部活動との付き合いについて 〜メリットと課題〜

  部活動の地域移行の話をよく見かける昨今ですね。なかなかこの話もスムーズに進んでいるわけではありませんが、現段階で教員の労働形態が部活動によって現代の基準に則したものではなくなっているので、遠くない将来部活動が地域のものになっていくことは確実と見て良いと思います。学校と部活動の接点が残る可能性も十分にありますが、少なくとも、これまでより地域色が強くなるのは間違いないでしょう。

 そのような地域移行の中で、自分自身がどのように部活動と関わっていくべきかについて最近よく考えているので、今回は、気の向くままに記事にまとめてみたいと思います。


部活動はスポーツを楽しむ場と考える

 結論から言うと、私にとっては部活動に携わるメリットが現段階でもデメリットを上回るため、部活動が教師の任意であったり、ボランティア(休日の練習は部活動手当が支給されるためボランティアではありません)であったとしても部活動に携わり続けていくと思います。なぜなら、今でも施設開放で地域に開放している時でも生徒や大人と一緒にソフトテニスを楽しんでいるためです。

 もし部活動が勝利至上主義であったり、顧問や監督の絶対的な権力の中で運営されるような状態であれば、部活動の雰囲気は非常に緊張したものになり、本来楽しむことが大切な要素になるはずのスポーツや芸術がストレスの対象になってしまいます。科学的にはストレス自体が健康に害を及ぼすものではなく、ストレスと上手に付き合っていくことでメリハリのある健全な生活ができるというケリー・マクゴニガルの研究もあるぐらいなので、プレーや体力の向上のために適度に壁を乗り越えていける状況は良い環境であり、部活動はそのような場として重要な存在意義を持っていると言えます。部活動は日常的に達成感が味わえる場所であるため、そのようなマインドセットを顧問や部員が持つことができていれば、自然と健全な部活動になっていくと私は考えています。

 生徒がソフトテニスをより好きになってもらえるようにサポートするのが顧問としての私の役目なので、基本的な技術の習得に必要なティーチングや、個々のプレーヤーに必要な部分をメタ認知させるコーチングだけでなく、生徒と一緒に打ち合ったり、デモンストレーションを見せたりすることもあります。昔は部を一つにまとめるために威圧的に指導することもありましたが、最近はそのような指導では部員が人間として健全に成長することを阻害するということを理解できるようになったので、基本的に生徒の主体性を重視するようにし、行動に問題が感じられる場合は対話的に指導するスタイルが定着してきました。まだまだ勉強中の身なので、日々反省するべきことはありますが、少しずつ自分の指導スタイルを「子ども主体」に変えてくることができたと感じています。

 部活動が純粋にスポーツを楽しむ場になれば、顧問としても精神衛生的に良いものになります。楽しむためには技術の向上も必要であり、技術が向上すればスポーツの判断能力や工夫したプレーも発想力を生かしてできるようになり、結果も自然とついてくるものです。そうして部員が生き生きと活動する姿を見たり、一緒にソフトテニスをプレーして楽しむことができれば、もはや部活動は仕事ではなく、顧問にとってもただの楽しい時間になっていきます

 あと、個人的に外の空気を吸ったり、綺麗な空を見たり、そんなことが当たり前にできる環境に身を置くことも大切ですし、そういったことがポジティブなマインドにも繋がっていると思います。



朝の部活動は子どもにとっても顧問にとっても重要

 朝活ブームが巻き起こっている昨今、朝ウォーキングやランニングをしたり、筋トレをしたり、ますます多くのビジネスパーソンが生活の質や生産性を上げるために、朝活として運動をするようになっています。ただ、こういったものも習慣レベルにしなければ、続けることは難しいものです。幸いな事に、私にとって運動に関する朝活は全て朝の部活動の中で行うことができています

