもご覧になって下さい。 第1回「国旗で彩られた地図」 第2回「トイレのパーテーションデザイン」 第3回「美術室の出入口のデコレーション」 第4回「アートの樹」  私自身、普段から絵を描いたり、彫刻を制作したりすることはほとんどありませんが、美術教育に関する制作は時間があれば取り組んできました。作品の主な目的が「教育」にあるため、私はこのような作品を「教育美術(Educational Art)」と呼んでいます。  今回は染色工芸家である柚木沙弥郎(1922-2024)に関する校内掲示を行いました。掲示に際しては前回の記事で紹介したPP(ポリプロピレン)シートを活用した掲示板も活用しています。 校外研修の事前学習として要請を受ける  「どうして柚木沙弥郎?」と思った人もいるのではないでしょうか。私も詳しくは知らないアーティストだったので、いきなり1年生担当の先生から「柚木沙弥郎について学ぶ機会を作ってほしい」と言われた時には「どういうこと!?」と率直に思いました。「校外研修で岡山県立美術館に行く機会があるため、その事前学習として紹介してほしい」と説明を受けて納得。基本的に私はイエスマンなので、早速柚木沙弥郎について勉強し、何ができるかを検討しました。  柚木沙弥郎は染色家でタペストリーなど大きな布を活用したシンプルデザインの作品で有名なので、彼のタペストリー作品の配色と模様を参考にしてステンシルで着彩しました。さすがに注染では手間がかかりすぎるので、ローラーを使ってペンキで着彩しました。  多少形がぼける部分もありましたが、雰囲気はある程度出せたのではないかと思います。  柚木沙弥郎についての紹介や彼の残した言葉などもA3の紙にまとめ、岡山県立美術館で開催される「永遠のいま」展の紹介なども用意して校外研修に向けて関心を促す仕掛けを工夫しました。   空間利用の工夫でインパクトある展示  授業で時間をじっくり取ることができれば良いのですが、それが時間数的に難しいため、今回のような展示による事前学習となりました。ただ、それでもインパクトのある展示であれば、少しは意識に刷り込むこともできるのではないかと思い、タペストリーを階段のスペースに吊るし...

PPシートに一工夫入れた掲示板

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 今回は100均で買えるPP(ポリプロピレン)シートに一工夫を入れて作成した掲示板を紹介します。一工夫というのは、伝統文様のステンシル(最近伝統文様に関するものが多い…)をあしらったもので、スプレーで手軽に着彩して作成でき、しかも壁への設置と掲示物の貼り付けも手間がかからないというものです。  学校などの掲示板と言えば、大きな板に画鋲で貼り付けるものが一般的ですが、この掲示板はマスキングテープや剥がせる両面テープ専用のものになります。それなら壁に直に貼れば良いと思う人もいるかもしれませんが、それをすると、テープを剥がす際に壁のペンキが剥がれて、テープを貼るたびに壁が汚くなっていくため、できればペンキで塗装された場所にはテープで貼り付けたくありません。 PPシートを活用した掲示板であれば、テープがよく貼り付き、しかも剥がしやすい というメリットだらけです。  今回紹介するPPシートに伝統文様を施した掲示板は私自身、想像以上に良い出来になりましたので、壁がペンキ塗装で掲示環境を改善したいという場合には非常にお勧めできます。今回の内容が読まれた方にとって何か参考になるものとなれば嬉しいです。 PPシートにステンシルを活用してラッカースプレーで着彩  PPシートは四つ切りサイズのものが100均で購入できます。このサイズに合う四つ切り画用紙でステンシル版を作成し、ラッカースプレーで着彩します。  鱗文様をラッカースプレーで塗装。マスキングテープは繰り返し固定に使っても十分機能を果たします。やはり伝統文様は安定感のある美しい構成美となります。  こちらは市松文様。大変シンプルな文様ですが、ルイ・ヴィトンのダミエ柄は市松文様に影響を受けたものであるというのは有名な話。この話が有名になった鬼滅の刃訴訟&敗訴のエピソード(市松文様を採用したルイ・ヴィトンが伝統文様を普通に使っているだけの鬼滅の刃を訴えるという謎の訴訟)はお笑い話です。  明度の低い色で全体をカバーしておくと、PPシートのデフォルトの色が主張しなくなり、掲示板らしい雰囲気になります。個人的に黒でカバーするのがおすすめです。 スプレー塗装した面を壁面に 固定はマスキングテープ  PPシートはスプレーの塗料が乾くと色が剥がれやすく、塗装面に掲示物を貼り付けると、テープを剥がす際に色も剥げてしまいます。なので、 壁面に貼り付...

