ワークショップ特別講座に向けて 年賀状ステンシル版画
来月の11月3日に私が運営している岡山アート&クラフトプロジェクトのワークショップを開催します。今年の8月8日に開催したものに続き、今年度2回目の開催です。このワークショップは勤務校である岡山大安寺中等教育学校の美術室を利用して自由に造形を楽しむ場で、前回は50名を超える参加者に絵画や工芸(レジンや七宝)、木工などを楽しんでいただくことができました。
この第2回ワークショップの申し込みは10月20日までで、まだ午後(13:00〜16:30)の枠は空きがあるので、もしご興味がありましたら下のリンク先からお申し込みいただけると嬉しいです。
この第2回ワークショップの申し込みは10月20日までで、まだ午後(13:00〜16:30)の枠は空きがあるので、もしご興味がありましたら下のリンク先からお申し込みいただけると嬉しいです。
昨年度の第2回のワークショップ(昨年度は倉北アート&クラフトプロジェクトという名称で倉敷市立北中学校で開催)からはデッサンや水彩、パステルなどの特別講座を設け、参加される方が取り組みやすい形をとってきました。そして、今回の特別講座は「年賀状のステンシル版画」ということで、年末が近づく11月に実用性の高いものを用意しました。
今回はそんな年賀状のステンシル版画についてご紹介します。過去にも扱ってきた内容ですが、今回はより分かりやすい内容になっていると思います。ちょっと手の込んだ年賀状で送る相手に感謝の気持ちを表したいという方にステンシル版画はそれほど手間をかけずに素敵な絵付けができるので大変おすすめです。
下描きから多版の絵に分ける
①下描き
まずはステンシル版画の元になる絵をコピー用紙など薄手の紙に下描きします。ステンシル版画は切絵の要領でできる版画なので、そのことを意識して絵を描く必要があります。基本的には線を繋いで描き、線を残して切り抜いて切絵にします。ただ、線を繋げることが難しい場合もあるので、その場合は版を複数に分けて作成することもできるので、必ずしも一枚の切り絵として成立するものを書く必要はありません。
絵の描き方のコツとして、単純で簡略化したデフォルメの絵を描くことが切絵としての性質をもつステンシル版画では重要になります。簡略化した絵ならではの良さが着彩によって引き立ちやすいという特性もありますので、シンプルな絵にすることをおすすめします。
②写し描き
下描きに紙を被せて透けてみえる線を頼りに写し描きすれば、複数の版を作成しても位置がずれずに描けます。
今回作成したものであれば羊の目の部分は繋げようと思えば線を繋ぐことも可能ですが、そうするよりも版を分けて目の部分を後から被せて色付けした方が綺麗に見えると判断したので、版を分けました。口と鼻の部分も上から被せて色をつけることで自然な印象を持たせることができるので目と一緒の版に分けました。
文字の部分や背景に使う光の模様などもメインの版と分けておくことで綺麗に色を重ねることができますし、無理に線を繋いだ図にするよりも自然な仕上がりになります。
③写し描きした線をマーカーで整える
切絵にするにあたってマーカーで線を分かりやすく太い線に整えておくと、カッターで切り抜きやすくなります。ステンシル版画に慣れてくると、鉛筆の線で描いたとしても線に対してかなりの余裕(2ミリ程度)を残して切ることもできるようになりますが、慣れないうちは線を太くしておいて、その線を切らないように作業すれば失敗を防ぎやすくなります。切り抜きをして版をつくる
④はがきサイズの紙に糊やマスキングテープで固定して切り抜く
絵を描いた紙の裏面からはがきサイズの紙を糊やマスキングテープで固定します。この際、固定は簡単にする程度で大丈夫です。糊であればスティックタイプの粘着力が弱いものが望ましいですし、マスキングテープで固定するのであれば1cm程度にちぎったテープを2点止めする程度で十分です。
紙が固定できれば基本的には線を残して切り抜きます。ただし例外もあります。例えば謹賀新年の字は線を残してステンシルにすることも可能ではありますが、むしろ字の形のままに穴を開けた方が自然な印象を受けやすいものになります。文字は、デザインによって版の作り方を変えます。「謹賀新年」のような文字では、文字の形そのものを穴として切り抜く方法もあります。その場合、文字の内部にある部分が落ちてしまわないよう、文字の形を調整するなどの工夫が必要です。楷書の場合は口や目といった文字は線をそのまま切ってしまうと四角形の穴になってしまいますが、行書にしたり、楷書でも線をギリギリのところで繋がずに紙が落ちてしまわない図を描けば可能です。
