ブックマークバーの活用で捗るICT活用


 GIGAスクール構想によってできることがさらに広がることが予想される2022年度。スタートして早くも半月が経ちました。各学校でICTの有効活用について様々な取り組みがされていると思います。私自身、昨年度にICT教育担当になるまでは、ほとんど授業でICTを使うことがなく、ましてや生徒にICTを使わせる授業は総合的な学習の時間に少しやった程度で、学校に導入されたChromebookをどのように活用したら良いか、皆目検討もつかない状態でしたが、1年間Chromeを使い続け、 Chromebookでできることをやその特性について勉強しながら授業や生徒会、部活動や日々の業務などで実践していると、今ではChrome抜きには仕事ができないぐらいにまで使いこなせるようになりました。なので、ICTは苦手…と考えて、これまでGIGA端末や Chromeの活用に積極的でなかった人も、2022年度は是非気軽に少しずつで良いので取り組んでみてほしいと思います。

 今回はICTの活用が捗るツール「ブックマークバー」の活用について紹介します。もうすでにこの機能を活用している人も多いかもしれませんが、これは大変便利な機能で、設定も簡単なので、まだ活用していなかったという人は是非活用を検討してみてほしいと思います。これをするだけでICTを使う際の「情報を探す手間」「サイト立ち上げまでの時間」「授業の準備」においてストレスが圧倒的に軽減します。特に学校が使っているGoolge Workspace for Educationでブックマークバーはその有効性を発揮すると実感しています。


ブックマークバーを自由にアレンジ

 Chromeの良いところは自分が使いやすいようにカスタマイズすることが手軽にできるところです。おそらく多くの人が、よく使うサイトをブックマークしてアクセスしやすい状態にしているのではないかと思いますが、私は面倒くさがりなので、ブックマークしたものを探すということ自体がストレスになります。そんな面倒くさがりな人でも、ブックマークバーを活用すると、ブックマークされたサイトが整理されて見やすい状態で使えるため、ストレスなく利用したいサイトに移動することができます。


 ブックマークバーにサイトが保存されていることで、ワンタッチでサイトに移動することができます。ブックマークバーは最初の設定では出ていませんが、「ブックマークバーを表示」をクリックすることで、常に表示することができるようになります。よく使うサイトはブックマークする際に、保存先をブックマークバーにしておくと、素早くサイトを開くことができるようになります。



 Google Classroomなどを活用しているとクラスが多くなって、いちいち探すのが面倒になってきますが、ブックマークバーに整理しておくと、授業で活用するときに一瞬で該当するクラスを選択できて非常に快適です。ブックマークバーにはフォルダを作ることもできるため、自分の分かりやすいようにブックマークを管理することができるのも大きな魅力です。
 ブックマークバーに表示せず、Googleの画面からアカウントやGoogle Classroomに移動し、クラスを選択するという方法では、それぞれの部分でサイトの読み込みに時間がかかり、クラスを探すという手間もかかります。授業開始前や授業中といった数秒でも時間を稼ぎたい場面において、このような方法は授業をする側としてストレスになりかねません。しかも、このような作業が授業の度に必要になると考えると、ブックマークバーを活用するかしないかで負担感は大きく変わってくると思います。Chromeを立ち上げ、すぐにブックマークバーから開きたいサイトを開く。この手軽さはChromeの活用メリットを実感することにつながるでしょうし、授業で気軽にGoogle Classroomなどを活用できるようになります。自治体によってはデジタル教科書を導入しているところもあると思いますが、これもブラウザによるものであればブックマークバーに保存しておくことですぐに開くことができます。ブラウザをベースにしているGoogle、そしてChromeだからこそ、Google Workspaceで活用できるものと他のもの(weblioやDeepLといった辞書や翻訳ツール)がブックマークバーで融合した使い方ができます
 私の自治体では今後スタディサプリが導入される予定で、このサービスもブラウザで利用できるのでブックマークバーから利用しやすい状態にしておきたいところです。習慣的に使うものは迷わずブックマークバーに保存して損することはないでしょう。


