投稿

6月, 2023の投稿を表示しています

Googleスライドの振り返りシートを学習レポートに 〜ルーブリックの活用で教師も生徒もWIN-WIN〜

イメージ
 私は2年前から定期考査の代わりにレポートを期末課題として設定しています。これまでレポートは紙のものかGoogleスライドを活用したデジタルのものいずれかを選択して、学習した内容を一からまとめる形で取り組ませてきましたが、今年からは普段の授業で行なっている振り返りのファイルをベースにして、学習レポートにするという方法を取るようにしています。  この方法が実現したのは昨年の途中から活用しているルーブリックの影響が大きく、これによって教師にとっても生徒にとっても効率が上がり、課題の負担が少なくなるだけでなく、自動生成AIが普及する中でも学習レポートが今後も有効であり続ける手応えを掴むことができたので、記事にまとめてみました。 学習レポートとしての機能性をもった振り返りシート ルーブリックとの連携で指導と評価の一体化  私はGoogleスライドを振り返りシートとして活用しています。Googleスライドにはたくさんの情報を載せることが可能で、毎時間の学習活動に関する振り返りを1ページにまとめ、それを蓄積していくようにしています。   制作だけでなく、鑑賞会で活用するページも一体化しているため、普段からこの振り返りシートを活用していれば自然と学習レポートになっていくように設計しています 。  Googleクラスルームの「授業」で振り返りシートを課題設定する際にルーブリックも設定(スプレッドシートからルーブリックのファイルをインポート可)しておけば、振り返りシートが提出された際に学習状況を判断してルーブリックを調整することが可能です。振り返りとして入力された内容だけでなく、机間巡視しながら見取った生徒の学習状況を反映させて評価することができるため、指導と評価の一体化という点で非常に有効な方法であると考えています。 普段から活用している振り返りシートに考察を加えるだけ  これまで振り返りシートは授業で取り組むもの、学期末レポートは授業外での課題(授業中にも取り組む時間は設けていました)という扱いで、それぞれ別のものとして「評価」してきました。しかし、振り返りシートの内容が学期末レポートに反映されるのであれば、そもそもこれらは一つのものとして扱えるものですし、レポートとしてまとめる際に振り返りシートに書き込んだことがそのまま活用できるのであれば、レポートではそこから内容を深化させる

主体的な学習に基づかない宿題の弊害

イメージ
  今回は「宿題」について私の考えを述べます。なぜこのようなことをテーマにしたかというと、教師が宿題に期待することとは真逆の結果に繋がってしまう可能性があるためであり、少しでも主体的な学習者の育成に対する宿題の在り方についてこれまでの常識にとらわれることなく考えることができる人が増えて欲しいという思いがあるためです。  ただ、これから述べる内容はあくまで私の一意見であり、宿題の在り方について絶対的に正しい考えなど存在しません。参考程度に読んでもらえたらと思います。 主体性が生かされないものを評価できない  新学習指導要領ではこれまでの観点別評価「 関心・意欲・態度 、 知識・理解 、 技能 、 思考・判断・表現 」から「 主体的に学習に取り組む態度 、 知識・技能 、 思考・判断・表現 」に変更され、特に「主体的に学習に取り組む態度」というものが大きな変更点であると言われています。関心・意欲・態度と決定的に違うのは、「主体性」が加わっているところです。関心・意欲・態度という評価の観点では授業を真面目に受け、教師の話をしっかり聞いているかということや、提出物を出せているかといった教師の都合で評価が決まってしまう傾向がありました。「点数は取るが、授業中の態度が太々しく、話を聞かずに勝手に資料集を見ており、提出物に取り組まないので関心・意欲・態度の評価はC」という評価がされ、通知表に(AAAC)という表示が入っているものが以前は普通にありました。  しかし、そもそもを考えると、そういう生徒が生まれてしまうような授業や課題の設定をしていること自体に欠陥があるわけであり、それが「主体的な学習態度」となると、生徒が主体的に取り組める設定を教師が用意しなければいけなくなります。つまり、 生徒が主体的に取り組めているかどうかは教師自身の問題でもある ということです。主体的に取り組めていない生徒を見たら、そういう生徒が主体的に取り組めるように授業改善に努め、教師と生徒が一緒に授業をより良いものにしていくことが求められているのが令和型の学校教育の姿であると私は理解しています。  前置きが長くなりましたが、そのような主体的な学習がテーマとなった時代において、宿題の在り方とはどうあるべきなのか述べていきたいと思います。   学習者の主体性が発揮される宿題かどうか  学習者の主体性に基づかな