⑤切り抜きが完了したら紙を丁寧にはがす
切り抜きができればコピー用紙を丁寧に剥がし、版を完成させます。多版にする場合はコピー用紙を使って元の下描きを写す必要がありますが、一版の場合であれば切り抜き用のはがきサイズの紙に直接描き、そのまま切り抜くことも可能です。
スポンジとスパッタリングで着彩
⑥背景になる部分から着彩
ステンシル版画は穴を開けたところに絵具を通して着彩する版画で、着彩方法は色を厚く塗れるスポンジにするか透明感のある薄い色彩で表現できるスパッタリング(網とブラシを使って絵具を霧状に飛ばす技法)にするか、求める表現に応じて使い分けします。穴が細かくてスポンジで着彩できない場合は筆で着彩することもあります。スパッタリングの場合は少量の水を絵具に含ませますが、スポンジで着彩する場合は水は原則使いません。スポンジを水につけると水を吸いすぎてしまう上、画面に押し付ける際に水が出て、版の通りに形を出すことができなくなるためです。
複数の版を重ねる場合、背景になる版から着彩するのが基本です。ただ、背景として用意した版を前景に使うのも違った効果が得られるので、着彩の順番は表現する人の自由です。 版が着彩する紙とずれないようにマスキングテープで2点止めしておくと作業しやすいです。スパッタリングの場合は版が動かないので、紙の上に乗せるだけでも大丈夫です。
⑦版を重ねて着彩して完成
多版の場合は先に着彩した部分が乾いたら、2版、3版と版を重ねていきます。この際もスパッタリングで着彩するべきかスポンジで着彩するべきか、試しながらやることをおすすめします。版画は何枚でも短時間で作成できるので、とにかく色々と試してみることが大切です。 ステンシル版画は配色の実験にとても良い方法で、色を調整しながら着彩することができます。色で遊びながら版画を次々に作ることができるのはステンシル版画の大きな魅力です。
版画で一手間かける心地よさ
最近AIの進歩で世の中が(恐ろしいぐらい?)便利になって、ますます手間をかけなくてもそれなりのクオリティーのものを手に入れることができるようになりました。私自身も仕事ではほぼ毎日AIを活用していますし、ブログを書く際にも壁打ちとして利用することはよくあります。しかし、そういう時代だからこそ人間だからこそできることの価値が見直され始めていると強く感じています。AIで浮いた時間を生活の充実にあてられるのであれば、ウェルビーイングの観点からもとても望ましいことでしょう。 紙の年賀状を書く人は年々減少していますし、はがき代も昔に比べると大変値段が上がり、たくさんの人に年賀状を出すとなると数千円の出費になるので、紙の年賀状をやめてSNSで簡単に済ませる人が多くなるのも分かります。そうは言っても、紙の年賀状だからこそ、相手に伝わる気持ちもありますし、絵葉書はさらに特別な意味を持つものにもなります。
ステンシル版画は手間はかかりますが、たくさん年賀状を出す場合、絵葉書ほど大変ではありませんし、版画で絵付けをすること自体が着彩遊びと配色研究にもなるので、とても充実した時間になります。(そこそこ)手軽に絵付けができて、着彩も楽しめるのでおすすめできる年賀状の方法であると考えています。
版画とは違いますが、手書きで文章を書いて相手に感謝を伝えるのも、手間ではありますが、その時間自体が心地よい時間にもなり得ると考えています。
AIやデジタルを有効活用しつつ、アナログならではの価値について改めて考える。こういうところに美術などの芸術教育だけでなく、他のあらゆる教科を学ぶ意義を発見するきっかけが潜んでいるのではないでしょうか。
最後まで読んでくださってありがとうございました。今回は11月3日に開催するワークショップの特別講座である「年賀状ステンシル版画」について紹介しました。今回の内容を読んで興味が持てた人は是非やってみてください。
それではまた!




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