Googleジャムボードの代わりにGoogleスライドで協働学習するメリット

 


 先日Googleジャムボードがあと1年ぐらいで使えなくなるという通知が来て、代わりのツールとしてFigJam、Lucidspark、Miroなどのホワイトボードツールが紹介されていました。これらを少し触ってみましたが、個人的には、これらのツールよりも、現在普段から活用しているGoogleスライドやロイロノートをジャムボードの代わりとして使う方が好ましいと感じています。これらのツールの潜在能力を考えるとジャムボード以上に発展的な活用もできるでしょう。ジャムボードという超手軽な協働学習のツールを失うことによって生まれるダメージは多少あると思いますが、他のツールで十分に代替できるので、それほど慌てる必要はないと考えています。

 私自身、もうしばらくはジャムボードを活用することもあると思いますが、いずれ使えなくなるというのであればGoogleスライド、手書き使いたいのであればロイロノートやCanva、先に挙げたFigJam、Lucidspark、Miroなどをジャムボードの代わりに活用することを検討し、1年後にジャムボードが使えなくなっても困らないようにしておくことが大切なのは言うまでもないことです。私はこの中でもGoogleスライドを活用してジャムボードに代わる協働学習をしていきたいと考えています。

 私の授業ではあまり手書きを必要としないケースが多いため、Googleスライドを利用するメリットが大きいと言えます。実際に私はこれまでにもジャムボードでやっていたものをGoogleスライドに変更して、より発展的に取り組めた手応えがあります。なので、むしろ今回のジャムボード終了のお知らせは次のステップを踏む上で良い機会にさえなるのではないかと考えています。

 今回はジャムボードの代わりにGoogleスライドを活用することの可能性についてこれまでの私自身の実践を基に少しまとめてみました。何か使えそうな方法があれば活用してみてください。


表やテキストボックス、図形ツールで意見共有


 Googleスライドは表やテキストボックス、図形を挿入することによって言葉や文章を容易に集めることができます。表はGoogleスライドの「挿入」から表を選択するのも良いですが、スプレッドシートで作成した表を貼り付けることも可能(リンク機能付き)です。この点もGoogleスライドの発展的な利用可能性と言えます。
 表に出席番号などを入れておくと操作もしやすくなり、30人程度での同時編集もスムーズにできるようになります。ただ、これによってジャムボードのような匿名性がなくなり、思い切った意見を出すには勇気が必要になります。ただでさえGoogleスライドでは(ドキュメントやスプレッドシートも同じですが)誰がどこを編集しているのか名前がはっきり表示されるので、ジャムボードのような活発な言語表現が見られなくなる可能性はあります。
 しかし、もしクラスにお互いを受容する関係がつくられているのであれば、匿名でなくても安心して表現できますし、名前がわかっているからこそ自覚と責任を伴った表現もできるようになる可能性もあります
 匿名でないとしても、Googleスライドが意見を手軽にたくさん集めるツールとして便利であることに変わりありません。ジャムボードの直感的な操作感に比べると劣りますが、ICTに慣れた段階であれば問題なく使えます。テキストや表、図形、画像など、挿入できるものに関してはジャムボードよりも便利で機能的に使えるメリットは非常に大きな価値を生んでいると思います。


リンクを活用して発展的に


 Googleジャムボードはテキストや画像などにリンクを埋めることが可能で、ツールバーにもリンクマークがありますが、「Ctrl + K」のショートカットキーさえ覚えておけば非常に手軽にリンクを活用できます。ジャム
ボードにはこのリンクを埋め込む機能がありません。ちなみにこのブログはGoogleのBloggerを利用しており、このアプリケーションにも編集画面でリンク挿入マークはついていますが、ショートカットキーでリンクを簡単に埋め込むことが可能です。
 リンクを埋め込むことによって、関連する内容を手軽に集めることができます。短い言葉や画像だけでは伝わりにくい内容も、リンク先で詳しい内容にアクセスできるようにしておけば、協働学習の内容は爆発的に広がります。こうなることでGoogleスライドの資料がただのブレーンストーミングによる視野を広げるジャムボードのような協働学習の場ではなくなり、深く広大な知の世界につながる入口として機能するようになります


ページをコピー&貼り付け



 GoogleスライドはページごとにURLが付いており、ページのコピー&ペーストによって一つのファイルに多数のページを集めることが可能になります。
 私は普段の振り返り作品鑑賞会デジタル作品の制作でもGoogleスライドを活用しており、これらのページを共有することで鑑賞の授業をしたり、お互いの学習を共有するなどしています。共有する際には「元のプレゼンテーションにリンク」を選択して貼り付け、リンク先の振り返りシートや学習レポートにアクセス可能にし、他者がその単元でどのような学習をしてきたのか過程を知ることもできます。ただ、振り返りを見られるのがどうしても許容できないという場合は元のプレゼンテーションにリンクしない形で貼り付けることもできるため、個々の状況に合わせた協働学習が可能です。
 ジャムボードは20ページの制限があり、長い文章を入力することにもあまり適していないため、たくさんの意見は集まるものの、内容の深さに欠ける協働学習になりやすいと感じています。厳しい言い方をすると、ジャムボードは「やってる感」が先行して、研究レベルの深い内容に発展しにくいツールであると考えています。
 Googleスライドはその点、ページ数は無制限ですし、枠外にもテキストや画像を配置することが可能な上、リンクの機能によってページ上の範囲を超えて膨大な内容を共有することさえ可能になります。このような機能は探究的な学習を協働的に行う上で強い味方になってくれることでしょう。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。以上のようにGoogleスライドにはジャムボードほどの手軽さはないものの、少し使えるようになれば多大な可能性をもたらしてくれるメリットがありますので、これまであまり使ってこられなかった方や、協働学習のツールとして考えてこなかった方には是非活用を検討してみてほしいと思います。


 私もこれまで以上にGoogleスライドを発展的に活用していきたいと思います。現在考えている活用法がCanva のホワイトボードとGoogleスライドをリンクで連携させてそれぞれの良さを生かすという方法です。どんどん新しいツールが生まれているので、そのメリットを生かしつつ、生徒が使いやすいように授業に導入していきたいと思います。

 それではまた!


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