Google Formsを使った都道府県名と県庁所在地名の定着を図る

  今回はGoogle Formsを使って都道府県名と県庁所在地の定着を図る練習問題について紹介します。私の専門は美術ですが、学校のICT教育担当をしているということで、ICT端末を用いた学習を推進していくために手広く仕事をしている2021年度です。この度、小学校と中学校で連携して都道府県名を覚えるテストをするということで、朝学習の時間に効率良く学習するためにFormsで練習問題を作成しました。

 この文章の最後にはこの練習問題の作成のコツについて書いているので、早速取り組んでみたいという場合は最後の部分だけ読んでもらうのも良いと思います。


一問一答でもイメージに残りやすい図と写真の利用

 都道府県名の習熟度は個人差が大きいです。このテストでは都道府県名だけしか問われないので、一部の生徒からすると、このテストのために朝学習で都道府県名を覚えるというのは簡単過ぎてある意味苦行です。朝学習で練習用のプリント問題が出されますが、できる生徒は一瞬で終わって暇を持て余すことになります。早く終わったら地図帳でも眺めておけば良いと思いますが、自主的に勉強をするのは一部の地理に興味がある生徒ぐらいで、そういう生徒はそれほど多くはありません。自主的に取り組むためにはある種のゲーム性や遊び感覚が必要だと私は考えています。そこで考えたのがこのFormsを使った練習問題です。

 以前にも紹介したことがありますが、Google Formsのテスト機能を使いて練習問題を作成(https://art-educator-tatsuwaki-serendipities.blogspot.com/2021/11/google-forms.html)すると、自動採点で解説やリンク、動画も付いた充実した練習問題が作成できます。基本的には一問一答形式になりますが、Formsは図を問題に挿入することができるため、視覚的なサポートに優れ、一問一答でもイメージで理解しやすく、知識の定着には非常に効果的です。この点が紙の問題集と決定的に異なる点で、紙の問題集では図や写真を限られたスペースに収める必要があり、問題文と図や写真が離れたところにあることも珍しくなく、これが勉強をする上で煩わしさになることもあったのではないかと思います。


 図を見て都道府県と県庁所在地を確認しながら問題を解いていくと、イメージに残りやすく、それが知識の定着度につながります。そしてFormsは何度でも繰り返し取り組むことができるため、反復学習に役立ちます。


スマートフォン・タブレットからでもQRコードやリンクで手軽に取り組める

 すでに学校ではGIGAスクールアカウント(Google)が導入されているので、普段使っているGoolge ClassroomのストリームなどにFormsの問題を貼り付けておけば、家庭用のスマートフォンやタブレットでChromeからClassroomにアクセスして取り組むことができますし、QRコードを配布しておけばGIGAスクールアカウントを用いなくてもそのまま問題に取り組むことができます。この手軽さがとても重要だと私は考えています。


 今の時代、スマートフォンが体の一部とも言っていいぐらいに多くの人の手に吸い付いている状態です。あとはそこにQRコードさえあればすぐに問題にアクセスできます。多くの児童生徒は勉強をしなければいけないということを頭では分かっていますが、勉強をするために教科書や参考書、ワークを準備するのが面倒で、なかなか腰が上がらないというケースは多いです。そうであるならば、スマートフォンを握っている状態を逆に利用して問題に取り組んでもらうというのも、なしではないと思います。そうして問題に取り組み、成果を出していくうちに、勉強に対する自信を深め、学習に対する意欲を高めていくことができれば、スマートフォンやタブレットに支配されるような時間の使い方ではなく、自分に必要な時に利用できるコントロール力を身につけていくことにもなるのではないかと思います。

