オープンスクールの展示

 先日7月31日は私が勤務する岡山大安寺中等教育学校のオープンスクールが開催され、体験授業や部活動紹介、展示見学が小学生や保護者向けに行われました。美術科からも作品展示を行い、1年生と2年生は2作品ずつ、3年生は1作品、全員の1学期に制作した絵画作品を展示しました。
 今回のブログでは展示した作品の簡単な説明と、展示方法についてまとめてみました。良かったら参考にしてみてください。


ダンボールパネルとクリップでスペースを有効活用した展示

 展示は2教室を利用して約450人、750作品程度をダンボールパネル(90×180cm)にクリップで吊るしました。連結クリップで3〜4作品を連結させて、一番上の作品をダンボールにクリップで固定するという方法です。これによってスペースを有効活用して展示することができる上、準備と片付けの時間も極力少なく済むようにしています。
 ダンボールパネルは2枚を連結させ、折り曲げた状態にすることでパネルが自立するようにしました。ただ、パネルは固定しておかないと倒れる可能性もあるので、布テープで端の部分を固定するようにしています。今回は2枚のパネルで自立させましたが、折り曲げる回数を増やしたり、連結させるパネルを増やすことで、より安定して自立させることができるので、また展示の方法は今後工夫を考えてみようと思います。




1年生「自分らしさを見つける絵画」



 1年生の1学期はデッサンや色彩の学習、モダンテクニック、透視図や投影図など絵画の基礎的な知識と技能を短時間の制作を通して学び、最後に学習した内容を活用して八切サイズの画用紙に絵画制作しました。



 今回1人2作品展示にしたのは、8切サイズの作品とそれまでに制作した作品の中から1点一番気に入っているものを選択してもらいました。なので、展示作品はデッサンや水彩画、モダンテクニックを生かしたものなど様々なものになり、小学生に楽しんでもらえるものになったのではないかと思います。
 中学生になったら自分の判断で学んだことを活用し、描きたいものを工夫して描くという美術の面白さを伝えたかったので、このような展示にしました。また、色々な表現に取り組み、実験的に作品を制作
することで自分の表現したいものが見つかったり、それまでイメージできなかったことが閃くようになったり、そんな気楽に造形表現に取り組みつつも、やりたいことはとことん追求できるのが美術の時間であることも伝えたかったことでした。

2年生「色と形の可能性を追求する絵画」

 2年生は印象派以降の表現について学習し、風景画と感情表現をメインにした感情絵画というものに取り組み、色と形の可能性を追求する学習を1学期に行いました。どちらも16切サイズの画用紙を利用しました。
 
 風景画と言っても、ただ風景を描くだけではただの再現になってしまいかねません。今回は風景画を描くことを通して、色と形の可能性を追求することを課題の設定にしており、そのために作者の心のフィルターを通して風景画を描いてもらいました。
 印象派の色彩表現、ポスト印象派の感情を色と形で表現する視点を学習した上で風景画に取り組み、非常に自由度の高い描き方をできるようにしました。


 印象派の描き方は生徒からするとそれまできっちり丁寧に着彩しなければいけないという固定観念を壊すことに繋がったと考えています。そして、ゴッホやクレーの描き方から感情を乗せて風景を捉え直し、写真のように見えるままを描くのではなく、自分の心の中にある風景を創造することで、自分の大切な風景を心のままに描くことができるということを学んでもらいました。


 感情絵画はマチスやピカソの表現について学び、色と形を表現の意図に合わせて自由自在に活用する絵画制作です。野獣派やカット・アウト、キュビスムといった表現を知ることで、子どもたちの表現の幅はさらに広がり、感情という目に見えないものを色と形で表現できるようになります。



 こうして印象派以降の表現や現代アートの入り口であるマチスやピカソの表現を学び、絵画制作することを通して色と形の可能性を追求する学習に取り組みました。
 

3年生「自分を丸ごと生かしたアート」

 3年生の1学期は無意識の自分を解放して絵画表現する制作に取り組みました。この教材では最初に画用紙の裏面に深く考えずに言葉を書き留める自動記述法(オートマティスム)というシュルレアリスムのアーティストが利用した方法を実践しました。書いた言葉を元にして絵具のチューブで直接画用紙に絵を書き殴り、デカルコマニーで模様をつくり、そこからさらにイメージを広げて絵を描き込んだりコラージュしたり、さらには粘度も追加して自分の心を表現しました。




 小学生からすると3年生の作品が一番めちゃくちゃな表現に見えるかもしれませんが、こういった表現で自分を生かした作品ができるということを知ってもらうことは中学生や小学生に限らず、大人も含めてとても大切なことだと思います。
 表現するものが自分とは何も関係ないようなものでは熱のこもった作品制作にはなりにくいものです。主題を自らの心を起点に生み出すこと、そしてそのための方法を知っているだけでなく、経験を通して力にすることで美術に限らず、創造力を発揮することに繋がります

 

学習の要点とレポートも展示

 今回の展示では作品展示だけでなく、それぞれの学年の取り組んだ学習の要点をまとめた資料や、生徒のレポートを見られるようにしました。作品に比べると、これらを見る人が決して多くありません。しかし、こういった作品がしっかりした学習目標と課題があって取り組まれていることや、生徒が単元を通して学んだことをまとめ、考察したレポートを見ることができるようにしておくことで、少しでも多くの子どもや保護者に美術の深い学びについて考えてもらえる機会を提供することになります。
 学習の要点についてまとめることは授業者の立場としても指導内容の洗練や教材のレベルアップにつながることなので、鑑賞する人のためだけでなく、教師自身のためにも意味のあることです。


 最後まで読んでくださってありがとうございました。今回はオープンスクールでの美術科の展示について紹介させていただきました。中高一貫校の多くはどちらかと言うと5教科を重視しているところも多いかもしれませんが、そういう学校だからこそ、美術の学びを深めて、総合的な学力を培える生徒が増えてほしいと考えています。オープンスクールに参加した小学生やその保護者が少しでも今回の展示で美術に興味を持って、本校への入学意欲を高めてほしいと思い展示を計画しました。
 オープンスクールは普通の公立中学校には基本的に存在しないので、例年にはない業務上の負担ではありましたが、これも自分にとって良い勉強の機会になりましたし、8月末には学園祭もあるので、それに向けて展示のイメージを掴むことができたので良かったです。
 
 夏休みに入って仕事が楽になるどころか、ますますやることが溢れかえっている状況ですが、お盆まであと少し。来週8日(土)は岡山アート&クラフトプロジェクトという私が運営している組織のワークショップを勤務校で開催した後、ようやく1週間ほど一息つく時間がやってくるので、夏休み前半ラストスパートで励みたいと思います!
 それではまた!

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