2021年の振り返り 〜今年1年間ありがとうございました〜

  今年も残り1週間を切りましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。私は冬休みに入っても部活動や、やり残しているやりたい仕事で割と活動的な年末を送っています。

 今回の記事が今年最後になるということで、2021年の振り返りをして今年の締めにしようと思います。今年は本当に色んなことがあった1年で、沢山の新しい経験や学びがあったと感じています。新年の抱負にしていた「つながりを広げる」に関しては、程良い具合に広げることができました。Twitterや Facebookを通じて精力的に活動している人たちとの出会いが生まれ、共に仕事や研究をする機会が生まれるなど、これまでとは違った経験をすることができた1年間だったと感じています。「遊び」をテーマにした研究は大学院での研究の時から続けていますが、この研究を他の先生と協力して行ったり、黒板アートで表現する絵本作成に協力したり、GIGAスクール構想関係の実践研究を通して学校外の人とつながったり、今年は他者と協働的に行う仕事が沢山ありました。

 本業の教員としての仕事も勤務校で2年目ということもあり、校務分掌がかなりヘビーな状態になったので、本業以外でこれ以上つながりが生まれていると逆に大変だった可能性もあるので、程々につながりを広げるぐらいで結果的に良かったと思います。

 私は今年の新年に達成したい3つの目標を立てていました。これらを振り返ってみます。


①ブログ年間100記事 達成ならず

「思考を深め視野を広げる、発信力を伸ばす、価値あるものに敏感に」

 これに関しては残念ながら57投稿ということで、半分程度しか達成することができませんでした。毎週1回更新はできましたが、これ以上のペースで更新しようとすると、更新すること自体が目的になりそうだったので、2月の半ばには早々と目標を捨てて堅実に週1のペースでじっくり内容を考えるようにしました。

 ただ、本業の方で校内向けに「GIGAスクール通信」というGIGAスクール構想を促進する情報や、クラスには学級通信を毎週出し、部活動通信も毎月出していたので、これらを合わせると100記事は超えています。目標はプランBで一応クリアできたということにしておきます。自分に甘くなることも時には必要です(笑)

 そもそもブログを書く目的はアウトプットのための機会づくりであり、自分自身の成長のためにやっている部分が非常に大きいので、更新回数や読まれた回数などの結果はそれほど気にせず気楽にやっています。自分の記事ではFacebookのグループに投稿しているGIGAスクール関係や美術教育に関するものがやはり読まれる数が多くなります。しかし、そればかりだと、自分の関心が広がりにくいため、ときには自然や運動など自分が趣味にしているようなことを内容にして好きなように記事を書くようにしています。ブログも息抜き的なものがあることで長く続けていけると考えることができました。息抜きの記事でも、真剣に考えてアウトプットしているわけなので、認識が深まったり、他のこととのつながりが見えてくるなど、自分にとって有益な取り組みになっていたと思います。今回の1年間の振り返りも、どちらかというと「息抜き」的で独り言的なものです。しかし、こういった内容はメタ認知につながり、今後の活動のきっかけになっていくと考えています。

 

②ウェブサイトのコンテンツを2倍の規模に 達成

「GIGAスクール構想や休校に備えて、動画とのリンクで効果的な学習、教材のレベルアップ」

 昨年から運営している個人用のウェブサイトにアップしている教材や動画の量は2倍以上にすることができました。今年になって新しい教材を作成することが沢山あり、授業で実践したものだけでなく、構想段階のものも含めアップしたので内容を充実させることができました。このブログ自体もサイトにリンクさせています。




 今年はGIGAスクール構想元年と呼ばれる年で、学校では生徒の1人1台端末が実現し、Google Chrome(Google Workspace for Education)が使えるようになりました。これによって校内だけでなく、市内全ての小中学校がウェブ上でつながりました。

 今年の当初は、そのようなシステムが使えることを知らなかったので、自分のウェブサイトを改善することに力を注ごうと考えていたのですが、Google Chromeが使えるようになって、主にICTを活用した授業改善に切り替えることにしました。GoogleスライドやGoogle Jamboard、Google Formsなどを授業で導入したことによって、教材の内容自体のレベルアップだけでなく、生徒の「取り組み方」を変えることにつながりました。


③GIGAスクール構想と新学習指導要領に教材を最適化 達成

「美術教育の前進、子どもたちの成長する姿への期待、楽しめる美術の授業のために」

 GIGAスクール構想が印象的な2021年度ですが、実は中学校では今年から新学習指導要領の下に教育が行われるようになり、これまで以上に「主体性」というものに注目して教育をすることが求められるようになりました。

 これまで「関心・意欲・態度」という取り組む姿勢に関する観点がありましたが、これが「主体的に学習する態度」に変わったことは大きなパラダイムシフトを意味します。以前であれば、前向きに真面目に取り組めていない生徒には低い評価が付けられて当たり前のような風潮がありましたが、「主体的に学習する態度」になると、これは生徒だけの責任として考えることができなくなります。「主体的な学習」とは「学びたいから学ぶ」を意味するものであり、これを実現するには教師の側から主体性を促す魅力ある授業や教材を提供することが必須になります。そのため、どう考えても「学びたいから学ぶ」に当てはまらない一方的に提示された宿題などは評価に入れられないことになりますし、生徒が主体的に取り組めていないという状況は教師自身にも大きな責任があるということになります。

