改めて感じるレコードの魅力

 「原点回帰」を抱負としている今年、図らずも早速原点回帰する機会がありました。それはレコードの魅力についてです。以前にCDシステムの魅力についてお話ししたことがありましたが、今度はさらに哀愁漂うレコードです。義理の両親が荷物の整理をしていて、レコードがたくさんあったので「メルカリで売れるのであれば売ってくれ」と言われて引き取りました。

 そんな経緯で手に入れたレコードですが、改めてレコードに触れてみてその魅力について考える機会があったので記事にしてみました。


アナログゆえに生まれるレコードを大事にする姿勢

 メルカリで売っても大した値段になるわけでもないですが、引き取ったからには一応出品できる状態にするためにレコードの汚れを取ったり、再生して検品したりする必要があると思い、レコードプレーヤーを義理の両親の親戚から借りて正月早々にレコードと向き合う日々が始まりました。

 今回レコードを再生するにあたってプレーヤーを用意するだけでなく、プレーヤーをつなぐ本体が親戚の家にはなかった(古物商に買い取られてしまった模様)ため、私がバンドをしていたときに使っていたMTR(マルチ・トラック・レコーダー)の封印を解き、プレーヤーとスピーカーをMTRを介して繋ぎました。まさかこのような形でまたMTRを使う時が来るとは思いませんでしたが、とりあえずこれでレコードを聴ける状態にはなりました。


 個人的に、レコードは私が幼いときに両親がビートルズやポール・モーリア、リチャード・クレイダーマンなどの曲をよく聴いていたので、思い入れがありましたが、だからと言ってレコードやプレーヤーをわざわざ買おうとは考えたこともありませんでした 。正直なところ、レコードをチェックするのは面倒だと思いつつも、正月休みで時間には余裕があるのでレコードを鳴らして検品を始めました。

 最初に再生したレコードは汚れを取らずにそのまま再生しました。すると凄まじいノイズ入りサウンドで、とても聴いていられるような音ではありませんでした。文字通り弾けるサウンド状態。そういうわけでレコードを綺麗に拭き(専用クリーナーはもちろんないので、台所用のウエットシートを活用)、改めて再生するとかなりマシな音になり、聴くに耐えられるレベルになりました。

 次々にレコードを手に取って掃除していると、私の父が昔大事そうにビートルズのレコードを専用クリーナーで拭いている姿が思い出されました。当時の私(幼稚園入園前)はレコードが汚れたり傷ついたりする可能性があるため父に触らせてもらえず、その理由は理解できるものの、十分に納得はしていませんでした。しかし、少しでも良い音が出るようにレコードを自分で掃除してみると、その理由が本当の意味で分かったような気がしました。お気に入りのレコードを大切に扱うという行為そのものが父にとって特別なことであったのだと今更ながらに思いました。レコードというアナログの品ゆえに生まれる関係性。これはお気に入りの愛車や工芸品を扱うことと同じようなものであり、品質の管理が楽なCDやデジタル音楽にはないレコードの魅力ではないかと思います。


音質は決して良くないが柔らかくレトロな雰囲気を味わえる

 レコードの音質はCDに比べるとやはり劣ります。録音や編集の技術も今から40年以上前では現代のものとは比べ物にならないので、私の手元にあるレコードとCDでは音質を単純に比較することはできませんが、少なくともレコードはCDに音質で勝てるとは言い難いです。しかし、レコードはCDにはない柔らかい音が出せて、ノイズ混じりのレトロな雰囲気を出すことができます。本来ノイズは悪いものとして捉えられがちですが、考え方によっては雰囲気を演出するスパイスになります

 ライブとCDの音の違いもそうですが、音楽としての完成度だけで考えると、CDの方が良質と言えますが、ライブにはCDには絶対に出すことができない雰囲気や演出があるように、単純にどっちが良いとは言えないものです。それはレコードにも言えることです。レコードが回っているのを見るだけでも他の音楽の鑑賞方法では味わえない体験があります。

 ただ、そうは言っても今の時代にレコードで音楽を聴いている人なんていないのではないかと思う人もいるかもしれませんが、実は近年になってアメリカではCDよりもレコードの方が売り上げが上回っていますし、日本はアメリカほどではありませんが、年々売り上げが落ちているCDとは逆にレコードの売上枚数は伸びています。レコードのアナログ感ある柔らかなサウンドや大きなジャケットが格好良いということで、デジタル社会の中でじわじわと復調してきているといったところでしょうか。デジタルによって便利になる一方で、アナログならではの「ものとしての価値」が密かに見直されてきているのかもしれません。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。この度、偶然ですがレコードを手に入れる幸運に恵まれ、私が子どもの時には気がつくことができなかったレコードで音楽を聴く魅力について考えを深めることができました。きっとこれからもレコードはその独自性で存在感を放ち続けるでしょうし、私もレコードへの親しみを持ち続けていきたいと思います。検品をしながらレコードジャケットを部屋に飾っていると、改めてレコードで聴く音楽の楽しさ、そして幸せな時間について考えることができました。

 もし、レコードがお家に眠っていたり、今回の話を読んでレコードに興味を持たれた方がいれば嬉しいです。これからも身の回りの魅力的なものを再発見していきたいと思います。

 それではまた!




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