美術科の作品展をQRコード活用で学習資料共有の場に

 今回は美術科などでよく行われる作品展でQRコードを活用した学習資料の共有について紹介します。美術に限らず学習に活用する資料をオリジナルで作成している先生は多いと思いますが、QRコードを活用すると資料の共有がとても簡単にできるだけでなく、紙では不可能だったデジタルならではの機能も使えるので、学習に関する作品展や研究会を行う場合には是非活用してほしいと思います。

作品展を授業資料共有の場に

 この度、私が勤務する倉敷市の小中学校の図工美術の作品展「倉敷っ子美術展」が2月2日(金)〜2月18日(日)まで開催されます。もし倉敷に用事や観光で来られる機会があれば、是非倉敷市立美術館へ足を運んで作品鑑賞していただけると嬉しいです。


 勿論、会場には私の担当した生徒の作品(中1と中3)もたくさん展示されており、作品付近には教材に関する資料が見られるQRコード付きの説明文を貼り付けています。





 展示作業が終了して他の先生が早速QRコードをスマホで読み取って学習資料を見られていました。Googleで作成した資料は共有設定を変えることができ、通常は個人や組織のユーザーのみの閲覧や編集が可能ですが、「リンクを知っている全員」にも共有可能で、これは文字通りリンク先に誰でもアクセスできる状態なので、リンク先のQRコードさえ用意すれば簡単に資料共有できます。

 学習資料を共有することで、制作の過程が分かり、作品の見え方が変わってきます。美術教育では作品の良し悪しよりも、いかに充実した学習過程を経験できたかが重要視されるようになってきています。私はこれは非常に望ましいことであり、学習過程でたくさんの失敗をすることで確かな学びもあるため、「作品の完成度=学習の充実度」とは一概には言えないと考えています。むしろ、失敗だらけでも興味深い現象をたくさん作り出すことができたのであれば、それは十分に魅力的な作品であると言えます。なので、教材が作品という表面的な部分だけで共有されることを学習資料の共有によってある程度防ぐことができるというのは意義深いことであると考えています。

QRコードの作成方法

 最近Google Chromeがアップデートされて、実は以前よりもQRコードの作成方法が分かりにくくなりました。Chromebookの場合は以前同様にアドレスバーの横にQRコードを生成するアイコンがあるのですが、WindowsやMacではメニューを開いて「保存して共有」から「QRコードを作成」を選択しなければいけません。以前に比べると、とても不便になってしまったのですが、これは裏を返せば世の中はデジタル一本化が進んでいて、紙の利用とつながりがあるQRコードがあまり使われなくなってきた故のことなのかもしれません。


 とは言え、慣れてしまえばそれほど大変なことではありませんので、是非使いこなせるようになりたいところです。QRコードを作成してダウンロードして使うというのが普通かもしれませんが、私はPCのファイルがQRコードだらけになるのは嫌なので、スクリーンショット(Windowsの場合はWindowsキー+Shift+S, Macの場合はcommand+Shift+5)してすぐに資料に貼り付けるようにしています。

Googleサイトとの連携

 学習資料はマイドライブか組織の共有ドライブに入れておくことが多いと思います。資料の共有という点ではこれでも十分ですが、資料をより分かりやすく体系化してまとめ、アクセスしやすい状態にするにはGoogleサイトが有効です。


 Google Workspaceが利用できる状態であればGoogleサイトも利用でき、手軽にWEBサイトが作成できます。学習資料をWEBにつなげることのメリットとして、ページごとに内容を分けられるため体系的に資料を把握できることと、画像など視覚的に優れた提示が可能ということです。Googleで作成した資料はすべてアドレスがついているため、画像にリンクを挿入すれば、割と簡単に立派な機能を持ったWEBサイトができます。




 このように、QRコードやGoogleサイトを活用すれば学習資料が簡単に共有されるため、教師にとっては教材を参考にしやすく、研究を促進させることにもなりますし、展覧会であれば一般の方々にどのような学習が行われているのかを知ってもらえる機会にもなります。
 一般の方々に展覧会に足を運んでいただけるのは大変ありがたいことではありますが、作品を表面的に見て技術的に優れた作品やインパクトのある作品を鑑賞するだけでは勿体無いと私は考えています。折角足を運んでいただけたのであれば、どのような過程で魅力溢れる作品が生まれたのかを知っていただき、できればそれを自分自身の美的活動に反映させられるようなきっかけになれば、美術教材としての価値を大いに発揮したことになります。
 教材の説明は100文字程度の短い文章で十分にできるものではありません。鑑賞する際に、教材の狙いや学習内容に触れることができれば作品の奥にある世界を探ろうとする意識も働きます。美術教育を発展させていくためにも、教師間での教材交流だけでなく、一般の方々にも美術について知っていただく機会を充実させることは大切であり、QRコードを活用した学習資料の共有で少しずつですが美術教育を前進させていきたいと思います。

 最後まで読んでくださってありがとうございました。QRコードやGoogleサイトの活用以外にも、美術教育を発展させていく上で大切なことはたくさんあります。今回は一つの方法としてこれらを紹介させていただきました。何か参考になることがあれば嬉しいです。
 余談にはなりますが、来年度、岡山県の中学校教育研究会美術部会は県の研究大会が7月31日に行われます。運営は岡山支部が中心ですが、私が所属する倉敷支部も大きな組織なので、岡山と倉敷が協力して研究大会に向けた準備を行なっています。この大会では徹底したペーパーレス化を行う方針で、よく研究大会では多大な資金を費やして分厚い冊子を作成されますが、そういったものを一切排除し、大会資料はWEBサイトでダウンロードしていただく方針をとっています。倉敷支部の発表では紙の資料を1枚だけ使う予定ですが、この1枚に発表者の資料と質疑応答に使うツール、感想フォームなどのQRコードを載せ、メモ用のスペースに加えて色々な機能をつける予定です。
 研究会はよく行われていますが、予算の多くが紙の資料に使われていることもあります。徹底したペーパーレス化で不便になっては本末転倒ですが、デジタルによる恩恵がたくさん得られるような形を考え、浮いた予算で充実したコンテンツを用意するというのが重要であると考えています。
 2024年も始まって早1ヶ月が過ぎましたね。今年はこれまでよりも大幅に残業時間を減らして余裕のある生活ができていますが、研究大会に向けた準備などやること自体はたくさんあるので、デジタルを上手く活用して、無理なく悠々と過ごしていきたいと思います。
 それではまた!

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