表紙のデザインはステンシルで

  卒業シーズンですね。私も今年は中学3年生の担任をしているので、この時期は忙しかったり寂しかったり、込み上げるものがあったりで情緒不安定です。この感じ、私は嫌いではありません(笑)

 自分が3年生を担当している時に毎回自分の役割になるのが呼名名簿を貼り付ける台紙のデザインです。担任がこれを手に取り一人ひとりの名前を読み上げます。もしこの紙がペラペラのコピー用紙だったら品がないので、品のある紙を台紙にして卒業式の雰囲気に合ったものにします。


ステンシルなら簡単に短時間でデザインを施すことが可能

 この台紙がたとえ無地であったとしても、遠くから見るとそれほど気になることはないでしょうが、担任にとっても卒業式は特別な機会なので、なるべく良いものを手に取って気持ちよく式に臨んでほしいものです。

 だからと言って台紙を外注するほどのことかと言うとそうでもないような気がしますし、一々手作業で凝ったものを作るのも大変です。このような状況を解決してくれるのが以前にも度々紹介してきたステンシル版画です。ステンシル版画であれば、簡単に短時間で素敵なデザインを施すことが可能です。


 今回活用したステンシルは7年も前に作成したものですが、私が3年生を送り出すたびに活用して今回で3回目。唯一の変更点は学年目標のステンシルを新たに作成する程度です。着彩はブラシと網を活用したスパッタリングで色を分けたり重ねたりして版画を作成します。今回は7枚の台紙に着彩をしましたが、学年目標のステンシルを作成するのも含めて1時間程度で着彩が完了しました。


台紙を2枚重ねにすると更に上品に



 色画用紙にデザインを施せばそれだけでも十分に良い状態になりますが、薄い色画用紙を用いた場合、台紙自体がペラペラとして品が出ないので、これにケント紙などを重ねて糊付けするとシャキッとするだけでなく、2色構成になるため少しオシャレ感が増します。欲を言うなら完全なツートンカラーにしてしまいたいところですが、同型色を構成するために画用紙を購入する手間とコストを考えると、セパレーションの効果が出る白でも良いと思います。トーンで考えるならグレーはどの色彩にも調和するので、グレーの色画用紙を用意するのも良いかもしれません。


手軽ながら感動を生むステンシルの優秀さ

 私的には手軽に作成した台紙でしたが、学年主任の先生に歓声の報告をしたら制作の速さと質の高さの両面で大変感動してもらえました。ステンシル版画は誰が着彩しても基本的には良い感じにできますし、一度図版を作成しておけばずっと使えるので、学校に1セットぐらいは卒業式用に作成しておいても良いかもしれません。

 ステンシルは穴に絵の具を通す孔版というタイプの版画なので、平面であればどこでも利用可能です。バンクシーもこの技法でちゃっちゃと落描きを作成しているように、短時間でかなりのクオリティを生み出すことが可能なステンシル版画はさまざまな活用方法が考えられます。

 私自身、毎年年賀状をステンシルで作成していますし、授業でも取り扱ってきました。版画の魅力は何度でも同じ版を利用して制作でき、その中で様々な試行錯誤が可能ということです。あのピカソも生涯に10万点を超える版画を作成した(油彩画や彫刻作品を合計しても数万点と考えるといかに版画の割合が高いか分かります)ように、版画には表現の可能性として非常に大きなものがあると思います。色や形、構成を学ぶ上でも優秀な方法なので、教材としても優秀なので、美術や図画工作の授業で活用するのもお勧めです。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はステンシルを用いた表紙のデザインとステンシル版画の魅力について紹介させていただきました。もし今回の内容を読んで、興味をもち、やってみたいという方がいらっしゃったのであれば嬉しいです。

 卒業式まであと1週間。卒業式で子どもたちやその保護者、他の先生たちと素敵な1日が送れるように励みたいと思います。

 それではまた!

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