卒業シーズンに使えるステンシルのデザイン

 卒業式の時期ですね。私が勤務する中学校でも来週卒業式を迎えます。卒業生には素晴らしい思い出と共に学校を後にしてほしいと皆思っていることだと思います。

 今回は私が部活動の顧問として一貫して取り組んできた卒業記念品作成について紹介します。手軽にできる方法なので、手作りで送別の品を作成したいという方にとって参考になるものとなれば嬉しいです。


ステンシルで表紙にデザインを施す

 私はソフトテニス部の顧問として、卒業式前日に3年生の部員にメッセージカードを渡してきました。メッセージカード(色画用紙でテニスラケットの形に切り抜いています)には在校生と顧問からのメッセージと卒業生の写真、引退試合で撮影した部員の集合写真を貼り付けて、ちょっとしたアルバムのような状態にしたものを作成します。少々手間はかかりますが、卒業生がもらって嬉しくなるものには仕上げるようにしています。

 このメッセージカードは普通の画用紙を使っているため、内側は写真やメッセージで華やかになりますが、外側はデフォルトでは当然無地の状態なので何かデザインを施す必要があります。昔は名前を切り絵にして中のページが透けるものを作成したこともありますが、これは労力を半端なく使うため、卒業生が多い場合は大変な時間を要すことになってしまいサスティナブルとは言えません。部員が多い場合は1学年で20名近い場合もあるため、そういう場合でも時間をかけず、かつ質の高いものができる方法を考える必要がありました。


 そのような中で生まれたのがステンシルを活用した表紙デザインです。多くの部活動でチームの合言葉や象徴となる言葉を持っており、それを部活動Tシャツのデザインに利用していると思いますが、それをステンシルで1つ作成しておけば、それを利用していくらでも複製することができます

 ステンシルの良いところは、スパッタリングで着彩すれば誰でも綺麗にデザインを施すことができるところにあります。スパッタリングであれば色が濁りにくいため、好きな色を選択してあとはブラシと網で色をスプレーのように飛ばすだけ。作業しているだけでも結構楽しめます。毎日やるとなるとストレスかもしれませんが、たまにするぐらいなら楽しく色遊びの感覚でできます。

 手軽にできるステンシルによるデザインですが、見栄え的には十分です。私の場合は画用紙を利用していますが、一般的な色紙の場合でもステンシルでデザインを施すのは有効だと思います。ちなににステンシルは多色多版で図柄を表すことも有効で、素敵なデザインを複製することができます。


 余談にはなりますが、ステンシルとスパッタリングによる着彩は生徒に大変人気があり、普段の授業でもよく活用する姿が見られます。スパッタリングによる着彩が終わり、ステンシルを外すときに「わー!」という感嘆の声が教室によく響いています。ソフトテニス部員の場合、メッセージカードの作成は雨でコートが使えない日にやるのですが、少なくとも雨の日の筋トレやフットワーク練習よりはステンシルとスパッタリングの方が楽しいのではないかと思います。どちらの方が楽しいかをわざわざ聞いたことはありませんが…


メッセージカード作成も一つの指導の機会

 理想を言えば、こういった卒業生に向けた贈り物の取り組みが生徒主体で行われるのがベストですが、そういう経験が中学校1・2年の生徒にとっては乏しいため、自分たちが主体となって行うことは難しいことです。なので、これも学習機会として経験し、その後の人生で自ら作成する側になるきっかけとなればと考えて指導の機会にしています。

 特にメッセージの書き方については具体的な指導が必要で、「感謝の気持ちを込めて書く」というような指導が多いような気がしますが、これではあまりにも指導内容が抽象的すぎて、生徒からしたら「ありがとうございます」「高校でも頑張ってください」の超ありきたりな内容になってしまいます。これではせっかく用意したメッセージカードも同じ言葉のオンパレードとなっては少し勿体無いことになります。

 なので、私はメッセージに「先輩と自分の中だけで共有できるエピソード」をなるべく入れて、受け取った側が思い出に浸れるような、時間が経ってから再び見たくなるようなものにすることを勧めています。こういう内容を自然と書けるようになる人ももちろんたくさんいますが、そうではない人も同様にたくさんいるため、指導の要点にするようにしています。

 メッセージは受け取る側の気持ちに焦点が当てられがちですが、私としては送る側にとっても重要な価値があると考えています。私自身、卒業生にメッセージを送ったり、通知表の所見でクラスの生徒に文章を書いたり、毎年たくさんのメッセージを考える機会がありますが、文章を考えている時に思い出に浸り、涙腺が緩くなってしまうこともあります。そうして感謝や応援の気持ちで満たされるのは自分自身のウェルビーイングにとっても大切なことだと思います。生徒には、お世話になった人にメッセージを送ること自体が自分自身にとっても幸せな時間になる可能性を含んだものであることに気がついていもらえるよう、教育的な仕掛けをすることが重要であると思います。

 部活動の地域移行など、部活動と学校はこれまでのような密な関係から少しずつ切り離されていきますが、教師が関わる価値は変わることがないと思います。専門的な知識や技術の指導に関しては外部の人材の方が優秀なケースがあって当然ですが、全人的な成長という点で教師が果たす役割は小さくはないと思います。美術教育における仕事に関しては自分に求められるものが年々質的にも量的にもレベルの高いものになっており、その点において妥協なく取り組んでいくつもりですが、部活動が学校教員と繋がっている間は私も顧問としてできる限りのことをしていきたいと思いますし、その充実感を大切にしていきたいと思います。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は卒業シーズンに使えるステンシルのデザインについて紹介させていただきました。私自身は教師になってからステンシルをするようになり、その魅力にどっぷりとハマることができたわけですが、この手軽に楽しめる版画は是非多くの方に知っていただき、楽しみつつ、素敵な作品制作に生かして欲しいと考えています。今回の内容に興味を持っていただけた方には、是非ステンシルを試しにやってみてください。きっとハマります!

 それではまた!

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