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10月, 2021の投稿を表示しています

誰でも簡単に遊べる版画 〜切り絵の模様でステンシル版画〜

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  骨折生活にも慣れ、早く運動したくてウズウズしている今日この頃です。両松葉杖で高速移動を楽しんでいたら「今度は右足を怪我するで」と言われながらも、体を動かしたい衝動と高速移動による若干のスリルを楽しみたい気持ちで可能な限りスポーツの秋を楽しんでいます。しかし、本来ほどスポーツができない状況で、文化的な秋を過ごす時間の割合が高くなっているので、それが美術教師としての大切な経験値につながっていると感じています。改めて思うのは、美術に関してやりたいことがあまりにたくさんあったということです。骨折でしばらくスポーツがまともにできなくなったのは、これまでやりたくても後回しになっていた美術関係のことに取り組む良い機会になったと思います。  先日ステンシル版画制作する花の絵について紹介しましたが、今回はそれよりもさらに純粋に色と形で遊ぶステンシル版画を紹介します。やることはシンプルで、単純形で構成した絵を切り絵にし、それをそのままステンシル版画にして模様をつくるというものです。造形遊びとしての側面が非常に強いので、小学校の図画工作やステンシル版画の導入として使える教材だと考えています。 制作方法  この版画の制作方法でも紙を折り曲げてハサミやカッターで切り絵を作成しますが、今回は切り抜く前に少し計画的に切り抜く図を考えます。考えると言っても、 単純な形を組み合わせてシンプルな模様を描く程度 です。この手軽さがとても大切です。   少しでも計画的に模様を描くだけで、切り抜くと想像以上に美しい模様に発展 します。上の図のように、教会に見られるようなバラ窓風の模様が10分もかからないぐらいの短時間でできてしまいます。  紙を折って作る切り絵の魅力は短時間で一見手の込んでいて整った構成をもった模様を作れるところにあると思います。シンプルな形でも、ある程度整った構成やあまり見かけない模様を適当に作るだけで、折った紙を開いた時に模様が4倍になったり、折数が多ければ8倍、16倍になったりします。 この模様は切り抜いたものを全て複製した状態になるので、まるでデジタルの力を活用したかのような技術の高さを感じさせる 模様になります。  この模様をステンシル版画として利用すれば、美しい模様はそのままに、色で遊びながら魅力的な画面をつくることができます。  画用紙にマスキングテープで版をセットしてスポ

逆境もポジティブに 〜初の松葉杖生活〜

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  前回は万歩計の素晴らしさについて熱く語りました。秋も深まる10月下旬、いよいよスポーツの秋!万歩計携えて動きまくる!という時期に、なんと足を骨折してしまいました…   ソフトテニス部活動指導中、ボレーをするために足を踏み込んだ際に、ポータブルネットの脚に自分の足を乗せてしまい捻ったことによって、左足小指の付け根(第5中足骨)付近を骨折しました。捻った瞬間に「やってしまった」という確かな手応えがあったのですが、しばらくはアドレナリンの効果で指導を続行しましたが、休憩中に足を見るととんでもない腫れ方をしていたので、練習終了後すぐに病院へ。晴れて松葉杖生活のスタートです。  よりにもよってこのタイミングということに自分がいかに持っていない人間か痛感しました(苦笑)。全治1ヶ月程度ということで、肌寒くて動き回りたくなるこの時期に運動できないという残酷な状況ですが、 これまで35年間不自由なく歩き回っていた自分にとっては松葉杖との貴重なご縁と考え、この新しい脚での移動の習熟度を上げて、これまでに味わったことのない経験を可能な限り楽しみたいと思います。 今回は骨折して松葉杖生活を始めた数日間で気がつけた大切なことを考えてみました。 人間関係が良くなる(かも?)  骨折という逆境を迎えている私ですが、このような状況でもポジティブに「新しいこと」を発見することが大切だと考え、怪我した瞬間こそショックでしたが、直ぐに気持ちを切り替えることにしました。骨が折れて強い痛みがあっても、アクシデントをネタにしてしまえば、周りの先生たちや生徒たちから「人の不幸は蜜の味」というわけではありませんが、心配されながらも場の空気は和むというか、盛り上がります(笑)。  職場には普段あまり話をしない先生もいますが、そういう先生とも話すきっかけが生まれるなど、これまでよりも職場での人間関係が良くなったと感じられたり、普段あまり話をしない生徒が興味津々に話しかけてきたり、授業以外はほとんど関わりがなかった他クラスの生徒が荷物を持ってくれたり、 骨折して松葉杖生活しているおかげで、数々の新しい出会いが数日間で起こりました。 人間弱った時や困難を抱えている時には助けてもらったり、人間関係が良くなったりするものだということは何となく分かっていたつもりですが、実際に体験して、こういう機会も大切だと改めて考えるこ

