伝統文様ステンシルでデザイン紙ファイル
今回は和柄のステンシルを生かしたちょっとした工夫について紹介します。これまでしばしばステンシルや伝統文様に関する紹介をしてきました。ステンシルは手軽に色んなものに印刷できる使い勝手の良い版画ですし、伝統文様は言わずと知れた日本の洗練された構成美です。これらを生かせば簡単に普段使っているものにデザインを施すことができますし、DIYを充実させることにも繋げられます。簡単にできるので、良かったら是非トライしてみてください。
ファイルが華やかに
今回は紙製のファイルに伝統文様のステンシルを施したものを紹介します。これはA3のコピー用紙をファイルにしたもので、その表紙にステンシルで着彩しています。紙は画用紙やケント紙でも良いと思います。和紙を使うと高級感が出て一層上等な品になります。和紙は版画用のものであれば四つ切りサイズで1枚10円程度からでもありますが、上等なものであれば100円ぐらいのものもあります。
写真のものは普通のコピー用紙なので、1枚1円程度の超安物ですが、伝統文様と色の力で十分に美しいファイルができました。着彩にはスプレーを利用しましたが、スパッタリングという網とブラシで絵具を霧状に飛ばす技法も有効です。スプレー以上に版の型に沿った綺麗な形で着彩できますし、グラデーションも綺麗にできます。スポンジで絵具をファンデーションのようにポンポンと押し込むのも良いでしょう。
DIYで作成したファイルでも、自分で工夫して作成したものは特別な品になります。しかも、とても美しく仕上がって日常的に使えるものであれば、日々の生活の満足度や幸福度も上がります。
このファイルは長期欠席の生徒用に利用
実はこのようなファイルを作成しようと考えたのは、私のクラスに長期欠席の生徒が数名いて、配布物をまとめるのに一苦労していたことが背景にありました。欠席者の机上にはA4サイズのトレーを置いておき、そこに配布物を保管するようにしていますが、長期欠席者となると、配布物が溜まり続けます。もちろん定期的に家庭に渡るようにしているので、トレーがパンパンになることはありませんが、数日のうちにトレーにプリントがたくさん溜まります。そして、家庭用の配布物と教科のプリントがごちゃごちゃになって、プリントの内容を確認する上で非常に煩雑な状態になります。
プリントの順番がごちゃごちゃした状態で渡しても良いのかもしれませんが、教科毎にプリントを分けて見やすい状態にしてから渡したいと私は思ってしまう性格なので、これまでは一々プリントを選り分けて整理した上で渡すようにしていました。この作業が面倒なのは想像に難くないと思います。その上、トレーに溜まったプリントは見栄えが悪いですし、風が吹くと飛んでいってしまう危険性もあり、問題がたくさんありました。
そんな状況を解決に導いたのが、伝統文様紙ファイルでした。このファイルは教科毎に分けて管理できるようにA3の紙を4枚組にしてドキュメントファイル形式にしています。これによって、長期欠席者と同じ班の生徒がプリントをもらった際にすぐに分けて収納できるようになりました。伝統文様が見えていない状態というのはプリントが放置されている状態を意味するので、整理された状態のバロメーターとして綺麗なファイルの文様が毎日見える状態を維持してもらうようにしています。
この仕掛けは明確な成果につながりました。これまではプリントを分けるツールがなかったため整理することが困難でしたが、今はそのツールが存在するわけなのでプリントが綺麗に収まり、毎日綺麗な伝統文様が目に入るようになりました。
美観と便利さ、そして人の行動を促す仕掛け(ナッジ)の要素がこれら伝統文様ステンシルのデザインが施された紙ファイルに備えることができたと感じています。学級経営と美術教育においてはほんの小さなことかもしれませんが、こういうものを活用することが、少しでも生徒の美意識の醸成に繋がってほしいと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は伝統文様ステンシルでデザイン紙ファイルを作成することについて紹介しました。ステンシルは手軽に楽しめる版画ですし、伝統文様はシンプルでも魅力的な構成美のものがたくさんあります。簡単にDIYで作成できますので、今回の内容で興味を持って自分もやりたいと思ったり、造形教育の教材として参考になったりした方がいらっしゃったのであれば嬉しいです。ちなみにクリアファイルにもこの技法で素敵なデザインを施すことができます。クリアファイルは表面がツルツルのため下地塗りをした上からラッカースプレーをしても色が少しずつ剥がれていきますが、軽くスプレーした場合は色が剥がれにくく、綺麗な状態をある程度維持できます。ちなみにこの艶系ファイルはシュレッダー候補の紙を一時保管するために活用しています。不要な紙でもこれぐらいの待遇で扱えば罰は当たらないでしょう(笑)
個人的に伝統文様はかなり好きです。また今後も時々伝統文様に関する内容を扱っていこうと思います。
それではまた!
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