Canvaで道徳をアクティブに 〜Googleと連携して〜

 今年度から倉敷市にCanvaが導入されて、これまでGoogle中心の利用だった私もCanvaならではの良いところを探りながら授業活用を進めています。

 私の担当は中学美術で、Canvaはグラフィックデザイン系の学習で有効であると感じています。これから中学1年生の授業でデザインの学習が始まるので、テンプレートだらけになって肝心の形や色、構成の創造を楽しむ要素が犠牲にならないように配慮しつつ、学習意欲を刺激する活用を試行錯誤していきたいと思います。

 私が美術での活用に先立って授業で利用を始めたのが道徳です。私は今年でクラス担任を11年連続で担当しており、常々道徳の授業の在り方について研究してきました。ここ最近は生徒の一人一台端末の実現によってJamboardを使ったり、昨年度は途中からGoogleスライドを活用したりして協働的な道徳の学習ができるように授業実践してきました。

 そのような中Canvaが導入され、実際に活用してみる中でそのメリットについて見えてきたことがあるので情報共有させていただきます。読まれた方にとって何か参考になるものとなれば幸いです。また、以前にJamboardを利用した道徳の授業について記事を書いているので、もうすぐサービス終了するツールではありますが、ICT活用の視点の一つとしてよかったら見ていただければと思います。

Google Jamboardで道徳をアクティブに Vol.1

Google Jamboardで道徳をアクティブに Vol.2


プレゼンテーションで図形ツールを付箋の代わりに活用

 Canvaで協働学習する際にホワイトボードを活用するケースも多いと思いますが、私はプレゼンテーションが使いやすいと感じています。質問の内容ごとにページを分けることで内容をまとめやすいことや、ホワイトボードのように拡大しすぎたり縮小しすぎて迷子になることもありません。30人〜40人分の意見を集めるにはプレゼンテーションで十分ですし、使える機能も基本的に変わらないので、とても使いやすいと感じています。

 意見の収集方法についてはGoogleスライドの時からしていることですが、予め図形ツールに出席番号を入力しておき、意見は自分の番号のところに入力させるようにしています。意見を入力する際には番号を消して入力することも可としています。



 Canvaの付箋ツールは名前が付くようになっていて、これはこれで便利なところもありますが、意見の中身よりも、むしろ誰の意見であるかを意識してしまう可能性もあります。なので、図形ツールで匿名性をある程度もたせることによってJamboardのように気軽に意見を出すことにつながると考え、私は図形ツールを利用しています。あと、この方法なら付箋をツールボックスから選ばずとも、すぐに用意された図形に入力できるため作業がシンプルになり、意見交流に集中しやすくなると考えられます。意見がたくさん集まると普段積極的に発表しない生徒でも意見が出しやすくなりますし、他の人の意見を見て、自分の意見に変更を加えるケースも見られ、非常にアクティブな意見交流の場になります。

 PCで意見を入力する際も口頭で言うのは自由にしていますし、あがった意見を私もピックアップして読み上げることもるので、それほど堅苦しい雰囲気にはならないようにしています。ただ、中心発問を自分で考える時間は数分間静かに集中して自分の考えをメモする時間を取るようにしています。そうしてよく考えた意見を共有することで、お互いの考えもさらに深められ、これが短時間で行えるというのがCanvaを含めたデジタルツール活用のメリットですね。

 

GoogleスライドのようにいきなりDELETEの心配なし

 Canvaを使っていて本当に良いと思うのが、Googleスライドでよくあったページが丸ごと削除されるというDELETEワンポチの悲劇の心配をなくすことができるところです。位置だけロックをかけておけば相当な悪意がない限りはページを消される心配がありません。Googleスライドの時のように、削除した生徒がControl + Zを押すまで待つ必要もなく、ストレスフリーに授業が展開します。


 位置だけをロックした場合、図形などは場所を固定されますが、テキストは入力できるので、教師が生徒の作業をコントロールしやすくなります。これがメリットであると同時に、生徒にできることを制限してしまうデメリットにもなりかねないわけですが、使い方次第と言えます。

 ロックをしていない状態であれば、注目させたい意見が入力された付箋の色やサイズを変えるのも手軽にできるのがデザイン作成を得意とするCanvaならではの良いところだと思います。生徒のリテラシーが十分に身についている状態であれば、なるべく自由に使わせ、教師としては活動を見守る時間のウェイトを増やしたいところです


GoogleクラスルームやGoogleフォームとの連携

 私は普段からGoogleクラスルームをよく活用しているので、生徒もこの利用に慣れています。なので、Canvaの道徳教材のリンクをGoogleクラスルームに貼り付けて、ここからアクセスできるようにしています。


 またGoogleフォームを使った感想の収集もとても便利で、集まった意見を共有することもできるので、これらをGoogleクラスルームに貼り付けたり、Canvaの教材にリンクで貼り付けるなどして生徒が使いやすい状態にできます。


黒板やノートも使いながらCanvaを利用

 Canvaはとても便利なツールですが、私は黒板に要点を書いたり、生徒がノートに考えをまとめたりすることの重要性は変わらないものであると考えています。Canvaは意見を集めるにはとても良いツールですが、そういった意見と出会いながら、自分の考えや価値観とじっくりノートを書きながら深める時間は大切であり、黒板に要点となる言葉を書いたり関係づけたりして生徒に学習内容を印象付けることも必要なことであると思います。

 アナログを生かすためにも、意見をたくさん集め、思考や価値観に刺激を与えることがデジタルの重要な役割だと思います。そして、生徒の学びを促進する仕掛けを考えたり、授業の雰囲気の中で学びを調整したりすることが心を持った人間の教師ならではの役割であり、やりがいに満ちた挑戦だと思います。

 道徳の授業をより良い場にするためにもCanvaをさらに有効活用する方法を探っていきたいと思いますが、より根本的な道徳の授業の在り方についてさらに考えを深めていきたいと思います。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はCanvaを道徳の授業で活用する方法について紹介させていただきました。少し準備しておけば生徒も簡単な操作で短時間で意見を共有することが可能になるので、時間にゆとりのある授業となり、できた余裕で話し合う時間やさらに深い内容について考える機会をつくり出すことにもなると思います。もし今回の内容がCanvaで道徳をする上での参考になったのであれば嬉しいです。

 またCanvaで有効な方法が発見できれば記事にまとめようと思いますので、色々と挑戦していきたいと思います。

 それではまた!

 


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