植物を活用した手軽にできる版画

 今回は手軽に楽しめる版画を紹介します。版画と聞くと、版木を削る凸版のイメージが強い人が多いかもしれませんが、銅板を活用した凹版や、穴にインクを通す孔版、リトグラフやマーブリングなどの平版など、それぞれ特徴的な技法があります。私自身、これまでにブログで孔版のステンシル版画について書いたものもありました。

 今回紹介する版画は、主観的な話ではありますが、私自身がこれまで経験してきた版画の中でも特に手軽な方法であると思っています。それは植物を活用した版画です。これは版画のスモールステップであるだけでなく、画面構成を試行錯誤して楽しむ上でおすすめの方法です。



準備も制作方法も簡単

 この版画をする際に必要なのは画用紙(習字用の和紙でもOK)、水彩絵具、バレンなど平らなもの(なくても大丈夫)、筆、そして野草です。



 一般的な版画はモチーフを描いて、彫ったり切ったりするなどして版を作成しますが、この版画は野草に水で溶いた絵の具を塗り、画用紙を被せてバレンで擦りながら圧を加え、野草をプリントするだけです。和紙であればバレンを使わずとも、手で圧を加えるだけでも十分に和紙が絵の具を吸ってプリントできます。画用紙の場合、プレス機を使うのも良いでしょう。



 薄手の和紙の上から擦ると紙が破けるので、画用紙などを上から被せ、擦っても和紙が破けないよう にします。




 この技法はコラグラフという、コラージュしたものを版にしてプレス機やバレンでプリントする版画と通じるもので、凹凸を生かした版画になります。コラグラフの場合、画用紙などに凹凸のあるものをボンドなどの接着剤で固定しますが、この版画では固定も不要で、ただ色を塗った植物の上から画用紙を置いて着色させるだけです。とても簡単なので、大人が一緒にやるのであれば幼児でもできると思います。

 野草の凹凸を生かすだけでできる手軽な版画ではありますが、少し手間になるところもあります。それは、画用紙を被せる前に、葉の形を整えておく必要があるということです。あと、エノコログサ(通称ねこじゃらし)のような毛が多くて水彩絵具を弾いてしまうものもあります。このような植物の場合、版画用の粘度の高いインクを活用すると、模様が写し取りやすくなりますので、版画用インクもあればさらに制作が充実すると思います。


身の回りのモチーフを活用して構成や配色を楽しめる

 この版画の良いところは、モチーフを用意すれば、それがそのまま版画に利用できるという手軽さです。絵を描くというよりは画面を植物で飾る感覚で制作できるので、絵が苦手という人でも版画を楽しむことができます。

 版画を制作する際のポイントになるのは、構成と配色です。動きのある植物の形を生かしたり、植物の模様で画面全体のバランスを取ったり、構成を工夫するだけでも魅力的な画面が作れるということを学べます。また、配色も実物を再現するだけでなく、作品の雰囲気を考えて色を思い切って変えてみるなど、絵だからこそできるアレンジを楽しむこともできます。

 絵が上手に描けないから美術は苦手と考える人は多くいます。しかし、狙った形が描けるかどうかだけが重要なのではなく、構成や色、そして作品の雰囲気やテーマについて考えて工夫することも造形をする上でとても大切であるということを実感できるのもこの手軽な版画の魅力ではないかと思います。

 造形のスモールステップ教材として、この版画はとても有効だと思いますし、理科の学習とセットで行うこともできます。植物の美しさをこうして味わうことが興味を持つきっかけにもなるのではないでしょうか。身の回りのモチーフを造形体験によって身近なものにする経験は好奇心を育てることにもなると思います。今回紹介した版画は大人でも楽しめますが、幼児にもおすすめです。是非子どもと一緒に版画遊びをお楽しみください。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は植物を活用した手軽にできる版画を紹介しました。季節ごとの植物を楽しみながら版画も楽しむ。そんな体験を是非してみてください。

 今後も簡単にできるスモールステップ教材や幼児も大人も楽しめる制作方法を研究していきます。紹介できるものがあれば、またブログで書こうと思います!

 それではまた!

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