新人戦の地区予選が終了 〜部活動顧問として思うこと〜


 先週と今週は新人戦の地区予選が行われ、私が顧問を務める男子ソフトテニス部は個人で1ペアがベスト16と32(代表決定戦敗退)、団体は残念ながら代表決定戦敗退という結果で、11月にある岡山県大会には個人で1ペアが参加するという地区予選の結果になりました。

 新チームが始まって初の大きな大会である今回の新人戦は夏のシード決めの大会の結果からすると団体でベスト4以上、個人で3ペアが県大会出場というのが現実的な目標だったので、率直にかなり悔しい結果でしたし、私以上に選手は悔しい思いをしたのではないかと思います。

 ただ、昨年は個人も団体も新人戦で県大会に出場することはできず、早々に敗退したにも関わらず、今年の夏の総合体育大会では団体で県大会に進ことができたので、新人戦の悔しさをバネにこれから練習に励めば、最後の大会で嬉しい結果を手に入れることもできると思うので、今回の結果をむしろ良い機会に考えたいと思います。

 今回は新人戦の地区大会が不本意な結果に終わったものの、ポジティブに考えることができるポイントや部活動の在り方について考えることがあったので、簡単にまとめてみました。


中学生は伸び盛り 悔しい思いをすることで課題と向き合える

 今回の大会では他校の有力選手の大勢が県大会を逃し、逆に夏のシード決めの大会から躍進した選手が目立ちました。中学生のこの時期は伸び盛りであると同時に、まだプレーが安定していないことから、波乱はつきものです。

 今回、惜しくも県大会を逃した選手はこれから自分自身の課題と向き合い、プレーの向上に努めることでしょう。そう考えると、この時期に敗退したことは決してマイナスではなく、先のことを考えるとむしろプラスになることも多くあると思います。

 地区大会、県大会、さらにその上の中国大会など、大会が続いていると試合に向けた調整がメインになるため、練習試合や校内試合が多くなるなど、基礎練習の割合が低くなってしまいます。そのような中で、課題があると分かりつつも、誤魔化しながらプレーするという状態が続いてしまうことも多いです。レベルアップを図るのであれば、課題を解決するためにフォームやプレースタイルにメスを入れる必要がありますし、伸び盛りの中学生であれば、根本的な課題解決は早い方が良いでしょう。

 なので、地区予選で敗退したことで試合のことは一旦忘れ、基礎に立ち返ることができる機会が得られるというのはレベルアップをする上での好機ですし、選手も県大会に出場できていないハングリー精神があるため、県大会に出場して達成感に包まれてしまう選手よりも練習に励むことができるかもしれません。

 今回の大会で個人戦(2日目)が終了し、チームでミーティングをした際に、時間がまだ正午だったので、「練習がしたければ14:00から2時間程度学校で練習に付き合う」という話を選手にしました。私は学校で仕事をしながら選手が来る場合に備えていたところ、惜しくも県大会出場を逃した選手が2名来たので、個々の課題意識を聞いた上でフィードバックをしながら練習をしました。

 試合が終わった直後は選手も課題意識が高まっているため、指導が入りやすくなっている可能性が高いです。そのゴールデンタイムを逃して時間が経ってから指導をしてもその効果が限定的になりかねないため、試合が終わってからすぐに気持ちを切り替えて練習に取り組むことができたのは大変意味のあることだったと思います。

 ただ、注意したいのは試合に負けたことの罰として素振りや単純な基礎練習を強制的に課すことです。もし、選手が主体的に判断して素振りや基礎練習をしたがっているのであれば、それは自由にさせれば良いでしょうが、選手が求めてもいない練習を一律に課すというのは、練習に対するネガティブなイメージを植えつけかねません。「試合に負けたらあの嫌な練習が待っている」と選手が思うようになってしまうと逆効果であり、あくまで生徒の主体性に委ねることが大事です。課題と向き合うことと、練習の楽しさのバランスをコーディネートするのが顧問の役割であると考えています。


敗退は指導の改善の機会になる

 顧問としても、期待したような結果が得られずに敗退した場合、これまでの指導の課題と向き合うことになります。試合を見ていると選手の不足している能力がよく分かります。選手によって能力差があるのは当たり前のことですが、それでも練習次第ではある程度の力をつけた状態で試合に臨むことも可能であったと感じることはあります。そういうわけで、よく試合中に一人でめちゃ悔やんでいます(苦笑)。選手が敗退したとしても責任は当然私にあるわけです。そういう指導面での課題意識に関するメタ認知が強力に促進される機会が悔しい敗退には潜在しています。

