色光の三原色体験装置

 今回は色への興味・関心を促す美術室の仕掛けを紹介します。昨年度からナッジという行動を良い方向に促す仕掛けについて研究と実践をしており、美術室の環境改善をこれまで以上に図っています。その一環で、今回は色光の三原色を体験できる装置をつくり、生徒が自由に色光の実験ができるようにしました。簡単な装置なので、もし今回の内容をご覧になって、興味をもっていただけるようでしたら、是非作ってみてください。美術室の仕掛けだけでなく、子どものいる家庭であれば「色で遊べるおもちゃ」「色に関する自由研究」としても使えます。色の面白さに触れて、自然と色について学ぶ。そんな状況をこの装置によって生み出せたらと思います。


用意するもの

 この装置を用意するにあたって用意するものは以下の通りです。

1.ライト(100均で十分)3本

2.油性マーカー(赤・黄・青)かカラーフィルム(赤・黄・青)

3.白い紙(画用紙や白い紙をラミネートしたもの、ホワイトボードでもOK)

 以上のものを用意すれば簡単に装置を作ることができます。


 作り方も簡単で、3本のライトにそれぞれ赤・黄・青の色を施して、光の色を変えるだけです。後はこれを白い紙の上にそれぞれ照らして光を重ねると、色の変化を見ることができ、三原色が重なると白くなるということも分かります。



 とてもシンプルな装置ですが、生徒の反応は上々で、教科書や美術資料で三原色が重なると白くなるということを知識として入れた上でも、実際に目の前で光が白くなるのを見ると「おぉ!」という反応が見られます。こういう生徒の姿を見ていると、実際に自分の目で現象を確認することが極めて大切で、光が白くなるのを確認するだけでなく、ライトを動かして色の重なり方や色の変化を確認したりするなど、色んな要素が付随的に学習されていきます。反射によって微かに机の上に三原色の重なりが映し出されることなども、理解との教科横断的な学びを促すポイントになります。
 ちなみに、この装置のライトを保管するものはロール紙の芯を切ったものを使わなくなったレコードに接着して、ライトを立てて保管できるようにしています。ちょっとした遊び心で実用性もあるアート作品がリサイクル品でできるということを見せることも大切にしています。

色光の学習を色彩の学習への起点に

 色光の三原色の装置で遊びながら光と色彩について学び、光を調整して美をつくり出す視点を培うことができれば、色彩に対する興味・関心を促すことができます。なので、この装置のところには古い美術資料の色に関するページをラミネートしてカード状にしたものを設置して、色光の三原色で遊んだついでに知識にも触れられる仕掛けを作っています。


 こうしてすぐに資料を見ることができるようにしておけば、自然と色の知識について目に触れる機会も増えます。こういう実際に触りながら資料にも触れて学べる仕掛けは博物館や水族館などでもよく見られるように、人の興味・関心を生かして充実した学びを促します

 まだこの色の実験コーナーは新設したものなので、現在のところは三原色ライトと美術資料のみですが、これからさらに充実させていきたいと考えています。これまでにも、回転彫塑台にレコードを取り付けて、色光の三原色を配色した装置も作って美術室に用意していたので、こういったものもセットにしておくと、色やそれを認知する人間の視覚の面白さについても考える機会にできると考えています。


 色彩に関してはネタがいくらでもあるので、美術室で色について充実した体験と学びができる博物館のようなスペースに今後発展させていきたいと思います。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。色に関する知識や技能は美術をする上でとても大切ですが、色で遊ぶ体験が不足している人が生徒に限らず大人も意外と多いと思います。私としては色で遊ぶ感覚が身につけば、絵具の色使いだけでなく、光の効果を生かした様々な演出も可能になると考えています。今回の内容が、色の学習を促す一つの方法として、参考になるものになれば嬉しいです。

 これからも、色の学習について研究と実践を重ねていきますので、また紹介できるものがあればブログを書こうと思います。

 それではまた!


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