授業のオリエンテーションをGoogleスライドで
今回は新年度最初の授業でよく行われるオリエンテーションにおいてGoogleスライドを活用することの可能性について紹介します。GIGAスクール構想も本格化2年目ということで、これまでは「何ができるか」中心だった使い方の手探り状態から発展させて「どのように使うか」の段階に入っていくのが今年の目指す方向性であると個人的には考えています。
昨年1年間で、ICTをGIGAスクール構想に則って活用した人と、これまでと変わらない一方向の活用(生徒には使わせずに教師が提示用に使う、もしくは生徒が個人で辞書のような形で使う)をした人との間には、ICTリテラシーの点でかなり大きな差が生まれているため、ICT教育担当としてベースの底上げをしながら、できる人にはどんどん発展的に活用してもらえるように実践を進めていかなければいけないと考えています。
やるべきことはたくさんありますが、手っ取り早く従来の授業をGIGAスクール構想化するポイントの一つとして、Power Pointで作成していた授業のスライドや、紙で配布してたWordの文章をGoogleスライドに置き換えることで、生徒にとっても便利で活用性の高いものになると考えています。今回紹介する教科のオリエンテーションでは、おそらくこれまで多くの人がWordで作成した文章を配布したり、Power Pointにして生徒が学習内容に興味を持てるようにしたりしていた人もいると思います。これらがGoogleスライドの活用でどのように変化するのか紹介します。
Wordで作成した書類をスライドにする
私が担当する美術は特に視覚効果が資料に求められます。ただ、この点についてはどの教科も基本的には同じです。取り組んだことがないものをイメージすることは難しく、画像を活用することで生徒は内容をイメージしやすくなり、その結果興味や関心を持たせることにもつながります。そもそもオリエンテーションという言葉は「興味を持たせる」という意味なので、オリエンテーションと称して受け手が興味を持てないような時間にするわけにはいかないので、生徒への提示方法には工夫が求められます。
私はこれまでオリエンテーションでは年間予定を作品の画像付きで資料配布したり、モニターやスクリーンにそれを映し出したりしていました。しかし、この方法では配布する資料は白黒、前に提示された作品は後ろの方の生徒からはほとんど見えない状態なので、「オリエンテーションになってないなぁ」と感じながらもテンションで乗り切っていました。
このような方法にはかなり低いレベルでの妥協が強いられます。私としては「今年1年間でこんな面白い活動をするんです!」という熱い思いがあっても、それを伝えきれない歯痒さが常にありました。しかし、Googleスライドを活用して、GoogleClassroomで生徒に配信すればこの問題が全て片付きます。
当然ですが、資料は全てカラーになるため、作品や活動の魅力を伝えやすくなります。そしてスペースに限界のある紙と違い、Googleスライドであればページを増やしていくらでも情報を入れることができます。情報過多になるのは好ましいことではありませんが、これまでWordで作成する際に画像を縮小しなければならず、狭いスペースに画像がひしめき合うだけでなく、複写機で白黒印刷された結果全て黒い資格の塊になっていたことを考えると大きな違いです。情報量が大したことない上に、紙面上はごちゃついている状態。画像によるごちゃつきを改善しようとした結果、つまらない文章だらけになってしまうというジレンマ。Googleスライドであれば全てを解決してくれます。
ここで「Wordで作成した書類であれば、Googleドキュメントで良いのでないか」と考える方もいると思いますので、その点について触れておこうと思います。
結論から言うと、基本的にはGoogleスライドでもGoogleドキュメントでもどちらでも良いですが、画像をレイアウトするのであれば、Googleスライドの方が優秀、ただ文章だけでいくならGoogleドキュメントで十分という感じです。
Googleドキュメントは現段階ではマイクロソフトのWordに比べるとかなり機能の面で劣っており、凝った資料を作成する上では使いにくい状態です。その一方で、Googleスライドはスライドの枠外にもテキストボックスや画像を配置することができる柔軟な機能を持っています。これを考えると画像重視のオリエンテーションの資料であればGoogleスライドで、簡単な文章による連絡的な手段であればGoogleドキュメントで、ということになります。
Power PointではなくGoogleスライドにするべき理由
見栄えのするプレゼンテーションを極めるのであれば、Power PointやKeynoteを使うべきでしょうが、生徒と共有するのであればGoogleスライドの活用が圧倒的におすすめです。
Power Pointで資料作成したものもGoogle Classroomで生徒に配信することもできますが、その際にはGoogleドキュメントに変換され、互換性の問題から資料がかなり崩れてしまいます。そうであるなら、最初からGoogleドキュメントで作成してしまえば良いということになります。Power PointとGoogleスライドで大きく違うのはフォントやアニメーションの種類であり、Googleスライドはこの点においてかなり見劣りします。しかし、そこまで凝ったものにしないのであればGoogleスライドで十分ですし、フォントの種類はゴシックと明朝さえ使い分けることができれば、基本的には問題ありません。アニメーションに関しては凝りすぎると、内容そのものよりも、動きの方に意識がいってしまうという本末転倒なものになることさえ考えると、Googleスライドの機能はシンプルなのもまた魅力なのではないかと思います。フォントやアニメーションの設定で迷う時間がなくなります。
私が考えるGoogleスライドの最も大きな魅力は、リンクの埋め込みによってより詳しい情報にアクセスが可能になることです。リンクの機能自体はPower Pointなどにももちろんありますが、Google Chromeをベースにしている学校であれば、迷わずGoogleスライドの活用で良いと思います。
リンクを埋めることによって、興味がある内容であれば自分で詳しく調べることができますし、これは生徒の主体性を生かしたものにもなります。デジタルを活用したものでも、ただの資料提示にとどまるものは主体性を刺激するのは非常に限定的なものになりますが、興味のある情報にすぐアクセスできるという状況はGIGAスクール構想と新学習指導要領が目指す主体的な学習態度の育成に有効だと考えられます。
リンク先は授業資料にするというのがオーソドックスな手段になると思います。しかし、もっと発展的なものにしたいというのであれば、このリンク先もGoogleスライドやGoogleドキュメントにして、授業内容の魅力について詳しく知ることができるようにし、そこに授業資料各種をリンク先として設定しておくと便利です。
私はすでに教科に関するサイトをGoogleサイトで作成しているので、そこでも同じように授業資料に関するアドレスにリンクするように設定しているので、そのアドレスをコピー&ペーストし、表示するテキストを教材名に変換することでスライド内にスマートに収まります。
デジタルとネットによるつながりで授業で活用する資料はこれまで妥協するしかなかったことを一気に実現することができました。とりあえずネット上(クラウド)で資料作成することがGIGAスクール構想ではキーポイントになります。オリエンテーションでは学習内容に見通しが持ちやすくなり、興味・関心を刺激しやすくなったと思います。先の内容について資料を調べ、予習をすることもできます。知りたいと思ったことにアクセスし、自分の学びを調整する。主体的な学習態度を育成する上で、Googleの各ツールがこれから大変役に立ってくれることでしょう。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は授業のオリエンテーションでGoogleスライドを活用することの可能性について紹介させていただきました。GIGAスクール構想を推進していく上で、参考になるものがあれば嬉しいです。GIGAスクール構想本格化2年目の今年は、「教師と生徒が一緒に学び方を考える」という段階に入ってきます。そのために生徒の主体性を刺激する仕掛け作りが大切になりますので、これからも有効な方法を探っていきたいと思いますし、使えそうなものがあれば、また記事を書こうと思います。
それではまた!
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