授業掲示板で学習への主体性をファシリテート

 今回は美術の授業で実践していることを紹介します。今回紹介するものは中1で行うグラフィックデザインの学習で利用している掲示板です。

 生徒には学習内容に対して興味を持ってもらえるように、普段から色々と仕掛けを考え実践しています。学習掲示板はずっとやりたいと思いながらなかなかしっくりくるものを形にできていませんでしたが、ようやく手応えのある形を実現することができました。

段ボールパネルを折り曲げて自立する掲示板に

 これまでにも過去の作品例(写真やレプリカ)をダンボールパネルに貼り付けたものやラミネート加工したものを見られるようにすることはありましたが、壁に掲示するには有効なスペースがなく、教室後方の作業台に平置きしてきました。しかし、この方法はあまり格好が良くなく、スペースも使います。授業の転換で別の学年の授業にセッティングを変更するのも少々面倒という状態でした。なので、ある程度の掲示スペースがあり、授業転換が楽で、しかも教室のスペースを有効に活用できる方法を探ってきました。
 そこで閃いたのが段ボールパネルを半分に折り曲げるという方法です。半分に折れば自立することができ、しかも空間を上方向に有効活用することができます。そして何より視覚的に大変目立ちます。美術室の入り口からすぐに目に入るところに立たせることができ、自然と生徒の目に入る仕掛けとなりました
 この大きな段ボールパネルは1月から2月に開催される倉敷っ子美術展で作品展示に使うもので、毎年学校に6枚提供されます。この段ボールパネルをこれまでにも色々と有効活用してきましたが、今回も掲示板として活躍することとなりました。

 このパネルの裏面にはまだ何も掲示物を施すことができていませんが、いずれ3年生の内容か1年生の次の学習に関係するものを貼り付ける予定です。この方法なら授業転換の際に掲示板をすぐにチェンジすることができます。


学習内容に対して主体性を発揮して取り組めるように

 掲示物には過去の作品や私自身が試作品として作成したものを貼り付け、学習内容を活用することでできることを紹介しています。私の授業では学習方法をPBL型(課題解決型学習)にしており、生徒自身が課題を設定して、制作や研究に取り組み、最終的にレポートを作成するという探求学習の方法をここ何年かは継続して取り組んでいます。この方法は教科の枠にとらわれず、自然と教科横断型の学習にも発展しやすく、多様な学びが行われます。なので掲示している作品も多様です。
 学習に取り組む生徒にとって「こんなこともできるのか!」と興味を持ってもらうためには、一人ひとり異なる趣向を持つ生徒の心に刺さるものを用意することが大切だと考えています。なので、多様な作品例を示して、生徒の主体性を刺激できるように掲示内容を工夫しています。


学習内容と掲示物の接点を示す

 グラフィックデザインの学習では最初にデザインの概要を教科書や美術資料も使いながら説明した上で、構成美、イラスト、色面構成と段階的に内容を発展させたり、レタリングについて学習するなど基礎的な知識と技術を身につけられるようにしています。











 掲示されている参考作品がそれぞれ全く違うデザインに見えて、実はこれらが基礎的な内容を踏まえたものであることを認識できれば、生徒は「自分にもデザインを作ることができる」という希望を持って取り組むことができるようになります
 最初は掲示物を見て、ただ「凄い」として感じなかったことが、学習を進める中でどのようにして作品ができているか分析的に捉えることができるようになり、作品を見る解像度が上がります。
 最終的に作品はケント紙かラベルシールに印刷(計2枚まで)するので、自分の作品も掲示物のように現実化することが楽しみに思える生徒もいると思います。過去にも印刷して出来上がった作品を生徒が受け取る際に喜ぶ姿が見られました。デジタルでデザインを作ること自体は楽しいことであっても、アナログで見るグラフィックデザインの作品は特別なものと言えるのかもしれません。そういう意味でも、生徒に完成作品を楽しみにしてもらえる掲示物を用意することには大切な意義があると思います。
 今後、さらにこの学習掲示板を発展させて使い、生徒の学習に対する主体性をファシリテートできるように取り組んでいきたいと思います。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は美術で実践している学習掲示板について紹介しました。90cm×180cmの段ボールパネルでなくても同様のことはできると思いますので、今回の内容が参考になったという場合は、是非やってみてください。
 これからも美術教育の実践で紹介できることが発見できるよう、励んでいきたいと思います。
 それではまた!


 ところで、研究に一層身が入る心地良い秋の気候はいつ訪れるのでしょうか。まだまだ暑い日が続きますね。暑い中でもランニングしたり、部活動のソフトテニスで生徒と一緒に汗を流しているので暑さに強いと思われがちな私ですが、暑い季節は滅法嫌い、というか弱いので、涼しい秋、むしろ寒い冬が待ち遠しいと思う日々・・・
 ぼやきたくもなる長い夏です。

 

 

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