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2月, 2021の投稿を表示しています

定期考査における美術科の意義と今後の在り方

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 2月も末になり、学年末考査の時期になっている学校も多いのではないかと思います。美術科は実技がメインであり、定期考査がない学校も珍しくはありません。私自身、美術の教科性から考えて、定期考査が最善の方法かというとそうではないと考えています。私としては定期考査よりは、より深く美術について思考でき、気づきを生むであろうレポートの方が子どもたちのためになると考えています。しかし、そうは言っても今ある定期考査を雑に扱うことはできません。定期考査といえども中1であれば年間45回のうちの3回が定期考査であり、中2・3にとっては年間35回のうちの3回(3年生は学年末がないため2回の学校が多いと思います)もあり、貴重な美術の学習の時間と考えたいところです。むしろ、教師にとってはたった1時間でたくさんのクラスを同時に授業できる超効率的な学習の機会ぐらいに考えるようにしています。テストには これまでの学習のエッセンスを詰め込んで、学びと気づきに溢れた1時間にする 。これが私のテストへのこだわりです。なので美術の定期考査に向けて作るテスト対策プリントの段階からかなりこだわったものを作ります。最近は実技問題のトレーニングのために動画を作り、QRコードを読み取って学習に当てられるようにするというのも始めたぐらいです。  今回の記事では定期考査における美術科の意義について、私自身が取り組んでいるものを紹介しつつ考えました。今回この記事を書きながら考えが深まったのを実感しているのですが、それゆえにすでに作成してきたテストの不十分さにもどかしい思いがしましたが、今後に向けて少しポジティブな手応えを掴めたことが大切だと、自分自身を慰めたいと思います(笑)  大学4回生の途中で美術に目覚め、まだ美術を志して10数年という青さの塊のような私ですが、私なりに真剣にこの10数年は美術教育と向き合ってきたつもりです。少しでも今回の内容が美術教育と関わりのある人だけでなく、他教科や他校種、美術や教育と関わりのある人にとって意味のあるものになればと考えています。  今回の内容は以下の通りです。 1.美術的思考を使う問題を重視すること 2.一人ひとりの発想や気づきを認める機会にすること 3.内発的動機付けや遊びの要素を入れること 4.今後のあるべき姿について という感じで最後には今後美術のテストはどうなっていくべきか

部活動の在り方について考える Vol.2 顧問としてできる環境面でのサポート

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  前回に引き続き「部活動の在り方について考える」内容で、今回は「顧問としてできる環境面でのサポート」について記事を書きます。  生徒の主体的な活動を支えるために、顧問には環境の面でのサポートが非常に大切と言えます。整わない環境では気持ちよくプレーすることが難しいですし、そのような状態でスポーツや芸術の良さを存分に味わうことはできません。どうしても妥協だらけになってしまいます。そういう状態では環境が整った状態に比べて、生徒が部活動を好きになる可能性は低くなると言わざるを得ないでしょう。  だからと言って、企業の部活動に見られるような優れた環境を用意できるかと言っても現実的ではありません。学校という組織でやっているからには与えられた環境で最大限のことをするしかありません。しかし、この「最大限」というのは非常に抽象的で、何がそもそも最大なのかという話になります。もちろん資金さえあれば、この最大限の領域というのは果てしなく広がっていきますが、公立の学校であれば資金と言えるものは一つの部活動に対して生徒会活動費でせいぜい年間10万円程度、体育科の設備費で数万円程度しか供給されません。私が担当するソフトテニス部ではボールを買ったらそれでほぼ資金は底をつきます。なので、良い部活動環境を作るためには学校から出される資金だけに頼るわけにはいかないのが現状です。  将来的には部活動が学校から離れ、地域のものとして独立する日が来ると思います。その時には地域からの出資によって環境がより良いものとなり、活動も充実したものになることでしょう。しかし、 現状で何ができるかを考え、最大限の工夫を部活動にもたらすことが顧問にできる大切なこと だと私は思います。 資金がなくてもやれることはたくさんありますし、そういうことを子どもたちに知ってもらうことには教育的な価値があります 。  今回は資金がそれほどなくても顧問としてできる環境面でのサポートについて3つお話しさせていただきます。内容を深掘りし、その環境の中でどのような変化をつくりだすことが出来るかについても考えましたので、少しでも読んでくださる人にとって参考になるものになれば幸いです。 1.練習場のコンディションは日進月歩で改善 2.ウェブサイトの活用 3.場所をフル活用 1.練習場のコンディションは日進月歩で改善  私が顧問を務めるソフトテニス