 今回の大会前にシード決めの夏季大会や練習試合でチーム全体としてまずまず良い結果が出ていたため、積極的な指導はなるべく控えるようにしてきました。しかし、結果が出なかった場合、大きく取り組み方を変えることはしませんが、マイナーチェンジは必要です。結果が出ないのは指導者の責任であるため、どうすれば今の選手により適切な練習になるかを考えて練習内容を調整することが大切です。

 指導に関する研究を日々行い、大会での選手の試合の様子を練習にフィードバックすることで、継続的に練習をより効果的なものにしていくことができます。中学校の部活動では部員が年単位で入れ替わっていくため、練習方法も部員の実態に合わせて常に最適化していく必要があります。それに加えてソフトテニスの競技性も年々変化しており、私が中学校や高校でやっていた20年前ぐらいと比較すると、打ち方や動き方、プレーの組み立てなど、あらゆる面でかなり違ったスポーツに変化しています。顧問の手応えと結果に差があった時は、指導方法を見直し、最新の情報や理論にアクセスして学び、練習に反映させていく機会にしたいところです。



 私は部活動専用のGoogleクラスルームを活用して、雨の日のミーティングで指導に関する動画を部員に見てもらうようにしています。昔はソフトテニスの動画を見て練習することができなかったことを考えると、今は本当に恵まれた時代だと思います。最新の理論やハイレベルな試合動画に簡単にアクセスできるメリットは計り知れません。GoogleクラスルームにアップしたYouTube動画は広告なしの状態で快適に見ることができますし、通常のYouTube画面のように他の動画のサムネイルが視界に入ることもないため、動画に集中して見ることができます。良い動画をGoogleクラスルームにまとめておけば、部員はタブレットで好きなタイミングで動画を見て学習できるため非常に有効です。


部活動の地域移行が難しいなら新人戦や総合体育大会の時期は探究学習ウィークに

 現状、部活動の在り方や顧問の大会の引率に関して多くの問題があり、この解決策を考えていく必要があります。ここからは私の個人的な妄想というか願望を少し述べます。

 新人戦や総合体育大会は土日もしくは平日の金や月に行われます。これによって教員の負担が増えているのは間違いないことです。月曜日に大会があると学校に残る教員は休み時間なく授業が入ることも普通にありますし、生徒も大勢が抜けた状態であるため授業を進めることも難しく、ほぼ自習になることさえあります。つまり、現状の大会の日程は引率教員にとっても学校に残る教員にとっても、そして生徒にとっても理想とはかけ離れています。

 部活動の地域移行が実現すれば教員の負担の面は改善しますが、それがすぐに実現しそうにないのも事実。地域移行がスムーズにいく地域もあるでしょうが、多くの自治体では指導者の確保という部分で多くの課題を抱えています。

 また、大会の時期についても屋外競技の場合は天候によって日程が狂うことも考えられるため、土日のピンポイントで行うことはリスクが高いですし、予備日を平日にすると生徒の学習への影響も出てしまいます。

 このような状況を考えると、私は、新人戦や総合体育大会は長期のまとまった休みの時期に行うか、1週間丸ごと大会ウィークにして、試合がなかったりに、部活動に所属していなくて大会に関係のない生徒は学校の設備を活用して探究学習に取り組む機会にしてはどうかと考えています。また、部活動自体が探究的な学びの機会であり、決してただスポーツや芸術行為をしているわけではなく、試合や練習を通して深く学ぶ機会を得ています。大会がある1週間、試合や練習を通して学べることや、そういったこととは全く別の自分の興味のある内容について調べたり、作品や料理を作ったりといった個別最適な探究学習をレポート化すれば内容的には十分に立派なものができると思います。中途半端に自習したり、なんとなく試合に参加したりするよりも余程意義のあるものになるのではないでしょうか。そして、教員は授業をする必要がなくなるため、少ない人数で気楽に生徒の活動を見守ることも可能になります。

 このような取り組みを実現するためには調整しなければいけないことがたくさんありますが、これまでの「教師がクラスで授業をする」という考え方さえ変われば可能なのではないかと思います。学びを生徒に委ね、主体的な学習をサポートするというマインドセットが定着すれば、そんな探究的な学びに溢れた大会ウィークも実現するのではないかと密かに期待しています。


 最後まで読んでくださいってありがとうございました。今回は新人戦が終わった機会に部活動顧問として思うことを気の向くままに書いてみました。最後は私の妄想も入りましたが、何か参考になる内容があれば嬉しいです。

 これから1ヶ月間程度は1年間で最も部活動が気持ちよく取り組める時期なので、私も部員たちと一緒に部活動をエンジョイしつつも、指導者として探究的な学びを常に実践していきたいと思います。

 それではまた!

 


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