Googleスライドをジャムボード以上に協働的に活用

 


 今回はGoogleスライドの協働作業における利便性と発展性について紹介します。協働学習でよく用いられているのがGoogleジャムボードだと思いますが、使い方によってはGoogleスライドはジャムボード以上に利便性が高く、圧倒的な発展性を持っていると言えます。

 ICTに慣れていく段階ではジャムボードは直感的に使えて子どもたちにとっても扱いやすいです。授業でのICT利用でジャムボードから始めたという先生も多いのではないでしょうか。私もそうでした。


Googleジャムボードの弱点とGoogleスライドの利点

 ジャムボードは簡単に使える反面、発展的に用いる上での弱点があります。例えば、

◯写真を同時に複数枚アップロードできない

◯リンクの機能が使えない

◯付箋の形、文字のサイズ、色の選択が限定される

◯コピー&ペーストが同じジャムボード上に限られる

◯他のアプリケーションとの互換性が低い(画像ファイルやPDFに限られる)

 といったものが挙げられます。

 これに対して、Googleスライドをジャムボードのように活用するメリットは、

◯多様な図形を組み合わせたり、テキストを自由に編集できるため、シンキングツールを手軽に作成できる。ダウンロードで画像にすれば、背景設定にも活用可能。




◯リンクを埋め込むことが可能なため、内容をより詳細に説明したり、参考にできる資料を埋め込んだり、共有できる。


◯コピー&ペーストなどの機能が不自由なく使える。画像を複数同時にアップロードすることも可能。

◯図形ツールにテキストを入れることもできるため、ジャムボードの付箋のように活用できるだけでなく、形や色も自由にアレンジ可能。



◯協働学習や作業をしながら資料として発展することに加え、他のアプリケーションとの互換性も高い。


 このように、Googleスライドにはたくさんのメリットがあります。ジャムボードと比較してデメリットと言える部分は

◯手描きができないこと。

◯操作するにはコピー&ペースト、トラックパッドの操作などICTの基本的な活用能力が必要。

◯選択している部分に名前が露骨に表示されるため、注目されるのが苦手な人は協働作業に参加しにくくなる。

 以上のような部分が挙げられます。

 道徳の授業のように気軽に意見を出す状況が求められるのであれば、Googleスライドの操作性や名前表示は不向きと言えるかもしれません。

 これに対して、職員研修など、ある程度ICT活用能力がある人が集まっていて、多様なニーズに合わせて自由に編集できるGoogleスライドは研修をしながら資料を発展的に作成したり、そこからさらに発展してチームとして具体的なアクションに繋げていく情報共有が可能です。ある程度の活用能力がある状態であれば、ジャムボード以上に活用の可能性が高いと考えられます。


研修や会議で使いたいGoogleスライド

 協働編集や付箋として使える図形、リンクの埋め込みは研修や会議で非常に有効だと考えられます。研修でよく行うブレーンストーミングやKJ法はジャムボードの得意分野かもしれませんが、研修で大切なことは思考活動するだけでなく、実際に使える知識やツールを共有することだと私は考えています。「良い意見交流ができた」だけでは、翌日からの具体的なアクションにはつながりません。大切なのは翌日からの具体的なアクションにつながるステップです。

 Googleスライドを使えば、参考になる資料をリンクで埋め込んで、他者と情報共有できます。アナログで研修をした場合、内容がイメージできないケースが往々にしてあると思いますが、詳しい内容をリンク先に設定しておけばそのような問題も解決します。リンク先の資料はダウンロードしたり、コピーしたり、デジタルならではの柔軟でスピーディーな利用が可能です。資料がない場合も、リンク先にこれから作成する資料を設定し、チームで分担して作成に当たることも可能です。



 研修や会議で新しいことが閃いても、それを実際に具現化していくステップを踏まなければ、結局何も変わらないままになりかねませんが、ファイルを作成し、他者と共有されたスライドにリンクで貼り付けるという、実現に向けてのスモールステップが踏めると、改善のサイクルが回り始める可能性も上がります

 そういう視点を教師が持つことは、生徒が主体性を発揮して学習に取り組める授業コーディネートにも役立つと考えています。最近注目を集めているPBL(問題解決型学習)は教師の一方的な指導では不可能で、生徒が主体となって学習活動を広げていくものです。そして、教師はその環境をコーディネートしたりファシリテートしたりする役割が求められます。その際に、Googleスライドを活用して生徒から情報を集めたり、それぞれの活動につながるリンクを貼り付けたりするなどして、スライドが情報共有の場として機能することも考えられます。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。Googleスライドには大きな可能性があると思いますので、これからも活用方法について実践を通して考えを広げていきたいと思います。



 余談となりますが、今回Googleスライドの活用例で使った図は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的な学習態度」の3観点の構造ですが、それぞれの観点の接合点について理解を深めておくことが大切であると最近考えています。これを思いついたきっかけがアメリカの脳トレーナー、ジム・クイック氏の「リミットレス」という考え方です。これは3つのM(Mindset,Motivation,Method)から構成されており、それぞれが重なり合う状況が「limitless」という限界なき学習者の状態を示しています。

 この構造は3観点にそのまま置き換えることが可能であり、リミットレスに当たる部分はレポートや振り返りといったPBLに関係する主体的な学習であることが見えてきます。そしてこれこそ新学習指導要領が目指す、主体的で対話的な深い学び、令和型の教育、GIGAスクール構想の目指すところなのではないかと思います。そのように考えると、ますます教育の世界の面白さを考えてしまう今日この頃です。

 これからもリミットレスに学習し、少しでも役に立つ情報を発信していこうと思います!

 それではまた!




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