部活動の在り方について考える Vol.1 部活動は生徒の主体的な活動の場

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  今回は部活動の在り方について考えていこうと思います。皆さんは部活動というものに対してどのような印象をもっているでしょうか。私自身学生時代は中学校と高校でソフトテニス、大学で軽音楽部に所属していて、教師になってからはソフトテニス部と美術部の顧問を務め、人生の多くの時間で部活動というものに関わってきました。  ただ、全てが順調というわけではなく、高校時代にはモチベーションが極度に下がり、キャプテンをしていながらも退部してしまったり、自分自身が教師になって顧問を始めた時には、かつてやめてしまったソフトテニスをまたやらなければいけないことにかなりの抵抗がありました。そんな過去がありますが、現在は部活動大好き人間です。安心してください。美術教育は部活動よりも遥かに真剣なものとして考えていますので、決して本業が犠牲にならない程度で部活動の顧問を務めています(笑)。中学校の部活動は顧問にとっても、生徒にとっても負担にならない程度にするのが大切です。誤解を恐れずに言いますが、 部活動は真剣な遊びであり、顧問にとっては給料のもらえるボランティアぐらいに考えることが大切 だと思います。顧問が熱くなりすぎて子どもに負担をかける、もしくは自分の本来の業務に支障が出るレベルに達した時点で、部活動の在り方は必ず考えるべきだと私は考えています。  私はゴリゴリの部活動教師というわけではありませんが、だからこそ「部活動の在り方」について少し遠目から考えることができると考えています。これはあくまで私の予想ですが、学校の教師が顧問を務める時代は意外と長く10年以上は続くと思います。現在部活動で地域の人材を生かす取り組みや、休日の部活動を無くして地域のスポーツクラブでの活動を促す動きがある中で、顧問の任意性と地域の人材活用が近々本格的に始まります。この段階ではまだ多くの教師が顧問を担当することでしょう。そして、労働システムが整備されて、 学校教員と部活動指導員としての兼業という形になっていく のではないかと思います。これはかなり近い将来起こると考えています。  Society5.0の中で社会の教育システムが成熟してきたときに更に一段階大きな変化を生むことになると思います。その時こそ大部分の教員が部活動顧問から退くことになるのではないでしょうか。その段階になるまで15年ぐらいかかるもしれませんが、間違

ステンシル版画の魅力 〜年賀状デザイン〜

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  今回は中学校の美術教師らしく教材についての内容です。私の趣味は教材研究なので、今回はかなり強烈なこだわりをもって版画の授業実践についてお話しします。  版画と言えば、多くの人が木版画をイメージするのではないかと思います。実際に生徒に版画の制作に入るというと「彫刻刀を準備するんですか?」と聞かれます。これまでに取り組んできた版画のイメージが強烈に刷り込まれているのでしょうね。版画は白と黒のみの世界だと思い込んでいる場合も少なくはありません。  版画の制作に入る前に版画には大きく4種類のものがあり、凸版、凹版、孔版、平版それぞれに特徴的な作品を作ることができることを作品例を示しながら説明するようにしています。凸版はこれまでに生徒が紙版画や木版画で経験したことがあるものですが、多版多色木版(浮世絵)を見せると、「葛飾北斎の浮世絵って版画やったん!?メチャカラフルで普通の絵やと思ってた…」「え?分担作業でやってたん?」みたいな反応があり、版画の奥深さについてついて考えさせることができます。凹版の緻密な線描、平版の柔らかい表現は中学生にとって版画というものに対する考え方を根本的に揺るがすインパクトがあります。  そして生徒が取り組むことになる孔版のステンシル。穴から絵の具を通し切り絵を利用して作品を版画を写し取ることによって切り絵のシャープさと大胆な図柄、多様な色彩表現を可能にします。版画の導入の授業でステンシルによる版画の作品例を示すと、その工夫の可能性にあふれた表現方法に多くの生徒が興味を示してくれます。  今回紹介するステンシルの技法を用いた授業では年賀状のデザインが題材です。年賀状は古くから日本にある物ですが、最近年賀状を出す人はかなり減ったと思います。しかし、 年賀状には年賀状の良さがあり、本当に大切な人にはとっておきの年賀状を届けるのも悪くはない と思います。これに関しては以前の記事で書いていますので、そちらをご覧になってくださると嬉しいです。 https://art-educator-tatsuwaki-serendipities.blogspot.com/2020/12/sns.html  年賀状には日本人の美意識を詰め込んで、相手に誠意を伝え、より良い関係を築いていこうとする想いが宿った時に、本当に価値あるものになると思います。そんな年賀状を受け取った正

素材のもつ魅力 〜ペットボトルキャップ編 VOL.2〜

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  以前に一度ペットボトルキャップを利用したアートについて記事を書きました。今回はそのVOL.2になります。前回のペットボトルキャップに関する記事からまだ1ヶ程度しか経っていませんが更新するというのはかなり早いペースのような気がしますが、それぐらいにこの素材に私ははまり込んでしまいました(笑)。準備室に色で仕分けしたキャップを保管しているせいか、制作のスイッチが入りやすく、半ば衝動的に新しい作品を作りたくなってしまったというわけです。しかし、それがこれまでのような表面をただ装飾する感じのものであれば、決して今回記事にするようなこともなかったと思います。つまり、今回のペットボトルキャップを用いての制作では私自身最初は考えていなかったような想定外の出会いがあったのです。 今回はペットボトルキャップの素材としての魅力だけでなく、前回の遊びに関する記事でも取り扱った想定外を歓迎することの大切さについても触れていきたいと思います 。今回は自分自身が制作をしていて想定外なことに遭遇しました。想定外を受け入れた上で、それをプラスに生かしていく考え方のヒントになる内容にできたらと思います。 ペットボトルキャップが生かせる他の素材を組み合わせる  今回私が制作したのは整理に使えるミニデスクです。最初はこれまで同様にダンボールとペットボトルキャップだけで作ろうと考えていました。そうしてとりあえずデスクの平面はダンボールにペットボトルキャップを接着し、脚の部分はペットボトルキャップをグルーガンで繋いでいこうと考えていました。しかし、平面を制作している最中に、キャップの窪みを造形的な効果だけでなく、機能的に使うことができないか考え始めました。 この窪みを最適に活用する方法はやはりペットボトルとの組み合わせ であることは当たり前のことなのですぐに思いつきました。  というわけで脚の部分をペットボトルにして完成した平面に取り付けました。最初は四隅だけにペットボトルを取り付けたのですが、平面の中心部があまりにも不安定な曲がり方をしたので、脚を増やし、ある程度の強度が出る状態にしました。これで上からの圧力には対応できる状態になりましたが、また新たな問題が発覚します。  ペットボトルは軽いため、デスクがすぐに動いてしまいます。このミニデスクの上でメモを書くようなことはなく、あくまで物置として使います