旅は人生を変える 第1回 旅にスリルのスパイスを

 これからしばらく人生を変えた旅についての記事を書きます。もちろん美術にも大変関連する話なので、インドア派で旅行なんてしない!という人や、高額な海外旅行よりも手軽に楽しめるgoogle mapやgoogle earth派だという人にも何かしらの価値を提供できる内容にしたいと思います。しかし、今回の記事は猛烈に旅することの価値を語るので、「あ、無理〜ww」と思う人は次回から読んでもらえたらと思います。

 「旅は人生を変える」というタイトルで記事を書こうと思ったきっかけは、私は新婚旅行を除いて海外旅行は全て一人で行ってきました。しかし、周りの人は私に「なんでツアーにせんの?」「一人で行くん怖くない?」など言ってきます。それに対して私は「一人で行った方が得られるものが多く面白いと思います。ツアーで大勢と一緒にまわったり、予め用意されたスポット見学をするのは自由な時間が削られるため、貴重な時間を最大限に活用できていないと感じるからです。海外旅行だからこそ出会えるスリルさえも好きです。」と答えます。


 

例えば、私はローマに行った時、予てから憧れをもっていた「アッピア街道」をひたすら突き進んだことがあります。この道は「すべての道はローマに通じる」で有名な街道です。私はこのローマ繁栄の象徴である道について高校の世界史で習った時から強烈な憧れがありました。当然、歩けども歩けども特に何も風景は変わりません。隣町まで何もないことはなんとなく分かっていたのですが、憧れのアッピア街道を私はその時歩きたかったのです。さすがに5キロぐらい歩いたところで引き返しましたが、最高にロマンに浸り、人類と歴史の意義について考えることができた約2時間の贅沢な散歩でした。こんなことは時間を自由に使える一人旅だからこそできます

 こういう考えを聞くと、案外多くの人が納得してくれます。きっと、できれば少人数や一人で楽しみたいという思いが皆さんあるんでしょうね。でも英語が使えないことや、未知の場所や人々に対する恐怖が、単独旅行という素敵な体験に対して二の足を踏ませるどころか、絶望さえ感じている人が多いように思います。

 しかし、そこまで恐れる必要があるのでしょうか。特に今の時代スマートフォンがあればなんでもできる時代です。たとえ英語が使えなくてもスマートフォンが解決してくれます。それに、ヨーロッパの主要国であれば治安が日本以上に良いとは言えませんが、命を落とすようなことはまずないと言って良いでしょう。日本にも非常に治安の悪い地域はありますが、そこで死者が毎週出るなんてことありませんよね。日本人が海外で殺されるようなことがあれば大ニュースになります。そして時々そのようなニュースは見ますが、大抵は紛争地であり、命を落とす覚悟で行っている人がほとんどだと思います。いくらイギリスでテロが起きたことがあるといっても、ロンドンに旅行に行く人に対して「絶対に死なんといてな!」なんて言ったら、まるで戦場に向かう大日本帝国時代の日本男児級の扱いですよね。そういうシチュエーションが好きな人ならこういう言葉にテンションが上がること間違いなしですが、多くの人は「は?海外旅行を楽しもうとしてんのに、この人どういうつもりなんやろ」と思ってしまうのではないでしょうか。

 私が思うに、単独での海外旅行は日常生活では体験できない安全が確保された最高のスリルだと思います。また次回の記事でお話しする内容に関連しますが、10万円の飛行機代を払っておいて、海外の空港で問題が発生して取り調べを受け、日本に送り返されるようなことがあったとしても、そんな体験はなかなかできるものではありません。文字通り有難い経験として、きっとその後の人生に生かされることだと思います。後々その経験は10万円以上の価値を生むことでしょう。一応誤解の内容に言っておくと、私は取り調べを受けたことがありますが、幸いにも日本に送り返されることなく、旅行を続行することができました(苦笑)

 未知との遭遇に溢れる旅は、それまでの自分の限られた世界を一気に拡大し、考え方を根本から変えることにさえなります。海外旅行が値段的に高いというのであれば、日本の文化的な街や遺跡でも良いと思いますが、日本国内は安全&安心&安楽の3安が見事に形成されており、スリルがなさすぎます。よく観光地のベンチで日頃の疲れからスヤスヤと気持ちよく居眠りする観光客を見かけます。時間とお金を使って観光地で快適な睡眠。それも悪くはないと思いますし、とても贅沢な生活だと思います。しかし、私はそういう時間とお金の使い方は自分に与えてくれるものが少ないように思います。たとえ費用が海外旅行の10分の1程度で済む国内旅行でも得られるものが単独での海外旅行の10分の1以下では価値があるようには思えないのです。少なくとも、海外旅行で単独行動をしている人で退屈そうにしていたり、ベンチで居眠りしている日本人を見た覚えがありません。そもそもベンチで居眠りしていたら荷物を盗まれる可能性が急上昇します(笑)