 私自身、過去にゲーム機に支配された小中高時代、パソコンに支配されインターネットサーフィンに明け暮れた大学時代、スマートフォンに支配された20代から30代前半の時代と、人生の大半をデジタルデバイスに支配されてきた実績があるので分かるのですが、こういったドーパミンを刺激するマシーンに人間は支配されるようにできています。しかし、最初は完全に支配されながらも、徐々に適切な付き合い方を理解していけるのも人間の成長性だと思います。多くの児童生徒にとってスマートフォンやタブレットはSNSやゲームをするためのものかもしれませんが、これらが勉強に役立つということを学ぶためには、これらを使いながら実感する経験が必要です。実際に、Formsのテスト対策問題で手応えを掴むことができた生徒は、今回の都道府県問題も家庭学習で何度も取り組み、県庁所在地も答えることができるようになっていました。スマートフォンに対する考え方を改め、学習のゲーム性に気づけるように導いていく工夫がこれからの学校教育には必要なのではないでしょうか。


興味を持った生徒はさらに深められる工夫

 Formsは解答の設定でリンクや動画を付けることができます。都道府県名と県庁所在地名が完璧に覚えられた生徒は解答のリンクからWikipediaなどに飛んで詳しく調べることができるように設定しておくと、習熟度の高い生徒からすると良い暇つぶしになります。


 今回の練習問題は選択問題と入力問題の2種類用意しました。選択問題はスムーズに行けば数分で終わりますが、入力問題はかなりのタイピング能力を持っている生徒でも5分ぐらいはかかります。なので、単純にタイピング練習をする良い機会になります。ただ都道府県名をプリントに書き込んで覚えるだけの場合、やれることは限られます(私は時間が余った場合よく硬筆の練習をしていました)が、Formsである程度の個別最適化ができる上、今必要なタイピング能力を鍛えたい場合にも有効な方法になると思います。



 都道府県名と県庁所在地名が完璧になった生徒にはボーナスステージということで、ヨーロッパの国に関する問題も作成しました。これはかなり難しかったようですが、興味を持って取り組んでいる生徒はたくさんいました。日本なら完璧でも「イギリスとフランスとイタリアとロシアしか分からん…。後は勘!(笑)」と言いながらも繰り返し取り組んでいたので、これもある程度のゲーム性を持たせることができたのではないかと思います。余談ですが、自分自身、この問題の作成で久しぶりにバルカン半島の国について知るきっかけとなったのですが、ユーゴスラビアで止まっていた自分の知識がアップデートされて良かったです(笑)。



Formsで問題作成するコツ

 最後にこの練習問題の作成方法について説明します。こういう練習問題を見て「こんな問題を作るのは大変!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ipadさえあれば2時間程度で選択問題と入力問題の2種類が作成できます。

 以下に手順をまとめました。

 1.無料の白地図をダウンロードする。

 2.白地図を写真ツールで拡大する。

 3.県庁所在地をペンツールでマーク(apple pencilがあるとなお良いです)

 4.スクリーンショットして、マークを消しゴムツールで消す。



 以上の作業で47都道府県全ての県庁所在地にマークを入れをスクリーンショットしていきます。この作業が20〜30分程度

 後はFormsで問題の定型文をコピー(回答をシャッフルの設定)し、各問題に都道府県の画像を貼り付けると問題が完成します。解答例やリンクなどを付けていくとこの作業が1時間半程度かかりますが、画像をGoogle Chromeにアップロードして、他の人と協力して問題作成すれば、時間は短縮されます。

 ほぼ単純作業なので、家で作業しているのであればテレビや動画鑑賞など、ながら作業でもできてしまいます。良かったら是非やってみてください。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はGoogle Formsを使った都道府県名と県庁所在地名の定着を図る練習問題について説明させていただきました。私は日本の地理について詳しくなるというのはとても大切なことだと考えています。それまで何の関心もなかった地名を知ることで、少しは地理について興味を持つきっかけになりますし、地理について興味を持てばこの社会について自然と理解度を高め、他の様々なことを学ぶことにさえつながっていくと思います。私の専門は美術ですが、ICT教育担当として、幅広く学校の教育関わる機会がもらえたことは自分の教育に対する考え方を深める上で良い機会になったので、これからも、ICT教育を推進しながら美術だけでなく、様々な教科の可能性について探っていきたいと思います。

 それではまた!

 

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