ChatGPTとDeepLの掛け合わせでできる英語トレーニング

 先月ChatGPT4oが発表されてその性能には驚愕しましたが、それを部分的に超える性能を持つClaude3.5も発表されて生成AIの進化が加速していると感じる昨今ですね。

 働き方改革と言われながら、なかなか抜本的な解決ができない学校教育現場に身を置いている私ですが、AI業界の進歩をチェックし、世界がどう変化していくのか考え、最適な教育を生徒に提供できるようにすることが重要なミッションであると認識しています。

 私は普段中学校で美術の教師をしています。AI化が進む世界においても、「人間味のある」芸術の価値はこれまで以上に人間が人間らしく生き、人々のウェルビーイングに貢献するものとして大切な役割を果たし続けると考え、美術の指導に努めてきました。AIの機能が充実したCanvaというデジタルツールを授業で導入しつつも、色や形、構成、素材との触れ合いを楽しみながら創造活動するアート体験、積み木やレゴに夢中になる幸福な時間の意義について生徒には考えてもらえるように指導しています。

 ただ、私は美術教師になる以前は英語を専門にしており、教師になってからもたまに英語を担当する年もあることや、海外と日本を行き来した生活への憧れもあるので、美術や部活動のソフトテニスの研究をしながらも、割と日頃から英語に触れるようにしていて、英語教育のあり方についても考えてきました。それゆえに、この度のChatGPTの進化には英語学習の面で強烈なインパクトをがありました。「とうとう来たか」という感じです。

 今回はChatGPTだけでなく、翻訳アプリであるDeepLを掛け合わせて英語のトレーニングをする方法について紹介します。これによって、それぞれに機能を補完し合って快適な学習ができるので大変おすすめです。


自分の英語を直してもらうようにプロンプトを入れておく

 アプリ版のChatGPTは音声入力が可能で、言葉を自動認識して言語を判断して文字に起こしてくれます。AIからの返答も音声を読み上げることが可能なので、ChatGPTで英会話が普通にできます。ただ、自分の話した英語を自然な表現に直してもらうように入力しておかないと拙い英語でやり取りするだけの英会話になってしまうので、自分の英語をより良い表現に直すようにプロンプトを入れておくことが大切になります。


 英会話のトレーニングで大切なことは、トレーナーに話をするだけでなく、より良い話し方のフィードバックをもらうことで表現力を向上させていけるようにすることにあります。フィードバックされたことをオウム返しし、トレーナーから発音のフィードバックをもらってまたオウム返し、この繰り返しによって話せるようになっていくわけですが、このトレーニングは対人であることから精神的に厳しいと感じる人は結構いると思います。相手が交際相手や友達なら楽しいかもしれませんが。ちなみに私には1歳9ヶ月の幼児がいますが、毎日オウム返しを楽しそうにしながらものすごい勢いで言語を獲得していっています。そういう人間が成長する姿から言語トレーニングの本来の姿について勉強する機会が得られていることはありがたいことだと感じています。

 英語のトレーニングがしたくても心理的な負担が大きいと継続しません。これが英語を学ぶ上での大きな問題だと私は思います。もちろん英語はリーディングやライティングも大切なので、会話ができなくても構わないという人は結構いると思いますし、受験のことを考えると、会話スキルやリスニングスキルは依然として、リーディングやライティングに比べると重要度が落ちると認識されているのも仕方がないことかもしれません。ましてやこれだけChatGPTや翻訳アプリが進化した時代において英語が話せることのキャリア上のメリットはそれほどないかもしれません。しかし、英会話すること自体の楽しさがなくなるわけではなく、日本語では味わえない非日常性といった体験としての価値があると思います。英語スキルがどんどん向上していくゲーム感というものもあるでしょう。こういったシンプルに学びを楽しめる要素が英語学習にはありますし、学びというもの自体が本質的に楽しさを生み出すものであるはずです。

