簡単に作って遊べるおもちゃ① 恐竜切り紙絵
今回は、家庭や学校で簡単に作って遊べる紙のおもちゃ「恐竜切り紙絵」をご紹介します。
画用紙を切って貼るだけのシンプルな工作ですが、短時間でたくさん作ることができ、幼児との遊びにもぴったりです。
きっかけは、恐竜好きな私の娘と遊んでいる中で生まれたもの。もちろん恐竜以外の形でも楽しめますが、今回は「恐竜切り紙絵」を題材にお話しします。
着彩した画用紙を下描きせずに切って貼り付ける
まずは画用紙に着彩します。絵具は水彩、ポスターカラー、アクリル、マーカーなど何でも良いです。画用紙への着彩は娘が絵具を使った造形遊びをしながら画面を塗りつぶしました。絵を描く造形遊びをさせていて発見したことがありました。それは、造形遊びなら、ただ絵具で遊びながら塗ることもあると思いますが、娘はずっと話をしながら絵を描いていたことです。「暗くなって夜になった」「明るくなって朝になった」「この道はティラノサウルスが通る道」など、叙事を発しながら色と形を重ねて描き、絵の姿が何度も変化していました。絵で物語を楽しむというのが造形遊びの可能性の一つであることを3歳前の娘から気がつかされました。
そうして塗りつぶされた画用紙をモチーフの形に切り、パーツを貼り合わせます。娘は3歳前で、まだハサミが使えないので、切り抜きは私がやりましたが、子どもがハサミを使えるようになったら是非どんどんやらせてほしいです。
この技法はマチスの切り紙絵(カット・アウト)を参考にしたもので、彼は画用紙に下描きをせずにイメージした形をハサミでそのまま切り抜いていました。形の失敗を恐れて下描きしたくなるかもしれませんが、直感を信じて切り抜くことが大切です。切った形が納得いかないものであれば、切ったものを調整したり、継ぎ接ぎにしても良いわけなので、失敗は気にせずに切ります。下描きをすれば、モチーフに似た形や幾何学的に整った形にしやすいですが、この方法では切り紙絵ならではのデフォルメとアクセントの効いた思い切った形が犠牲になりかねません。マチスもそれを嫌って「色でイメージをそのまま形にできる」切り紙絵の技法を自身の造形方法のメインに晩年はしていました。
自分が切りたいと思って切った形に基本的に失敗はありません。過度に失敗を恐れて下描きをするよりは、切る楽しさ、直感をそのまま形にする楽しさを大切にしてほしいと思います。親として子どもに作って見せる場合は、切って形にする楽しさがしっかり伝わるように、まずは自分自身がこの切り紙絵の制作を楽しんでほしいです。
ちなみに、あるあるなのですが、一体作ったらもう一体、3歳頃の幼児はひたすら次を求めます。そんな場合にもこの切り紙絵であればすぐにできるので、それほど負担にはなりません。
裏面も色塗りに使える
予め両面に着彩したものを切り紙絵にしても良いですが、裏面をそのまま残しておくと、裏面に自由に色を塗ることができるので、切り紙塗り絵として遊ぶこともできます。普通の塗り絵も造形遊びとしては良いもので、手の巧緻性を上げるトレーニングにもなりますが、こういった切り抜かれた平面に着彩をすることは立体に着彩するスモールステップになりますし、物を自分の好きな色や模様にアレンジする原体験にもなります。
造形できる「遊び(遊隙)」としてのスペースを用意することは造形教育の視点でも大切です。美術の教材作成では、この「遊び」の可能性を何よりも大切にして考えるようにしています。
絵本の造形も参考に
絵に対する苦手意識がある親や小学校の先生は結構多いかもしれませんが、切り紙絵であればそれほど難しく考える必要はありませんし、そもそも世の中に出回っている絵本を見れば、それほど造形的に難しいものばかりではないことが分かります。
今回の恐竜切り紙絵はマチスの技法を参考にしていますが、造形遊びで着彩された画用紙を活用しようと思ったのは『はらぺこあおむし』で有名なエリック・カールの技法から着想を得ています。幼児は次から次に画用紙に色を塗っては新しい画面を求めます。雑紙でも良いですが、水彩系の絵具を使うのであればスケッチブックが望ましいので、雑紙も使いますが、私は贅沢だと思いつつ絵具の際にはスケッチブックに描かせています。そうして残されていく絵を見て、何かに利用したいと思い、今回のような恐竜切り紙絵を考えるに至りました。
絵本には素敵な絵の作品がたくさんあり、これが子どもの造形的視点に与える影響は大きいと思いますが、それを表現する側として繋いであげるのは大人の役割だと思います。是非子どもと一緒に絵を描いてほしいですし、できれば水彩絵具やポスターカラー、アクリル系絵具など、筆と筆洗があればすぐにできるような画材も積極的に利用してほしいと思います。
紙でも大変遊べるおもちゃに
恐竜切り紙絵ができたら、これはそのままおもちゃになります。娘はこれでひたすら物語を作りながら遊んでいました。恐竜を作るのに時間がかからないので遊びもどんどん発展していきます。
同じような遊びはもちろん市販の人形やフィギアでもできますが、これでは買い始めたらきりがありませんし、処分にも困ります。何よりも、「買えば何とかなる」というマインドセットを子どもに植え付けるのはリスクが大きいですし、そもそも恐竜を作る過程を楽しむこともできません。「欲しいものは自分で作る」というマインドセットを築くことができれば、創造力が自然と培われていきますし、そういう習慣は自分で学んで課題を解決する姿勢にもつながることでしょう。
安くて楽しくて早くてめちゃ遊べる。そんなことを可能にする切り紙絵のおもちゃは大変おすすめです。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は簡単に作って遊べるおもちゃということで、恐竜の切り紙絵について紹介させていただきました。
これからも簡単に作って遊べるおもちゃシリーズを書いていこうと思います。よかったらまた読んでもらえると嬉しいです。
それではまた!
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