スプレッドシートの年間指導計画に様々な要素をリンクさせ、「共有場」として機能させる
新年度開始早々にやらなければいけない業務として年間指導計画作成があります。多くの場合、ワードやエクセルで作成し、紙ベースで保管するのではないかと思いますが、この資料が有効に活用されているのをあまり見たことがないと感じる先生も多いのではないかと思います。正直なところ、年間指導計画を立てなくても教科書に沿って行えば授業は特に問題なく行うことができますし、私が担当する美術科においても絵画やデザイン、立体造形、工芸、鑑賞といった内容のポイントを押さえてさえいれば教科書を使わなくても学習指導要領の内容をカバーすることは十分に可能です。
では年間指導計画の存在意義とは一体何なのかとなります。計画を考えることによって教師自身が指導のポイントについて考え、授業のイメージを膨らませることができるという「一般的な」指導計画の存在意義は決して無視できるものではありませんが、私はそれ以上に「授業資料の共有場」として機能させることに価値があると考えています。そのために、私はGoogleスプレッドシートを活用して年間指導計画を作成するようにしています。
今回はスプレッドシートで資料を共有したり、アップデートしながら日頃から活用する方法を紹介します。とても便利なだけでなく、これまでの紙ベースの年間指導計画ではできなかったような使い方もできるのでおすすめです。
エクセルから簡単にスプレッドシートに変換可能
スプレッドシートで便利になること
スプレッドシートで一から年間指導計画を作成するのは大変な労力ですが、既にこれまで使ってきたエクセルの年間指導計画があるのであれば、Googleドライブにアップロードしてスプレッドシートにほぼそのまま変換できるので、手間はほとんどかかりません。
ただエクセルのファイルをスプレッドシートに変換して印刷するだけならメリットはありませんが、スプレッドシートに変換することで以下のようなことが可能になります。
・インターネット上で直ぐに編集することができる(インターネットにつながるどの端末からでも編集可能)
・共有の設定で他者と共同編集したり、ファイルを共有したりすることが容易
・リンクの機能でGoogleドライブに保存しているファイルと繋げられる
・スプレッドシートのQRコードを作成して資料共有
・Google Chromeを常時使っている場合、Googleカレンダーと連携させるのも手軽
これらのことはエクセルでもできますが、スプレッドシートは手軽さが違います。インターネットさえ繋がればどの端末からでもアクセスできて、共有もすぐにできます。細かい機能の面ではエクセルに劣るところもありますが、年間指導計画に利用する程度ならスプレッドシートが丁度良いという感じです。
とても便利なリンクの機能
GIGAスクール構想が始まって、Googleドライブで授業資料を作成したり、ワードで作成したものをPDF化してドライブに保存して授業で活用することが多くなった先生も多いと思います。Googleドライブに保存しているファイルは全てURLがつくので、これをスプレッドシートにリンクで埋め込めばアクセスできるようになります。リンクの挿入はスプレッドシートにアイコンがあるので、それをクリックするのも良いですが、(control + K)のショートカットを覚えておくととても便利です。リンクが埋め込まれているテキストは自動的に青文字になります(色は編集可能)。
リンクを活用して授業資料やルーブリックのファイルを年間指導計画に添付していくと、この場所が体系的な授業アイテム一覧のようになっていきます。これによって自分の教材を俯瞰して捉えることができ、改善のためのメタ認知が促される可能性も出てきます。それ以上に大きいと思うのが、年間指導計画を他の先生と共有した際に、教材も一緒に共有できることです。研修や研究会などでカリキュラムに関する情報交換をすることもありますが、紙の年間指導計画を共有しても教材を共有するには大変な手間がかかります。ルーブリックを紙の資料でもらっても自分で扱うのは非常に面倒なので、相当なモチベーションがないと自分用に打ち込んで利用するには至らないでしょう。
しかし、スプレッドシートであればデジタル共有した瞬間に教材も一緒にリンクでついてきます。ファイルを共有設定で閲覧可にしておくだけで、ファイルを見られることは当然ですが、ダウンロードもできます。さらにQRコードを年間指導計画に付けておけば紙に印刷しても、QRコードを読み取ればデジタル共有することが可能です。QRコードをすぐにGoogle Chromeで作成できるのもスプレッドシートを扱うメリットと言えます。
授業記録のアーカイブとして
リンクの便利さを知ってしまうと、何でもリンクさせたくなってしまいます。学習の成果が分かるファイルをリンクさせておくと自分自身の振り返りだけでなく、他の先生と情報交換する際に役立ちます。
授業資料に加えて学習の記録もこのように残せるので、年間指導計画自体が研究資料のような働きを持つようになります。
年間を通してアップデートできる年間指導計画
お気に入りバーの活用でスプレッドシートにすぐにアクセスできる環境を作ることができるので、指導の改善点が見つかったり、新たな教材を作った際、これらをすぐに反映させて年間指導計画をアップデートすることができます。「鉄は熱いうちに打て」ということで、閃いたことや追加できるものはメモするような感覚で年間指導計画を利用できます。
スプレッドシートは変更履歴にアクセスして過去の状態に戻したり、別のファイルを作成したりすることが簡単にできるのもありがたいことです。
Googleカレンダーと併せて使うのも便利
Googleカレンダーで生徒と予定を共有(Googleクラスルームでクラスを作成すると自動的にカレンダーでもクラスのグループが作られます)することが可能になり、これだけでも非常に便利ですが、年間指導計画のスプレッドシートを活用すると授業資料や準備物をカレンダーにコピー&ペーストして連絡を充実させたり、情報共有することも可能になります。いちいち細かいことを打ち込むのは面倒ですが、コピペだけなら一瞬でできます。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はスプレッドシートを活用して年間指導計画を「授業資料の共有場」として利用する方法について紹介しました。この方法をやり始めて今年で3年目になりますが、年々年間指導計画に内容が加わっていっています。デジタルゆえにいくら内容を追加してもスペースの問題は生まれないので、リンクできるものは片っ端からリンクするスタイルでやっています。
便利なだけでなく、自分の教材の状況を体系的に把握する上でも良いツールだと思いますので、もし今回の内容に興味があれば、試しにスプレッドシートで年間指導計画を作成し、インターネット環境さえあればいつでもどこでも利用できるようにしてみてください。
それではまた!
コメント
コメントを投稿