万歩計の恩恵 〜健康とアイディアを促進するアイテム〜

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  今回は万歩計の恩恵についてお話しします。万歩計によって私は色々な恩恵を受けていると感じているので、少しでも多くの人が万歩計やそれに関するアプリを手にしてもらえたらと思い今回の記事を書きました。  万歩計で自分の歩数を測り、たくさん歩いて健康促進というのは当たり前のメリットですが、最近は 万歩計と他のサービスが連携したことで、万歩計のメリットが増えただけでなく、積極的に歩きに出る人が増えることで連鎖的に他の面でも良い影響が出ることが期待できるようになってきました 。 適度な報酬が歩くことを促進  万歩計で歩数がカウントされて1万、2万と数が増えていくと、それだけでも達成感があるので歩くモチベーションになりますが、万歩計アプリや私が住んでいる岡山県総社市が取り組んでいる万歩計は歩数をポイントに還元して、商品券などに変えてくれるため、さらに歩くモチベーションを刺激してくれます。厳密に言うと、こういう報酬がつくものはアンダーマイニングにつながり、報酬がないと行動を起こさない状態になりかねないため、無報酬の方が人間の成長という観点では良いのかもしれませんが、ポイント自体はオマケと言える程度のもの(1万歩で5〜10円分程度、1年間でも数千円分)で、ポイントを貯めることがゲームのような感覚でできるので、それほどアンダーマイニングを気にしなくても良いと考えています。私個人としては、このポイントのおかげで、何か面倒なことを頼まれたり、生徒が授業を抜け出してしまって探しに行かなければいけない時に「歩くチャンス!ラッキー!」ぐらいの感覚で動くことができます。  万歩計があるだけで積極的に動いたり、徒歩やランニングで移動したりしたくなるというのは、健康面での多大な効果につながると思います。私の住む総社市が万歩計で歩数をポイントにして商品券に還元するようになったのは、歩く人を増やして健康を促進し、医療費を下げることが狙いの一つとなっています。  ご存知の人も多いと思いますが、国家予算の大部分は現在社会保障費に当てあられており、この割合は高齢化社会が進むにつれて年々高まっています。歳をとれば病気になると言うのは自然なことに思われるかもしれませんが、病気になる要因の一つとしてあげられるのが運動不足です。もし、総社市がやっているような 万歩計で市民の運動不足が改善され、社会保障費の割合を減らす

