第1回 倉北アート&クラフトプロジェクト ワークショップ
今回は、先日開催した倉北アート&クラフトプロジェクトの第1回ワークショップについて記事をまとめました。初の取り組みということで試行段階ではありますが、参加者の様子や頂いた言葉などから、今後改善していく上での構想を考える良い機会になりました。
本記事では、ワークショップの様子について少しでも伝わるように詳しく説明します。今後、何度もワークショップを開催していきたいと考えていますので、この活動にご興味がありましたら見ていただけると嬉しいです。
福武教育文化振興財団の助成で材料が充実
倉北アート&クラフトプロジェクトは福武教育文化振興財団からの助成を受けており、第1回のワークショップに向けて、造形を楽しめる様々な材料を用意してきました。
創造への扉を開く「先入観を排除するエクササイズ」
プロジェクトの主な目的はアート&クラフトを美術室で自由に楽しんでいただくことにありますが、参加者の中には美術や絵画が得意ではない人もいることが考えられるため、最初にこういう方々向けに、先入観を排除するエクササイズを用意しました。
このエクササイズは中学1年生の一番最初の授業でも行っている「逆さグリッドデッサン」というものです。モチーフを逆さにしてグリッド線を意識して描けば、先入観に縛られずに、グリッドによって客観的に位置関係を掴みながら描くことができるため、雑に5分程度で描いてもかなり忠実に再現できることを実感してもらいます。このエクササイズを通して、「自分には絵心がない」という思い込みが実は大きな勘違いであり、少し考え方を変えるだけで写実的に描けることを実感していただけたようです。ただ、知識や技術も大切ですが、最も重要なのは「自分がやりたいことをやる気持ち」と「自分ならではの表現」です。このことをお伝えし、参加者の皆さんの自由な創造活動がスタートしました。
このエクササイズは大変好評で、参加者の皆様は一様にご自身が描かれたものを見て驚いておられました。「感激しました!」と言っていただける方もいて、上々のスタートを切ることができたと感じています。
こういった最初の概念崩しのようなエクササイズが上手くいくと、その良い流れで後の活動も充実しやすくなります。あと、講師としての私への信用にもポジティブな影響があります(笑)
授業でもそうですが、導入でその授業が上手くいくかどうかは結構決まると考えています。優れた導入は学習のねらいの核心をつきつつ、短時間である程度の成果を出すことができます。これが活動のスモールステップになると言えます。
手軽にできる初体験
クレヨンやクレパス、色鉛筆、マット水彩、ポスターカラー、アクリルガッシュといった画材は学校の造形学習で使う定番ですが、これ以外の画材を使ったことがある人は意外と少なく、油彩や顔彩、パステル、透明水彩、不透明水彩(ガッシュ)、アクリルといった画材は使ったことがないだけでなく、油彩以外はそういう画材があるということさえ認識されておらず、「これは何ですか?」という質問が数多く寄せられました。
油彩画は、始めるには様々な道具を揃える必要があり、水彩などに比べてハードルが高いと感じられがちです。しかし、今回のワークショップでは、全ての材料が用意されているため、気軽に油彩に挑戦できる環境を提供できました。初めて油彩に取り組んだ参加者の中には、水彩との違いに戸惑いつつも、初の油彩画を存分に楽しんでいらっしゃる姿が見られました。
他にも顔彩は大変手軽にできて発色も美しいので人気が高く、参加者からの評判も上々でした。日本の伝統的な画材の良さを知って頂けたことが嬉しかったです。
また、レジンクラフトも非常に人気がありました。主に女性の参加者がアクセサリーやキーホルダー作りを楽しんでいましたが、男性の参加者も美しい作品作りに夢中になっていました。レジンクラフトが初めての方も多かったため、私が最初に実演を行ったところ、参加者の皆さんは興味津々。手軽に綺麗な作品ができることに感銘を受け、次々とレジンクラフトに挑戦していました。
アート&クラフトで地域の人々をつなぐ場に
今回の第1回ワークショップはPTA研修会との合同開催でしたが、今後は地域の方々にも広くご参加いただき、勤務校の生徒だけでなく、他校の生徒にもこの機会を提供していきたいと考えています。アートとクラフトの創造活動を通して、楽しく充実した時間を過ごせる場を継続的に提供していくことが目標です。
ワークショップは14時から16時がPTA研修会メインの時間でしたが、16時以降は授業を終えた生徒たちも合流し、一時的に大人と生徒が入り混じる時間帯がありました。この時間は短かったものの、大人と中学生が一緒に創作活動に取り組む場は、双方にとって刺激となり、創造力を育む貴重な機会となると考えています。大人が子どもから学び、子どもが大人から学ぶ。そんな相互作用が生まれ、しかも創造の喜びを分かち合える場を、今後さらに発展させていきたいと願っています。
今回の課題として、参加された方の中にはつくるものが予め決められていた方がやりやすいという意見をいただきました。私としては、その点についてはあえて何も設定せずに、自由に制作に取り組むことを楽しんでいただけたらと考えていたのですが、やることが決まっている方が安心感があって楽と感じる人もいることは考慮に入れる必要があると感じています。
なので、今後は絵画、工芸、デザイン、立体それぞれにボランティアスタッフの生徒か学生を割り当て、彼らもサブ講師になってもらい、テーマに沿った制作ができるようにしたいと考えています。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はワークショップを行ない、参加者の取り組む姿を見ていて気がついたことや、今後の展望についてもお話しさせていただきました。次回の予定は10月です。ちなみに、今度は休日開催で参加者の枠はフリーの予定です。今回の内容に興味を持たれた方には可能であれば是非参加していただきたいです。
今後更なるプロジェクトの発展を目指して頑張っていこうと思います。
それではまた!
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