 そんな楽しい学習を支えるのがAIの機能であり、ChatGPTはその優秀なツールの一つであると感じています。私はこれまでにもSpeakというChatGPTを積み込んだ英会話アプリを使用してきましたが、このアプリが悪いというわけではありませんが、会話の発展性や他のツールとの組み合わせを考えると、ChatGPTの方が使い勝手が良いと感じています。ChatGPTが3.5でも十分でしたが、4oも使えるようになり(使用制限がすぐにかかりますが)、本当に人と話をしている感覚が持てるようになったことでChatGPTの優位性はさらに強まったと考えています。



DeepLと組み合わせることでさらに高性能に

 ChatGPTは会話で力を発揮しますが、英語に直すのが難しい日本語を表現したい時にはDeepLを使って適切な表現を利用するのも有効です。iPadであればスプリットビューでChatGPTとDeepLの両方を立ち上げておき、すぐに使えるようにしておくと便利です。DeepLは他言語への変換も瞬時にできるというのも言語学習に有効です。

 以前はChatGPTでは音声の読み上げがなかったので、ChatGPTで生成された文章をコピーしてDeepLに貼り付けて読み上げさせていましたが、もうChatGPT単体で音声読み上げができるので、DeepLは英語の表現を調べたいときにのみ使用して、スプリットビューでは端の方に寄せています。DeepLで調べた表現は保存ができ、繰り返し勉強して表現を覚える際に便利なので、ChatGPTとセットで使ってそれぞれのメリットを引き出すことができます。


ただの英会話ではなく、専門家との会話として使う

 ChatGPT-4oの賢さは尋常ではないというのが使った感想です。これはただ英語のトレーニングに使うだけでは勿体無いレベルと言えます。専門家が会話の相手になってくれている状態なので、良い議論の相手になってくれます。

 超優秀な家庭教師が無料で使える状態というのがChatGPTの凄いところであり、このような環境に多くの人、そして子どもたちがアクセスできるというのが現代と考えると、学校教育の在り方も真剣に考え、変えるべきところは変えていかなければいけません。

 個別最適な学習、アダプティブラーニングといった、一人ひとりのニーズに合った学習が技術的には可能になっている時代であることを踏まえ、学校では学ぶ楽しさを味わい、学び方を学ぶことができるようにしていかなければいけないという考え方が少しずつ広まってきたように感じます。ただ知識を獲得するだけであれば、教科書を見て、ノートに自分の考えをまとめて、演習問題に取り組んで、結果を分析して、問題解決を図る、いわゆる「けてぶれ(計画、テスト、分析、練習のサイクル)」でも良いのですが、学びを通して生き生きと自己表現ができる環境、学びと遊びと仕事が一体化したようなウェルビーイングに溢れた場を作ることが大切であると思います。

 ChatGPTを始めとした生成AIを学びのパートナー、活動の伴走者として学校教育に取り入れていくことで、きっとアテネの学堂のような熱く充実した学校もつくることができるのではないかと考えています。その望みを実現するためにも自分にできることを少しずつ形にしていきたいと思います。



 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はChatGPTとDeepLの掛け合わせでできる英語トレーニングについて紹介させていただきました。後半はAIの進化がますますこれから加速する中で求められる学校教育の在り方についても考えていることを少し述べさせていただきました。今回の内容が何か参考になったのであれば嬉しいです。

 ChatGPTとDeepLの掛け合わせについては以前にもブログで書いたことがあるので、こちらの方も時代遅れな内容になるかもしれませんが、良かったら読んでみてください。

 もうすぐ1学期が終わりますが、ここからお盆休みを除いて2学期の開始までが超過密スケジュールになってしまった私ですが、これも充実感を支える栄養になると考え、AIの助けも借りながらなんとかやっていこうと思います。

 ちなみにこのブログは趣味で書いているものなので、生成AIに仕事はさせていません(笑)

 それではまた!

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