DeepLの有効活用で英作文を楽しく
今回はGIGAスクール関係の内容でも、美術教育ではなく、英語教育に関して便利なツールと利用方法を紹介します。知っている人も多いかもしれませんが、今回紹介するのはDeepLというAI翻訳ツールを用いた学習です。
DeepLは無料で使えて、しかも超正確な翻訳をしてくれます。一般的に使われているGoogle翻訳と比べてもDeepLは優秀で、翻訳言語数はGoogleに比べると見劣りしますが、私たち日本人にとって優先度の高い日本語から英語、英語から日本語が大変快適に使えるので、英語学習では基本的な文法力が身に付きさえすれば、英作文をDeepLで打ち込んで日本語翻訳を確認したり、その逆に日本語を入力して英語翻訳を見て英語の考え方を学んだりして遊び感覚で勉強すれば、どんどん英語力を上げることができると思います。
私自身、元々は英語が専門で塾で英語を担当したり、教員に正規採用される前は中学校で英語の講師をしたり、正規採用後は美術の授業をしつつ、英語のTTに入ったりしてきましたが、英語学習で必要なのは、文法やリスニングの力も大事ですが、やはり「自分の表現したいことを英語にできる」という主体性に基づいた学習です。
Google翻訳とDeepL翻訳を比較
そのような点で、すぐに表現したいことを英語にすることができるだけでなく、自分の英語がある程度意味の通じるものになっているかどうかを確認しながら取り組めるツールはとても便利です。DeepLは英作文と日本語訳の両方で見事な品質を届けてくれます。しかも発音までしっかりしてくれる親切さ。さらに言うと、関西弁でも難なく英語にしてくれます。Google翻訳とDeepL翻訳を比べると、その自然さが歴然です。
こちらはGoogle翻訳。「〜さかい」というこってり関西弁はSakai(堺?)と勘違いしてしまいます。空気をイマイチ読めないGoogle翻訳。それに対してDeepL翻訳は、
難なく自然な英語に翻訳するという空気の読みっぷりです。「Google Translate sometimes says crazy things」の部分は「unreasonable things」と固く翻訳したGoogle翻訳と比べてもDeepLは一味違うことが感じ取れます。
DeepLは使い始めるとシンプルにハマる
中学生が英語を勉強するための動機付として考えると、Google翻訳でも十分に効果はあると思いますし、「普通の表現」をするならほぼ同じような翻訳をしてくれるので、それほどこだわるべきところではないのかもしれませんが、DeepLを使い始めると、シンプルに英語と日本語の表現の違いを楽しめます。普段使い慣れている日本語ですが、かなり空気で読み取らなければいけない部分の多い「多くは語らない」言語であり、具体的でより客観性の高い表現になりやすい英語とは全く異なるため、いざ普段の日本語を英語で表現しようとすると激ムズレベルの英語になってしまいます。だからこそ、ニュアンスまで捉えてくれるDeepLを使っていると、「この日本語ならどうなるか」という好奇心を生かして英語に触れることができます。
英語力を伸ばすために日記を英語で書くというトレーニングがあり、私も大学時代にはこれに取り組みました。英語のライティング能力は確かにこれである程度は上がるでしょうが、このトレーニングには大きな問題があると感じてきました。それは「不自然な英語で一生懸命日記を書いてしまうこと」です。関係代名詞や分詞、不定詞を使いまくって継ぎ接ぎになった文章。意味は通じても、不自然極まりない文章では学習していても楽しくありません。楽しくないことは続かない。ここは大きな問題点です。実際に私が大学時代に取り組んでいた英語日記は最初はA4サイズのノートに1ページをノルマに書いていましたが、面倒になってA5サイズの小さなノートに・・・。カナダ人の先生に日本語で「ズルイィ!」と言われたのを強烈に覚えています。
DeepLは英語を考える面倒を劇的に解消してくれるだけでなく、自然な英語を学び、日本語と英語の考え方の違いを楽しむという、異文化理解のとても大切な部分に触れることが可能になります。
授業で使うならブックマークかGoogle Classroomにリンクを
今年は英語の授業を担当していない私ですが、もし私が英語の授業をするのであれば、生徒にDeepLをブックマークさせ、ブックマークバーからすぐに使える状態にさせるか、授業ではGoogle Classroomを使うので、ストリームにDeepLのリンクを貼り付けておきます。こうしておかないと、いくら便利なツールであったとしても、すぐにDeepLが使えないため、Google翻訳の利用にとどまってしまう可能性が高くなります(Google翻訳も決して悪いわけではありませんが、ベストでないことも事実)。DeepLをブックマークしてポールポジションの状態にしておけば、これを使わない理由は無くなります。
困った時にはすぐにDeepLで調べて発音チェック。英語学習の面倒で分かりにくい英作文と発音の面での問題がクリアできれば、きっと英語の勉強もこれまでよりも楽しく取り組めるようになりますし、生徒は主体性を発揮して自ら学びを深めてくれることと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は英語の学習に役立つDeepLを紹介させていただきました。現代は本当に便利な時代ですね。先日このDeepLを生徒に紹介したら「もう英語勉強せんでいいやん」と言われてしまいましたが、言語学習は一種のゲームのようなものでもあり、海外旅行を楽しんだり、海外の人とコミュニケーションを楽しむためのツールであり、異文化や海外事情に対する知的好奇心を満たしてくれるツールなので、外国語を学習することは今後も私たちにとって十分な価値を提供してくれることと思います。
自分が子どもの頃を思い出すと、英語の勉強を始めることに対してワクワクしていたことを覚えています。きっと多くの子どもにとって外国語を学ぶことは本来ワクワクすることであり、新しく知った表現はどんどん使って遊びの感覚で身につけていくことができるはずなのです。ただ、それを実現するためのツールがこれまでは不十分であり、教師一人で教えることにも限界がありました。そういう状況が解決されつつある今、積極的に子どもたちの主体性を刺激し、楽しく学べる時間をコーディネートしていきたいですね。それは私が担当する美術にも同様のことが言えますし、もちろん他の教科も同じだと思います。便利で有効なものへのアンテナを高くして、失敗を恐れずに授業に導入していきたいと思います。
それではまた!
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