生徒のICTリテラシーを向上させるために教師に求められること

イメージ
  今回は生徒のICTリテラシーを向上させるために教師に求められることについて私の考えを述べてみようと思います。今年で勤務校でのGIGAスクール推進リーダーも3年目に突入し、過去2年間で多くのことについて学びながら実践してきました。自分自身のICTリテラシーはこの2年と少しの間に劇的に向上したと感じており、最近は以前からやりたかった授業が美術だけでなく、道徳や総合の授業でも行えるようになり、新学習指導要領とGIGAスクール構想の掛け合わせによる恩恵を大いに受けていると感じています。  ただ、校内や市内の教師や生徒のICTリテラシー向上にはまだまだ大きな課題があり、私の勤務校でさえもGIGAスクール構想を十分に推進することができていない状態です。その原因として生徒のICTリテラシーに課題があるだけでなく、教師のICTリテラシーにも課題があり、むしろ、後者の方が深刻であると考えています。  デジタルネイティブと言われる今の子どもたちにとって、スマートフォンやタブレットは物心ついた頃から身近にあり、活用してきており、情報を共有したり、オンラインゲームなどで共同作業したりすることを普段から自然にしています。つまり、今の多くの子どもたちにはICTを活用して主体性を発揮して協働的で対話的な学習活動をする素養があると考えられます。それに対して教師の多くはICTが仕事を処理するためのツールであり、授業で活用する視点もあくまで「教える」ための提示ツールとしての認識に留まっている傾向があります。  今回はそのような状況において、教師が生徒のICTリテラシーを向上させるために求められていることについて私見を綴っていきます。 生徒に使わせたいICTの活用方法に対する捉え方は教師のICTリテラシーのレベルで異なる傾向  今年、私の勤務校では教師にGIGAスクールの推進に関するアンケートを取り、授業における生徒のICT活用に対する捉え方と教師自身のICTリテラシーレベルを調査しました。その結果、 ICTリテラシーが高く、普段から生徒がICTを活用して協働的に学ぶ機会を設定している教師は生徒にICTをより自由に使わせたいと考えている一方で、普段からICTを授業で生徒に協働目的で使わせることなく、授業を進めるために教師からの資料提示にICTを使うことがメインになっている教師は、授業中に教師が指示を

学習のまとめは生徒主体で協働的に行う 〜ICTのメリットを生かして〜

イメージ
 今回は授業時間の最後に行う「まとめ」について、私の考えをまとめてみました。これまで授業のめあてや課題、まとめは教師が中心になって行い、振り返りは生徒が行うという流れが一般的であったと思いますが、生徒の主体的な学習を目指して授業が行われるようになった現在、学習のまとめも生徒が中心になって行うべきではないかと私は考えています。そしてPBL(課題解決型学習)が一般化すれば、各々がめあてや課題を設定することが普通になり、教師が教える目的でめあてや課題を設定することは基本的になくなると思いますし、それを目指して授業改革し、教育へのマインドセットを変えていくことが大切であると考えています。  生徒の主体的な学習が中心となった現在において、まとめを生徒が中心に行うことは非常に意義深いことではないでしょうか。 従来の教師中心のまとめでは、授業内容の一方的な伝達や復習に留まりがちであり、生徒の深い理解や自己評価を促すことが難しかったですが、生徒主体のまとめでは、生徒が自ら考え、自己評価し、学習の成果を振り返る機会を得ることにつながると考えられます。 そして、そのまとめの活動をファシリテートするのが教師の役割であり、ICTのツールを活用することによって、その効果を大きくすることができると手応えを感じています。  今回は以前から取り組んでいるGoogleスライドやGoogleジャムボードを活用した生徒が主体となったまとめの方法を紹介します。生徒が中心となって行うまとめは学びを深く広くする上でとても有意義なものになると感じているので、よかったら参考にしてみてください。 生徒主体のまとめを行うメリットとICTの活用 1. 深い理解を促進するまとめの共有  生徒がまとめをする過程で、学習内容を整理し、自らの言葉で説明する必要があります。この過程で、より深い理解につなげることができます。 探究的な学びでは学びの視点や重点が多様になるため、まとめの内容もシンプルで分かりやすいものではなく、複雑で多様性のあるものになります。  これまでは、教師がまとめを誘導しながら生徒に説明させるという方法が一般的でしたが、このまとめ方では教師の想像通りの学習であり、予定調和にしかなりません。教師にとって都合の良い発言を積極的に発表する生徒がいれば、確かにスムーズにまとめができますが、そんなまとめであれば教師がさ

部活動との付き合いについて 〜メリットと課題〜

イメージ
  部活動の地域移行の話をよく見かける昨今ですね。なかなかこの話もスムーズに進んでいるわけではありませんが、現段階で教員の労働形態が部活動によって現代の基準に則したものではなくなっているので、遠くない将来部活動が地域のものになっていくことは確実と見て良いと思います。学校と部活動の接点が残る可能性も十分にありますが、少なくとも、これまでより地域色が強くなるのは間違いないでしょう。  そのような地域移行の中で、自分自身がどのように部活動と関わっていくべきかについて最近よく考えているので、今回は、気の向くままに記事にまとめてみたいと思います。 部活動はスポーツを楽しむ場と考える  結論から言うと、私にとっては部活動に携わるメリットが現段階でもデメリットを上回るため、部活動が教師の任意であったり、ボランティア(休日の練習は部活動手当が支給されるためボランティアではありません)であったとしても部活動に携わり続けていくと思います。なぜなら、今でも施設開放で地域に開放している時でも生徒や大人と一緒にソフトテニスを楽しんでいるためです。  もし部活動が勝利至上主義であったり、顧問や監督の絶対的な権力の中で運営されるような状態であれば、部活動の雰囲気は非常に緊張したものになり、本来楽しむことが大切な要素になるはずのスポーツや芸術がストレスの対象になってしまいます。科学的にはストレス自体が健康に害を及ぼすものではなく、ストレスと上手に付き合っていくことでメリハリのある健全な生活ができるというケリー・マクゴニガルの研究もあるぐらいなので、 プレーや体力の向上のために適度に壁を乗り越えていける状況は良い環境であり、部活動はそのような場として重要な存在意義を持っている と言えます。部活動は日常的に達成感が味わえる場所であるため、そのようなマインドセットを顧問や部員が持つことができていれば、自然と健全な部活動になっていくと私は考えています。  生徒がソフトテニスをより好きになってもらえるようにサポートするのが顧問としての私の役目なので、基本的な技術の習得に必要なティーチングや、個々のプレーヤーに必要な部分をメタ認知させるコーチングだけでなく、生徒と一緒に打ち合ったり、デモンストレーションを見せたりすることもあります。昔は部を一つにまとめるために威圧的に指導することもありましたが、最近はそのよう