 スリルが絶対大事だとは思いませんし、実際私も海外旅行中は大部分の時間で比較的リラックスしています。しかし、大事なのはスリルとリラックスが適度に入れ替わる状況だと思います。ずっとリラックスしているとだんだん活動力や好奇心が失われていき、退屈を感じてしまうのが人間です。しかし、スリルとリラックスが適度に入れ替わる状況があると、好奇心や充実感が良い状態でキープでき、豊かな体験をすることができます。というよりも、吸収力がスポンジのような状態になります。スリルを乗り越え手にしたリラックスはこれまた有難いのです

 海外旅行は単独であってもヨーロッパであれば数十万円は必ずかかります。それでもそのお金を払う価値があると思います。自分の世界観を広げてくれる旅行は価値ある自己投資です。年間数十万から数百万かかる大学での学費ですが、私の個人的な印象としては、海外旅行で得られた学びの方が大きかったように思えます。それぐらいに一人での海外旅行は強烈な経験になります。私の兄は大学時代にインドにこれまた単独で旅行をして、財布を盗まれ極貧状態で旅を続けました。お金を得るために旅行先のインドで絵を描いて売るなんていうこともしたそうです。ちなみに彼の専門は経営学。美術を仕事にしている私でも自分の絵を売ったことがないのに、絵で商売した人が兄弟にいるのが違和感でしかありません(笑)ちなみに彼は出版社で10年程度働いた後、勉強し直して司法書士に転職しました。今は埼玉県の小川町で事務所を経営しています。どうも達脇家は人生という旅でもスリルを味わうのが好きな人が多いようです(笑)。

 旅にスリルがあると大変刺激的で充実した時間を送ることができます。スリルは料理でいうところのスパイスのようなもの。ツアーのようなスパイス控えめ甘口のカレーも悪くはないですが、スパイスの効いた刺激的なカレーを求めて美味しいカレー屋さんを探したい人は多いと思います。時間とお金を最大限に活用した体験、そして自分への価値ある投資になるスリリングな旅の計画をしてみるのも悪くはないでしょう。今は世界的な感染症の流行で海外旅行に行くことは憚られてしまいますが、次回から始まる海外旅行での経験についての記事を読んで、イメージを膨らませたり、英語の勉強をしたりして単独での旅の準備をしてもらえるきっかけを提供できたらと思います。

 最後に単独での海外旅行に踏み切るコツをお伝えして今回のお話を終えたいと思います。踏み切るコツは…「秒でポチる」ことです!これは真剣です(笑)気がついたときには宿選びをしているぐらいが良いです。行きたいと思っている街への航空券をサーチ、日程的に無理がないか確認、エコノミーであればそれほど価格に大差はないので即ポチります。後は旅行本を購入するなどしてワクワクして待ちましょう。そんなに簡単に決めてしまっていいの?と思う人もいるかもしれませんが、「〜したい」といった人間の欲求は場合によっては即行動した方が良いケースが多いです。犯罪に関するようなものであれば、それは自己コントロールする必要がありますが、価値があると感じるものであれば遠慮するのはもったいないと思います。美術における制作はまさにこの行動によって成り立っていると思います。せっかく欲求が働いているのに、そこを理性で「やっぱりもう少し考えてみよう」や「もっと英語に自信をつけてから行くことにしよう」なんて考えてしまうと、もう単独海外旅行はどこか遠くの自分とは関係のない世界へ行ってしまいます。やることが確定してから「さあどうしよう」と理性的に行動すれば良いのです。そういう理性の使い方は強力な問題解決能力を培います。問題のある状況に身を置いて初めて解決すべき課題に取り掛かれますし、その行動に対するモチベーションを発揮することも可能になります。これは美術を始めとした様々な制作にも共通して言えることです。手を動かして考える。人間の創造力はそのような場で発揮されるものだと思います。

 今回は旅が人生を変えることについての導入となるお話をさせていただきました。なので写真は少なく、少し退屈な印象をもたれる方もいたかもしれませんね。安心してください、次回からは写真集の如く印象的な写真を載せて視覚的に楽しんでいただきたいと思っているので、これまでよりは写真多め、文章控えめのバランスでいく予定です。とは言っても文章の総量自体が少なくなることはないと思いますが…(笑)次回は私が初めて海外旅行したフィレンツェへの旅行で得られた経験から人生の変化と美術との新たな出会いについてお話しします。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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