生徒にもブックマークバーの活用を勧める
 この便利な機能は教師はもちろんですが、生徒が使えるように指導することも大切だと思います。授業中に生徒が間違ってGoogle Classroomなどを閉じてしまったとしても、ブックマークバーからすぐに戻れたら生徒のストレスも軽減できます。PCを使って作業や勉強をしていると辞書やマップ、Keepなどを使いたくなる場面がたくさんあると思います。それらに一瞬でアクセスできるようにしておけば作業が捗りますし、PCがまさに文房具としての機能を果たすようになります。
 今後、生徒がChromebookを活用する中で便利なブラウザのツールを発見することもあると思います。そういったものを生徒が自分の判断でブックマークし、自身のChromeを最適化していくことでGIGAスクール構想が目指すような、一人一台端末のメリットも本領を発揮していくことになると考えられます。そしてそのためには、授業時間外で自由にPCに触る機会が重要な意味を持つようになると言えます。この点においては、依然としてハードルが高い学校も多く、実際に私の自治体でもほとんどの学校が授業中に教師が指示を出して使わせる限定的な利用方法の状態です。これでは、なかなか発展的なChromeの活用に至らないと思われます。教師がいる時だけ鉛筆に触れることができるなんて言われたらおかしなことだと誰もが思うことでしょう。残念ながらPCを文房具として認識するには大人も子供もまだ越えなければいけないハードルがあるように感じています。

発展的なPCの活用には自律的な利用機会が必要
 最後に、GIGAスクール構想に対する私たち教員の持つべき認識について私の考えを少し述べたいと思います。
 PCを生徒にどのように使わせるかについては、色々な考え方があって当然ですが、長期的な視点で考えると、教師の監督下でのみ使わせるという考え方は保守的過ぎて児童生徒が受ける損失は大きいと私は考えています。人は自律的な経験のもとで大きく成長するものであり、そのような視点もGIGAスクール構想には入っているのではないかと思います。デジタルが当たり前の現代、ICTは文房具であることを教員が勉強し、理解した上で生徒とともに使い方を考えていくことが大事です。
 道具は正しく使うことで人間の身体を拡張してくれます。その一方で、誤った使い方をすれば凶器にもなります。この部分がICTを生徒に使わせる際の大きなハードルになっているケースが多くみられますが、それはICTという道具に限ったことではなく、鉛筆や食器、部活動で使う道具など、私たちが普段の学校生活で使うもの全てにおいて根本的には同じです。道具はどれも使い方を間違えれば人を傷つけます。要は望ましい使い方を習得するかどうかの問題です。
 望ましい使い方ができるようにするために子どもたちに全てを任せていては、それこそスマートフォンなどと対して変わらない使い方に甘んじてしまうと思います。子どもたちのスマートフォンの活用状況を調べたデータでは、ほとんどがゲームやSNS、動画の視聴に使われており、調べ物や勉強などに使っている割合は諸外国と比べると圧倒的に低いのが日本の現状です。スマートフォンの望ましい使い方を学ぶ機会がなく、「SNSやゲームのし過ぎは危険だ」という誰もが耳にタコができているような言葉をただひたすら聞かされて、肝心のスマートフォンだからこそできる便利な機能を生かせていない中でGIGAスクール構想がやってきました。大人も子どももPCの可能性について学び、Society5.0と呼ばれるデータ・AIを駆使した超デジタル社会を自律的に生きていくための基礎を身につけていけば、日本の将来も少し明るくなるのではないでしょうか。

 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はブックマークバーの活用で捗るICT活用について説明させていただきました。今回の内容がICT活用の参考になり、授業で役に立つるものになれば嬉しいです。2022年度がGIGAスクール構想を推進する飛躍の1年になればと願っています。ちなみに、ブックマークバーについてはMicrosoft Edgeでも同じように使えるので、こちらも是非使ってみてください。
 それではまた!

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