 これまで提出物だけはちゃんと出して、学習内容はさっぱり…という生徒にはCCCAの評定2という関心・意欲・態度のみAが光り輝いている通知表を見ることはざらにありましたが(私はそんな評価をつけたことありません)、これは「提出物さえやっていれば高校進学は大丈夫」という工場労働の成れの果てのような価値観を産んでいました。そんなことでは確かな学力が身につくはずもないので、文科省はこの事態を深刻に受け止めていたのだと考えられます。今回の改訂で、「学びたいから学ぶ」という主体性がこれまでの「労働的」な価値観を生んでいた評価方法に取って代わり、「知識・技能」「思考・判断・表現」という他の観点との明確なつながりが生まれるようになりました。主体的に学んでいる生徒が知識や思考に関する観点でCがつくというのはほとんど考えられない状況であるため、「まともな」評価ができるようになりましたし、またそのような評価ができるように授業を改善することが教師に要求されるようになったということです。

 このような新学習指導要領に則った教育を考えた時、私自身、生徒が主体的に学べるようにすることが1番優先度の高いことであると考え、教材作成やICTの活用を研究した1年間になりました。今年は、個人的に中堅教諭資質向上研修の年で、研究テーマを「遊び」にしたのも、主体的な学習態度の育成において極めて重要な役割が「遊び」にはあると考えたためです。結果として、全ての教材、全ての授業時間に何かしらの遊び的要素を入れることを自分自身に課した1・2学期となりました。

 今年から利用開始したChromebook(生徒用端末)やGoogle Workspace for Educationは、共有機能による協働学習を可能にし、個別最適化学習にも大きな利点をもたらしてくれました。今年の教材は基本的にGoogle Classroomで配信し、制作に必要な技法や制作手順に関する動画を好きなタイミングで見られるようにしました。また、授業での活動で共有するべき意見や考えがあればJambordを利用したり、Googleスライドで写真や動画を共有して、生徒が自分の判断を基に活動できる仕組みを作りました。

 毎時間ICTを活用していると当然のことですが色んなことができるようになります。と言うより、デジタルの大きな可能性がどんどん見えるようになっていくので、美術の授業だけでなく、道徳や学活、総合的な学習の時間などでICT利用が中心になっていきました。そうする中で、逆にアナログに向いている取り組みも明確になり、デジタルとアナログの良いバランスを取れるようになっていきました。

 新学習指導要領とICTの利点を組み合わせて取り組んだことで、美術教育の新たな可能性について考えたり、生徒の成長可能性について新たに気が尽かされることがあったり、大変勉強になることがたくさんありました。これについては、まだ1年足らずの取り組みの中でのことなので、来年さらに発展できるように取り組みを続けていけたらと思います。


今年は原点回帰

 私はなるべく心に余裕を持った状態で自由に生活と仕事を楽しめるように努めています。ただ、今年1年間が余裕で楽勝だったかというと、かなり忙しく、ほぼ首が回らないような状況でした(苦笑)

 3月まではかなり余裕があったのですが、年度が変わる4月に、突如専門分野ではない情報教育担当に任命され、前年度にやるべきだったGIGAスクール構想関係の仕事を片付けるところから始まり、その後たくさんの仕事が情報や美術、教育課程、中堅研関係で舞い込んできたため出張に次ぐ出張の日々でした。

 ただ、そのような中でも美術教育の価値について色々と考えることができました。これから学力定着だけなら学校という場所に縛られなくなります。そんな時代において、学校だからこそ提供できる教育的価値について私なりに答えを考えることができました。それは、学びと遊びが一体化した「協働学習の場」「学びと遊びのテーマパーク」としての学校です。勉強はそもそもめちゃめちゃ面白いものであり、自由な学びさえ保障されれば勉強したり、得た知識を生かすことは人生をゲームのように遊ぶ力になると私は考えています。PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニングやプロブレム・ベースド・ラーニング)のような取り組みは欧米や日本の一部の地域で取り入れられ始めており、学ぶこととそれを社会的に生かすことが一体化した教育が今後の学校教育の目指すものになると考えられます。






 実は私が美術教師になろうと考えたのも学んだことを即時的に生かしていける美術の特性や、美術室という空間で協働的に学んだり、そもそも美術室で至福の時間を過ごしながら学べる生徒を育てることが目的の一部にありました。そのため、これまで私が勤めてきた学校の美術室はことごとく美術館、若しくはテーマパークのような状態にしてきたのですが、今年は生徒が見て触れて楽しめる美術室になるよう、一層取り組むことができました。まさに原点回帰ができた1年間であったと感じています。

 来る2022年寅年、私もとうとう3回目の年男ということで、来年は節目になるような1年にしたいと考えています。どのような節目になるかは全くもってイメージできていませんが、また来年のこの時期に節目について報告できるように努めておきたいと思います。 

 

 最後まで読んでくださってありがとうございました。2021年を振り返ると、本当にいろんなことがあった1年でした。そして今後の見通しがなんとなく持つこともできました。VUCAと呼ばれる予測不可能な時代で、変化のスピードはますます速まっていますが、教育の業界についてはかなり確かな前進が期待できる現代で働く面白さを実感している今日この頃です。コロナ禍が長引く大変な状況ですが、来年が日本や世界にとって良い年になることを願いたいと思いますし、自分にできる最大限のことをしていきたいと思います。今年1年間ありがとうございました。

 それでは皆様良いお年をお迎えください。





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