 朝の部活動から生徒と一緒にテニスをしたり、ボールを拾ったりするだけで、3000歩以上歩くことができ、純粋な運動時間も20分を超えます。これを毎日続けるだけでかなり健康の面でポジティブな効果が期待できますし、当然外のスポーツゆえに心地よい朝の日光を程々に浴びることができるので、運動と日光のダブル効果でミトコンドリアが活性化し、心身ともに元気になれます。これが業務や勉強に良い影響を与えるのは疑いようがありません。特に月曜日の朝は(まことに残念ながら)多くの職員が憂鬱で気怠い雰囲気を醸し出していますが、そんなこととは長年無縁でいられるのも朝から気持ちよく運動していることが影響していると思います。ちなみに私は部員が朝練に来なくても、一人一人異なった生活スタイルというものがあるため特に指導を入れるようなことはしません。ただただ朝に運動したり練習したりすることのメリットを伝えるだけで、後は本人の判断に任せるようにしています。部活動は生徒の自主的な活動の場であり、「テニスがしたい」「運動がしたい」「朝からスッキリしたい」などどんな価値観を持っていたとしても、それを認めることが重要であると考えています。

 朝練習するためには当然のことですがその分早く起きる必要があり、夜更かししなくなりますし、朝の日光を浴びて適度に運動もしているため、夜にはきっちり眠たくなります。朝からしっかり動ける状態というのは健康のバロメーターとも言えるので、そういう面でも朝の練習が有効であると私は考えています。このような体の状態に関するメリットの面でも、部活動は自分にとって必要でると考えています。



ネックは夏場の長時間に渡る放課後の部活動

 部活動が自分にとって必要であると考える私ですが、全肯定というわけではありません。それは最終下校が6時半になる夏場の部活動です。本来勤務時間は4時45分までですが、夏場は部活動をするだけで2時間程度時間外労働をすることになります。朝は業務のウォーミングアップのつもりでできますが、さすがに夕方の長時間の部活動は業務に悪影響を及ぼします。

 部活動が終わって、下校指導もしたら、職員室に戻る時間はもう7時前です。部活動が副顧問で特に活動に携わっていない先生たちは下校指導が済んだらすぐに帰宅してしまいます。そのような中で、自分の仕事が始まっていくのはなんだかやるせない気もしますが、だからと言って部活動を放置するわけにもいかないのが苦しいところです。

 部活動が好きと言っても、本業である美術教師としての仕事に一番力を注いでいますし、学級や学年の取り組みについても精力的に取り組んでいると、時間が十分に足りないのが実情です。そうは言っても、ブログを毎週更新できるぐらいに時間の余裕はありますが、毎日1時間でも良いので、自由に活用できる時間が増えると充実度がさらに上がると思います。

 この点については既に最終下校を5時にして、部活動もそれに合わせて終了するという自治体が出てきているなど、徐々に改善が進んでいるので、そういう動きが波及してほしいと思います。地域移行によって5時以降は学校ではなくて、地域の活動ということにすれば、教師が顧問として活動の場に出る必要はなくなります。部員たちの中には、遊びがソフトテニスになっているケースも少なくはないため、練習したい人がたくさん練習できる環境を用意できれば、彼らにとってとても嬉しいことではないかと思います。

 学校はスポーツをする環境としてはかなり恵まれています。ソフトテニスを学校外でしようと思うとコート代がかかりますし、近くに市営の使用量が安いコートがあれば良いのですが、そういう環境がなければ学校が貴重な練習の場になるため、学校が地域に開放されて、教師がいなくても子どもたちが活用できるようにすることはとても意義のあることだと思います。そして、教師も地域の一員であることを考えると、業務の気分転換に学校で行われている地域の活動に参加するのも良いと思います。教師にとっても気軽にスポーツを楽しめる環境はありがたいことだと思います。

 教師にとっても、生徒にとっても、部活動がより良いものになっていくよう、これまで当たり前で済ましてきたことに対してクリティカルに考え、改善でいることは積極的に変更をしていくことが大切です。そんな部活動改革に私自身微力ながらできることをしていきたいです。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は部活動との付き合いについて私が普段考えていることを気の向くままに書いてみました。部活動は自分にとって健康な心身を支える大切な要素ではありますが、もう少し時間に自由があれば、自分のやりたいことをさらに充実させることができると思います。何でもバランスが大切なのは当たり前ですが、それが難しいシステムであれば、変更していく他ありません。これだけ教育改革が叫ばれているので、より良い形になっていくことを期待していますが、他人任せではなく、外部指導コーチや部活動支援員の募集、地域の人との連携など、自分でできることは積極的に行っていきたいと思います。

 それではまた!

 

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