手軽にできる伝統文様窓ガラスフィルム

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 最近伝統文様にはまっています。私自身、元々デザイン関係のことが好きで、伝統文様や北欧柄を教室の天井に貼り付けて、空間をデコレーションしてきました(天井の雨漏りの痕を隠す役割も有)。  そんな私ですが、最近さらに伝統文様を活用することが増えています。と言うのも、中学2年生の授業では版画に取り組む中で伝統文様も扱い、日本ならではの美について生徒に知ってもらえるよう試みてきました。生徒と一緒に授業を楽しんでいるうちに、自然と伝統文様を活用する視野が広がり、これまで以上に伝統文様への愛が深まったことが授業外での活用につながっていると思います。授業ではステンシル版画で日本の美を表現することをテーマにしていたので、伝統文様を学ぶことが目的ではありませんでしたが、多くの生徒が伝統文様を活用した版画制作を楽しみ、非常にクリエイティブな作品がたくさん生み出されていたので、そこから私自身も大いに刺激を受けることができました。  版画の授業は終わりましたが、伝統文様が様々な場面で有効活用されているのを生徒が目にすることができれば、学習のメタ認知を促したり、美への興味関心を刺激したりすることにつながることが期待できます。なので、機会を見つけては伝統文様を生かしたアレンジに取り組むようにしています。  今回はそんな授業外で取り組んできたもの中から、伝統文様窓ガラスフィルムを紹介します。これはコピー用紙とラミネートフィルム、カッター、スプレーと両面テープがあれば割と簡単にできるものなので、良かったら作成してみてください。  ちなみにこちらから作成動画を見ることができます。  伝統文様窓ガラスフィルム コピー用紙に方眼を施し柄を下がき  用いる用紙はコピー用紙で十分で、画用紙や和紙といった高価で丈夫なものでなくて構いません。コピー用紙でもラミネートをすればそれなりに綺麗に見えるようになります。  まずは紙に方眼を施すために、折り目をつけます。正方形を生かした方眼であれば紙を折り曲げるだけでもできますが、もちろん定規で長さを測って線をかき込むのも良いでしょう。正三角形の斜方眼を描く場合はコンパスがあった方が良いですが、正方形のものはこの点でとても手軽です。   伝統文様は幾何学的な図を活用したものが多く、方眼を活用すればたくさんの種類の伝統文様がかけます 。今回は青海波の文様を作成しました。青海...

家庭でつくれるちょっとした幼児用のクラフト① 〜手作りスリッパ〜

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 今回は家庭でできるちょっとしたクラフトで幼児用のものを紹介します。ただ、今回は 幼児用のものを手作りすることの意義 がどちらかと言うとメインで、今後は幼児用のクラフトについて紹介できるものがあればブログで書こうと思います。  実は2歳の娘が、かねてよりスリッパが好きで、私や義理の母のスリッパをしばしば奪って履いてきました。当然大人用なので履くには履いてもブカブカなので思うように動けない。そんな状況にもめげずにスリッパをこよなく愛し続けている様子を見て、娘用のスリッパを用意しようと考えるに至りました。  今回紹介するスリッパの作り方はとても簡単な方法で、布と厚紙とミシンがあれば1時間程度で作ることができる簡単なものなので、もし興味があればやってみてください。 用意するもの(ミシン、裁縫道具以外で) 厚紙、布  まずはスリッパのベースになる台の部分を作成するために、子どもに足を紙の上に置いてもらい、周囲を縁取ってサイズを決めます。作成例の写真は足型をかいた直後に思いっきり娘に落書きされました…。何はともあれ、この型取ったものを厚紙に写して切り取り、布でカバーして底と中敷を作ります。底になる部分には伸びが良く、包み込む形を作りやすい靴下の布(使い古して穴が空いたもので十分)がお勧めです。  厚紙に靴下の布を仮で縫い付けて底部を作り、中敷用の布を反対側からセットしてミシンで一気に底部、厚紙、中敷を合体させて台の部分は完成。中敷の布を合体させる前に、厚紙との間に何枚かクッションになる布(今回は靴下の布を使用)を入れて履き心地を改善するのも良いかと思います。甲の部分を中敷に挟み込むと商品らしくなりますが、今回紹介するものは台の部分と甲の部分を分けて作成しています。  甲の部分も厚紙を布でコーティングして、最後は手縫いで台の部分と合体して完成。甲の型紙はアーチ系でつま先に行くほど萎んでいくように、曲線的な形にすることが大切です。今回、甲の表はジーンズ生地、裏側は靴下の生地にしています。  クオリティーにこだわるのであれば、もっと手の込んだ制作方法もありますが、この方法であれば手軽なので、すぐに完成します。ちなみに、スリッパが完成するや否や、早速娘は嬉々としてスリッパを履いて動き回っていました。こういうのを見られるのは親として幸せです。 幼児の目の前で作る意義 〜家庭で創造活動を...