部屋の整理整頓

  新しい学校へ来てから5ヶ月近く経ちました。この間に美術室と準備室の整理整頓とアレンジをかなり行いました。今回は整理整頓について私が考えたことを書きます。

 4月に美術室と準備室を見たときの第一印象は「部屋が狭く感じる」でした。しかし、決して部屋が狭いわけではありませんでした。部屋が狭く感じる原因は、「物が多すぎる」ということで、物というのも本来廃棄物にしなければいけないものや、あるべき場所に収められずに無秩序に放置されていたといったことでした。中には昭和の時代から眠り続けていたものや、封印された呪いのような仕掛けなど、つっこみどころが満載でした。一人で作業しながらひたすら心の中でつっこみ続けてました。そうして笑いに変えないと、怒りのあまりに発狂して虎になりそうだったので…。

 

 

 物を整理しやすい状態に部屋を体系化すれば、整頓もしやすくなりますが、どうもそういった整理整頓のためのデザインシンキングがこれまでにこの部屋で活用されていなかったことがこのような部屋の状況になってしまったのだと思います。しかし、私も思い返せば大学時代までは整理整頓が苦手というか、厳密にはその方法がよく分かっていなかったので、この美術室と準備室ほどまでではなかったにしても、良好な状態ではなかったように思います。

 今回、整理をする上で大切にしたのが、「機能性」です。迷うことなく、使用者のニーズに応えられる。それが機能性を定義する上で大切ですが、これを実行していくと、自然と空間が整理されてシンプルになっていきます。だからと言って、ミニマリストみたいな美術室になってしまうのも私としては好みません。美術室には美的な刺激が必要だからです。美術を学び、美意識を伸ばすための「機能性」を考えていくと、無駄な物はなくなり、ましてや廃棄物が教室に放置されるなんていうことも必ずなくなります。美術室は100人に1人いるかどうかも分からない廃棄物フェチのニーズに応える場所ではありません。


 準備室は授業に使う道具が使いやすい状態に整理されていなければ、ただの廃棄物予備軍保管所です。実際に整理整頓していると、様々な使えなくなっている物が出てきます。調べてみると、既に学校の備品から外れてしまった物もたくさんあり、本来なら平成に入る以前に廃棄済になるべきものもありました。そういった物が収納スペースを圧迫し、本来収まるべき物が放置され、カオスに葬り去られてしまっていたのでした。しかし、これまた思い返せば、私自身も引越しのたびにクローゼットから、「なんでこんなもん保管してんねん!」と自分につっこみを入れたくなる物が毎回見つかっているので、あまり偉そうなことは言えません(苦笑)


 廃棄物を出し、スペースが生まれた準備室は適切に道具が収まるようになりました。ただ、この状況を今後も長く続けていくためには、より安心感のある整理状況をつくる必要があります。棚でガラスの窓の部分は外からみて一目瞭然ですが、外からでは分からない棚もあります。こういうものは外からでもわかりやすいように、シールや札を貼って何が収まっているのか、他者でもわかるようにしておくことが大切ですね。そして、絵画、工芸、彫刻といったカテゴリーごとに場所をまとめておくと、整理しやすいですね。準備室は生徒が創意工夫する際に適切な道具や材料を提供できる状態にしておかなければいけないと私は考えています。せっかく生徒が良いアイディアをもっていても、それを道具や材料がなくて表現ができないというのはあまりに残念です。先生が準備室に必要なものを取りに行って1分以内に戻って来る。この状態が望ましいです。先生が「ちょっと待ってて!準備室にいい物があるから!」と言って、10分戻ってこなかったら授業放棄ですよね。それで物があればマシですが、さんざん待たしておいて「ごめん!やっぱりなかったわ!」なんて言って戻ろうもんなら生徒からしたら背信行為以外の何物でもありません。 クリエイティブに仕事や何かをしようと思うのであれば、そのための準備物とそれを活用できる状況が必要です。整理整頓ができるというのはまさに「状況」を表していると思います。整理整頓のキーワードは「場所を決める」「誰でも分かりやすい」「無駄がない」「使いやすい」「片付けやものを探すのは1分で十分な状況にしておく」などでしょうか。安易に子どもや片付けのできない人に「整理整頓して」と言っても、そもそもどうしたら良いか分からないという人がほとんどです。かつての私のように…。整頓しても3日後には元どおり…なんていうことはざらにありますよね。だからこそ、整理整頓を知識として身につけ、それが役に立つということを身をもって実感できる「生きる力」にすることが大切だと思います。そして、そんな力がつくように教育するのも美術教員としての大切な側面だと信じています。

 今回は整理整頓についてお話をしました。今度は廃棄物を処分しながらも、生かせるものはリサイクルし、空間を活用することにつながる方法についてお話ししようと思います。

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