誰でも簡単に遊べる版画 〜ステンシル版画で世界に一つだけの花〜

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  今回は誰でも簡単にできるステンシル版画の教材を紹介します。タイトルからも分かるように、テーマは花です。  ステンシル版画は紙を切り抜き、空いた穴に絵具をスポンジなどで着彩する孔版と呼ばれるタイプの版画になります。この版画では色を混ぜながら版を写し出していけるので、色の工夫を楽しむことができるのが大きな特徴です。また、多版多色木版画のように重ねる版を増やすことで多様な色彩表現が可能になり、重ねる版の図柄を変えたり、版をセットする場所を変更したりして構図をアレンジしたりするのも簡単にできます。つまり、 ステンシル版画は色と構成で大変遊べる方法 だと言えます。  ステンシル版画の弱点と言えるのが形の表現力です。ステンシル版画は基本的には切り絵の要領なので、シンプルな図柄にせざるを得ません。同じ孔版の仲間である紅型の版やシルクスクリーンであれば、少々細かい図柄も可能ですが、やはり他のタイプの版画に比べるとカッターでの切り抜きによる図柄なので、基本的にはシンプルなものになります。しかし、だからこそ、形がそれほど高度に表現できない人でも取り組みやすいのがステンシル版画なのではないかと考えています。 形を(上手に)表現する上での苦手意識がそのまま美術や図工嫌いになっているケースも少なくないので、あえてその部分を弱めて、色と構成の工夫だけでも表現を楽しめるということを経験できるようにすること は大切な意味を持っていると思います。  今回紹介する「ステンシル版画で世界に一つだけの花」という教材では誰でも簡単にできる切り絵の図柄と着彩、構成の工夫で個性的な花を表現します。制作は基本的にノープランで造形遊び的に取り組めるので、美術や図工の授業で扱う場合は1〜2時間程度でできます。 制作方法  制作では、まず、コピー用紙などどんな紙でも良いので四つ折り程度にして好きな形にハサミやカッターで切ります。切った紙を広げるとシンメトリーの図柄ができます。この図柄は絵の得意不得意なく表現できるものですし、紙を開くまでどんな図柄になるか予想しにくいので、たくさん取り組ませて多様な図柄を作っても良いでしょう。 制作する本人がとりあえず満足するまで作らせて良いと思います 。好きなように取り組めるというのも遊びの要素として大切です。  こうしてできた図柄を台紙にセットして、何枚か重ねたり、同じものを繰り

アイス棒で作るコースター 簡単で発展性のある工芸

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 今回はアイス棒で簡単にできるコースターについて紹介します。  アイスを食べた後に残る棒をなんとなく取っておいたという経験がある人はいるでしょうか。私は作品制作の材料に使えると思ったものは取っておくことがあり、そういうものから教材に使えるものを生み出したこともあります。アイス棒はたくさん集まれば組み合わせ次第で立体的な作品も作ることができ、積み木感覚でできる工程が魅力的です。  今回はコースターの制作と教材としての可能性について考えを書いています。もし自分で作ってみたいという人や、美術や図画工作で教材として扱ってみたいと思う人がいれば、読んでいただけると嬉しいです。 簡単な構成でできるコースター  このコースターを作成するのに必要なのはアイス棒と木工用ボンドだけです。木を汚れやくすみから守りたい、色を変えたいという場合はニスを塗るのも良いでしょう。  制作方法は簡単。アイス棒を2段以上で構成し、接着するだけです。普通に組み合わせるのも良いですが、美術的に考えると、棒の組み合わせ形を工夫したり、カッターや彫刻刀で形を変えたり、模様を彫ったりするのも面白いと思います。 使う形がシンプルな分、構成や細かいアレンジで工夫することに集中して取り組みやすいのが魅力で、美術や図画工作が苦手な人でも積み木で遊ぶような感覚で制作することができます。彫刻や色でアレンジできることを考えると、積み木よりもさらに多様な要素で遊ぶことができる ので、工芸の導入としてはとても取り組みやすい教材になると思います。 簡単&発展性がある  児童生徒の取り組みに対するモチベーションを刺激する上で、「取り組みやすさ」「簡単」というのは必要な条件ですが、これで十分かというとそうではありません。ただただ簡単なだけでは「優秀な遊び手」にとっては暇以外の何者でもありません。テトリスなどのパズルゲームは簡単で取り組みやすいですが、点数が上がるにつれて難易度が上がるように設定されているからこそ、上を目指して遊べるわけで、この発展性がなければ面白味がありません。ただの暇な作業になってしまいます。そういうものは遊びの要素が欠落しています。   美術や図画工作の教材も、簡単かつ発展性が無限にあるような「アレンジのしやすさ」が不可欠 であると私は思います。アイス棒によるコースターは形の自由度、色の自由度が非常に高く、